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2018.3.02
「新規事業の成功確率は5%」は本当か? -データで読み解く成功確率-
新規事業
「新規事業の成功確率は5%」   このような新規事業の低い成功確率に関する話を聞いたことがある方は多いと思います。 ユニクロの柳井正さんも「一勝九敗」という著書を出しており、その厳しい成功確率を語っています。   確かに新規事業立ち上げは、高い成功確率で行えるものではないことは直感的に理解できますが、では本当に20個中1個が成功するという低い確率なのでしょうか?  

新規事業の本当の成功確率

実際に、新規事業の成功確率を客観的な統計データを調べてみると、2017年の中小企業白書に下記のようなデータがありました。   <Q. 新規事業は成功したか?> 新規事業の成功確率 ※出典:中小企業白書 2017 「新事業展開への取組及び成否の実態」   ここでの「成功していない」は、「目標が達成できず失敗だった」「成功か失敗かどちらともいえない」「まだ判断できない」を「成功していない」として集計した結果です。 実に約3割の企業が「成功した」と答えています。   次に、別の情報ソースでも見てみたいと思います。   <Q. 新規事業についての自己評価> 新規事業の成功確率2 ※出典:日本政策金融公庫 2013 「中小企業の新事業展開に関する調査」   成功と失敗が半々のようにも見えます。 一方で明確に「成功」と答えているのは1割程度なので、見方によってはやはり一勝九敗なのかもしれません。   しかし、新規事業の成否はどの時点ではかるかにより異なります。 例えば、上記グラフでは「まだわからない」が45%もあります。   極端な例ではありますが、サントリーのビール事業は黒字化までに46年かかっています。 この途中の、例えば23年目に「サントリーのビール事業は成功していますか?」と当事者に問えば「まだわからない」と答えるかもしれません。    

新規事業への挑戦で得たものと失ったもの

新規事業の挑戦の結果どうなったのかを見てみたいと思います。  

1.新規事業展開の成否別に見た経常利益率の傾向

新規事業後の経常利益率 ※出典:中小企業白書 2017 「新事業展開への取組及び成否の実態」   新規事業展開に成功した企業の約半数が利益率を伸ばしており、逆に成功していない企業では3割程度しか伸ばせていないデータになっています。 成功していない企業の「増加した」割合の絶対値別として、相対的に成功した企業よりも「増加」と答えた割合が低いのはある意味では当然と言えます。  

2.新規事業がうまくいかなかった場合の損失

<うまくいかなかった新規事業の有無と損失の程度> 新事業展開 ※出典:中小企業白書 2013 「今後の新事業展開に対する意向」 ここでは、過去10年の間に新事業展開を実施又は検討した企業のうち、成功と失敗は半々という数値になっているようです。 一方、失敗経験がある企業の損失程度を見ると、「ほとんどなかった」が約2割となっており、失敗を経験した企業の多くは、何らかの損失を被っているという状況のようです。 これもある意味では当然のデータと言えます。   <新規事業の中止・撤退の時期と損失の程度> 新事業展開損失 ※出典:中小企業白書 2017 「新事業展開への取組及び成否の実態」 これもある意味では当然なのですが、新事業を中止・撤退した時期を見ると、損失が軽い企業ほど、早い段階で新事業の中止・撤退を決断していることが分かります。  

まとめ

・ 新規事業の成功確率は、約3~5割 ※ただし判定時期や定義により異なり、明確な成功といえるのは1割程度という見方もできる ・ 新規事業に成功した企業のうち約半数は利益率が増加 ・新規事業に失敗した企業の損失は検討段階の初期であればあるほど少ない   このようなデータから何を読み取ったでしょうか? たしかに失敗は避けたいものですが、もっとも避けるべきは失敗を過度に恐れすぎて、新規事業の検討すらしないことかもしれません。   多くの企業で従来型のビジネスモデルや商品・サービスでは立ち行かなくなっていくことが見えており、新規事業の検討が必要になっています。 「新規事業に挑戦」とあまり大上段に構えるのではなく、「まずはアイデア出しと調査を行ってみる」というスタンスが重要です。   unlockでは、新規事業に関するご相談を無料でお受けしております。 日本により多くの新規事業を生み出したいと思っています!ぜひお気軽にご相談下さい。    

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【代表取締役】
津島 越朗
【設立】
2016年 10月21日
【本社所在地】
東京都渋谷区恵比寿3丁目9番25号 日仏会館5階
【事業内容】
新規事業立上げの支援・コンサルティング
【公式サイト】
https://unlk.jp/