新規事業において、ピボット(方向転換)は成功の鍵となる重要な戦略のひとつです。しかし、どのようなタイミングや基準でピボットするべきかを理解していないと、逆に失敗の原因となることもあります。本記事では、ピボットを考えるべきタイミングや基準、正しいピボットと間違ったピボットの違いについて解説します。
目次
ピボットとは、市場のニーズに現在の事業戦略やアイデアが合っているかを調整するプロセスのことです。
とくに、新規事業では、新技術やビジネスモデルを試し、初期の失敗を繰り返しながらピボットします。繰り返しピボットすることにより、仮説を立てて実行・検証し、事業戦略やアイデアが市場のニーズに合致しているかを確認します。
必要に応じてピボットを実行することが、事業成功への重要なステップとなるでしょう。効率的に新規事業の戦略を策定したり、アイデアを出したりしたい方は、以下のコラムをご覧ください。
新規事業で活用できるフレームワークとは?アイデア出しの活用例なども紹介
ピボットの頻度は、業界やビジネスモデル、創業者の経験によって異なります。当社のマーケットリサーチでは、さまざまなリサーチメニューで業界や市場のトレンドを調査します。
一般的に新規事業では、複数回ピボットしなければなりません。Redditのスタートアップコミュニティでも、多くの創業者が複数回のピボットを経験していることが報告されました。
また、新規事業立ち上げの経験がない企業では、とくにピボットが多くなる傾向があります。
Upsilonのブログによると、市場の変化や顧客のフィードバックに迅速に対応するために、新規事業では、ピボットを繰り返すことが必要とされています。Upsilonはピボットを繰り返すことにより、持続可能なビジネスモデルを見つけました。具体的な回数は明示されていませんが、新規事業を成功させた企業の多くは、少なくとも1回以上のピボットを経験しています。
SlackやTwitterなどもピボットを経て現在の形態に至っています。
ピボットは成功への道筋を模索するための必然的なプロセスであり、創業者が柔軟に対応することが欠かせません。他社の成功例を知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
ピボットを考えるタイミングは、いくつかの状況に応じて決定されます。
一例として、市場のニーズや顧客の痛点が予想よりも弱い場合、現在の事業戦略では成功が難しいため、方向性を見直す必要があります。
事業の方向性を変更したことで、計画通りに進まなかったり、予想外の障害に直面したりすると、現行の戦略を続けるのは非効率です。そのため、新規事業の方向性を見直した際、従来の事業計画から大きく乖離している場合は、ピボットを検討しなければなりません。
また、事業を進めるうえで新たな法的規制が見つかった場合もピボットが必要です。現在のビジネスモデルでは、対応が難しい規制が施行されると、事業の継続が困難になります。
さらに、競合他社との差別化が見出せない場合も、ピボットを考えるべきです。
独自の価値を提供できなければ、顧客に選ばれる理由がなくなります。以上のような状況において、事業の方向転換を検討することが、持続可能な成長と成功への鍵となります。
ピボットする際は、市場ニーズを見極め、市場の大きさや成長性、需要が十分にあるかを確認しましょう。
また、事業アセットの活用について考慮し、自社の強みやリソースを最大限に活用できるかを検討してください。
さらに、新規事業の目的や目標を明確にし、その達成に向けた最適な道筋を探ることが必要です。
起案者の気力や関心も重要なファクターであるため、興味を失った領域に無理に取り組む必要はありません。自分が情熱を持てる領域で新規事業を進めることが成功への近道となります。
ピボットには成功と失敗があります。新規事業を成功させるためには、正しいピボットと間違ったピボットの違いを理解することが重要です。ここからは、正しいピボットと間違ったピボットについて解説します。当社のアカデミアでは、ピボットをはじめとした新規事業の立ち上げに必要な知識やノウハウを提供しています。
正しいピボットとは、客観的なデータと市場調査に基づいて事業の方向修正を行うプロセスです。
客観的なファクトに基づいて事業の方向性を修正したり、事業の撤退を判断したりします。これにより、無駄なリソースの浪費を防ぎ、最適な戦略を見つけることが可能です。
また、正しいピボットでは、顧客ニーズを再評価します。顧客のフィードバックを重視し、彼らのニーズに応じた方向転換を行うことで、より市場に適応した事業展開が可能になります。さらに、変化に対して柔軟に対応する姿勢も重要です。市場や環境の変化に迅速に適応し、新たな機会を積極的に探ることで、事業の成功確率を高めることができます。
このような取り組みにより、ピボットは単なる方向転換ではなく、持続可能な成長と成功への戦略的なステップとなります。
ピボットが失敗する要因は、多岐にわたります。
一例として、感情的な判断に基づくピボットがあります。データや市場調査を無視し、感情的な判断でピボットすると、正しい戦略を見つけるのが難しくなるでしょう。
また、頻繁にピボットを繰り返すと、リソースが浪費され、チームが混乱し、プロジェクトの一貫性が失われる可能性があります。
さらに、言語化できないピボットも新規事業において避けなければなりません。自分一人の起業であれば、ピボットの説明は不要かもしれません。しかし、企業内の新規事業としては、会社がかけたコストを考慮し、明確な理由やデータに基づいて方向転換を行う必要があります。説明できないピボットは、ステークホルダーからの信頼を失い、プロジェクトの進行を妨げます。
これらの要素を避けることで、効果的かつ戦略的にピボットできるようになります。
ここからは、ピボットの具体例を4つ紹介します。
Slackは、元々は「Glitch」というビデオゲームの開発会社でした。
しかし、ゲームが成功しなかったため、社内で使っていたコミュニケーションツールに着目し、それを製品化することで現在のSlackにピボットしました。
このピボットにより、Slackは企業としての存続を賭けた大きな転機を迎えます。
Twitterは、元々「Odeo」というポッドキャスト配信サービスとしてスタートしました。
しかし、AppleがiTunesでポッドキャストをサポートするようになり、競争が激化したため、短文投稿サービスにピボットしました。
このピボットにより、Twitterは現在の成功を収めます。
YouTubeは、最初は「Tune In, Hook Up」というマッチングサービスとしてスタートします。
しかし、ユーザーの反応が芳しくなかったため、動画共有プラットフォームにピボットしました。
このピボットにより、YouTubeは世界最大の動画共有サイトとなりました。
カミナシは、食品工場向けのSaaSを提供するスタートアップとしてスタートしました。
しかし、3年間の試行錯誤の末にピボットを決断します。
2019年11月にピボットを行い、2020年6月末に新しいサービスをローンチした結果、毎月100件近い問い合わせを受けるまでに成長しました。
今回は、ピボットを考えるべきタイミングや基準、正しいピボットと間違ったピボットの違いについて解説しました。
新規事業におけるピボットは、成功への重要なステップです。適切なタイミングと基準を理解し、正しいピボットを実現することで、新たな成長の機会を掴めます。
新規事業のピボットを成功させ、企業の長期的な成長を目指しましょう。

