

近年、AI技術の進化が目覚ましく、特に生成AIの活用がビジネスの世界で注目を集めています。この急速な技術の発展は、新規事業のアイデア生成に革命をもたらしていると言っても過言ではありません。一方で、多くの企業がこの機会をどのように活用すべきか、その具体的な方法を見つけることに苦戦しているように見受けます。本記事では、生成AIを効果的に活用し、新規事業の創出を実現するための実践的な方法を解説します。生成AIの可能性を最大限に活用し、新規事業アイデアの考案に悩まない未来を実現しましょう。
目次
生成AIと新規事業を解説する前に、まずは新規事業の基礎をおさらいしておきたいと思います。やや一般論ですが、重要な前提知識であるため、新規事業に詳しい方も再度確認をおすすめします。
言わずもがな、日本の人口は減少していきます。その中で新規事業の必要性を高めています。人口の減少に伴い、既存の市場は縮小し、消費者の需要も変化します。このような状況では、企業は新しい収益源を探し、持続可能な成長を確保するために新規事業への投資を行う必要が出てきます。新規事業は、市場の変化に適応し、新たな顧客層を開拓する機会を提供することで、企業のリスクを分散し、長期的な競争力を維持する手段となります。これが1つ目の新規事業が必要とされる理由です。


企業は成長を宿命づけられています。この成長を継続するためには、新規事業の立ち上げが鍵となります。市場の変化や技術進歩に対応し、新しいニーズに応えるために、企業は新しいアイデアやソリューションを開発する必要があります。新規事業は、既存の事業を補完し、企業のポートフォリオを多様化させることで、全体としてのリスクを低減し、持続可能な成長を促進します。


企業が成長する方法は主に3つしかありません。
1. 既存事業の成長:市場拡大や効率化、製品やサービスの改善が含を含んだ既存事業の成長が求められます。
2. M&A(合併と買収):他の企業の買収や合併を通じて、即座に市場シェアを拡大し、新たなリソースや技術を獲得する戦略です。
3. 新規事業の立ち上げ:全く新しい市場や技術に投資し、未来の成長を図る方法です。
既存事業の成長は基本的な戦略ですが、M&Aは実行に際して売り手市場が少なく、高いハードルが存在します。これは、適切な買収対象の不足や、買収後の統合の複雑さなどからくる困難があるためです。このような状況では、新規事業の立ち上げが不可欠となります。新規事業は、市場のニーズに応じた革新的なアプローチを提供し、企業の持続的な成長を支える重要な手段となります。


事業創出の期間は、一般的な企業の場合、アイデア考案から市場投入まで早くて半年、通常で1年ほどかかるといえます。アイデア考案や、実証実験の工程をずっと繰り返す企業も少なくありません。以下はアイデア考案からプロダクト・マーケット・フィット(PMF)までのプロセスをまとめた新規事業の全体像です。
- 期間:1〜3ヶ月
- アイデアの内容、着想背景、市場性、競合、ターゲット、マネタイズなど調査をしつつ独自のアイデアを考案する必要があります。
- 期間:1〜3ヶ月
- ターゲット市場の深い理解を目指し、顧客のニーズ、競合状況、価格設定などを包括的に分析します。この市場調査により、製品の市場適合性を検証するための基礎データを収集します。
- 期間:1〜3ヶ月
- 市場調査の結果を基に、ビジョンと戦略を明確にするとともに、財務計画やオペレーションプランを策定します。
- 期間:2ヶ月〜1年
- 新製品やサービスのプロトタイプを開発し、技術的実現可能性と市場の初期反応を探ります。このフェーズは、製品が顧客ニーズに合致しているかを確かめるためのものです。
- 期間:1〜3ヶ月
- プロトタイプを実際の使用環境でテストし、製品の実現可能性と市場への適応性を検証します。ここで得られるフィードバックは、製品改善のための重要なデータとなります。
- 期間:数ヶ月~1年
- 強固なビジネスモデルと市場戦略に基づいて、製品やサービスを市場に導入します。初期顧客の獲得と市場での位置付けを固めることが目的です。
- 期間:継続的プロセス
- 製品が市場の要求と合致していることを確認し、顧客が実際に価値を感じ、継続的に使用したいと思うレベルに達しているかを評価します。
- 期間:継続的プロセス
- 利益の安定化と市場での認知を確立した後は、新市場への進出や製品ラインの拡張を通じて、事業のさらなる成長と拡大に努めます。
以上のステップは、新規事業立ち上げのプロセスにおける重要な段階であり、各事業の特性に合わせて柔軟にアプローチを調整することが求められます。
さて、新規事業の基礎をおさらいしたところで、本題のAIがどのように新規事業に活用されているかを見ていきましょう。
2025年6月現在、米国ではLVMHのデザイン部門が生成AIを活用してムードボード(創作の方向性を示すビジュアル集)を構築したり、マーケティング部門がECサイト向けにパーソナライズされた文章を作成するなど、創造領域でもAIの活用が急速に広がっています。


出典 https://www.wsj.com/articles/lvmh-bets-on-ai-to-navigate-luxury-goods-slowdown-0438e328
また、国内でもセブンイレブン・ジャパンが生成AIを活用し、商品企画のスピードを大幅に向上させています。販売データやSNS上の反応をもとに、新商品の企画文や画像を自動生成することで、商品企画にかかる時間を最大90%削減。市場ニーズに即応した新商品の提供が可能になるとされています。


出典 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC25AYT0V21C23A0000000/
このようにAIを活用して新規事業アイデアの着想を得て事業を始めるという取組みは、すでに国内外で実行段階に入っています。
米国大手半導体メーカー NVIDIAのFounder & CEOであるジェンスン・フアン氏は
"機敏な企業はAIを活用して地位を向上させるが、機敏さに欠ける企業は消滅するだろう"
と言っています。AIに仕事を奪われると心配する人もいるが、AIに精通した人に仕事を奪われることになるのではないでしょうか。


また、Microsoft CEO サティア・ナデラ氏は
"AIは単なる効率化のツールではなく、パートナーとして人間の思考と創造を拡張する存在になる。今後数年でAIが知識労働者のあらゆる業務に浸透し、すべての職種にAIが一体化する。"
と言っています。もはやAI導入の是非を議論する段階ではなく、「どのように活用し、どんな新しい働き方を生み出すか」が問われています。
出典
https://www.businessinsider.com/microsoft-ceo-satya-nadella-knowledge-work-evolution-ai-agents-2025-2?utm_source=chatgpt.com
このような各メッセージからも以下にAIを事業に活用することが重要で有効かについては議論の余地がなくなってきていると言えるでしょう。
本題に入る前に、何のためにAIが使われているか、AIの現在地を簡単に確認しておきましょう。2025年6月時点では特定部門にとどまらず、業界横断で幅広く以下のような使い方をされています。
・業務効率の向上:
・繰り返し業務や定型処理の作業時間を削減
(例)会議音声から要約・ToDoを自動生成、サポートチャットの自動応答
・検索負荷を軽減
(例)社内の専門知識をAIが答える「社内GPT」、
法令・規約文の検索と要約、医学論文や過去症例の要約・比較
・現場作業の最適化
(例)倉庫内作業の動線分析と改善、目視検査の自動化
・顧客接点の強化:
・対応の標準化により質を担保
(例)商談ログから顧客属性別に提案内容を自動生成、
SNS投稿・営業資料の文案を自動生成、通訳・翻訳AIエージェント
・分析・予測支援により品質を向上
(例)売上・需要の予測モデル作成、顧客レビューやアンケートの感情分析、シナリオ別のリスク比較とレポート要約
・専門性・創造性の拡張:
・膨大な専門情報を統合し、仮説を高速検証
(例)副作用・有効性データを統合した薬剤候補の抽出、患者画像情報や症例情報をもとに個別化した治療オプション案を提示
・学習の個別最適化
(例)質問に対する即時フィードバック、学習計画の自動提案
・アイデア創出や制作作業を補助
(例)小説・動画・広告素材の草案生成、デザイン指示から画像・ロゴの初稿を生成
注目を浴びる生成AI、特にChatGPTのようなモデルは、かつては「自然言語処理(NLP)」に分類されていましたが、2025年6月時点では「マルチモーダルAI」とより進化した形で活用されています。以下の3つの特徴があります。
1. 複数形式での入力:テキスト・画像・音声・PDFなど、複数の情報ソースを一括で処理し、業務文脈に沿ったインサイトを提供。
2. 総合的な出力:複数の情報を組み合わせて、要約・提案書・報告書などを一気通貫で出力。
3. 多様な業務用途:企画・営業・設計・カスタマーサポートなど、従来分離されていた業務を横断的に支援。
ChatGPTは、2022年の公開以降、驚異的なスピードで世界中に広まり、現在では月間アクティブユーザー数8億人、日間では1億2,000万人以上が利用する、世界最大級のAIサービスへと成長しています。


出典 https://www.demandsage.com/chatgpt-statistics/
日本でも、2024年9月時点での生成AIの認知率は72.2%で、昨年時点と比較して利用率も伸びています。女性の認知は若年層中心に大きく高まっており、利用においては男性中年層および、女性若年層が大きく伸びており、利用者の幅が広がったことが伺えます。




出典 https://www.nri.com/jp/knowledge/report/20241016_1.html
生成AIの利用率が上昇する日本では、既に生成AIを活用したサービスが出てきています。これらのサービスは、ビジネスの様々な側面で部門横断的に応用されており、効率化にとどまらず貢献をしています。
1. NEC
a. 施策立案支援:マーケティング施策を立案・効果予測する「BestMove」
https://jpn.nec.com/bestmove/?cid=press_ps001
2. NTT DATA
a. 企業の標準業務効率化:営業、マーケティング、ファイナンスなど各業務を支援し、現場の業務効率を改善する「LITRON® Generative Assistant」
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/litron/
3. 富士通
a. 顧客エンゲージメント向上:小売店内の消費者行動データをもとに行動解析しデジタルサイネージ上でアバターや販促コンテンツを生成する購買促進AI技術「Kozuchi」
https://www.fujitsu.com/jp/services/kozuchi/
4. 日立製作所
a. 食品ロス削減:電通・電通デジタルと協業し、スーパーなど店舗での在庫状況を予測し、生成AIが考案したレシピや広告素材をデジタルサイネージなどを通じて生活者に訴求することで、食品ロス削減などの貢献をめざす
https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17765652
b. 材料開発支援:実験データ量不足やデータ品質における課題解決を行う「材料開発ソリューション」
https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17752991
5. dip
a. 対話求人検索:従来の「大量の求人情報から検索する・選ぶ」方法から「対話しながら最適な仕事に出会える」方法へと進化
https://www.ai-souken.com/service/385
6. EdgeLab
a. 建設現場の業務効率化:生成AIや画像認識技術を活用したAIエージェントにより、現場の業務効率化や安全管理を支援
https://edgelab.co.jp/service
7. 東京大学医学部付属病院
a. 診断の補助:顔や手の映像データからAIが血管のダメージなどを推定し、糖尿病や高血圧の有無を検出するシステムを開発中。30秒の動画で糖尿病を約75%、高血圧を約90%の精度で判定する臨床研究結果が報告されている。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20250104-OYT1T50009
2022年12月のChatGPT登場以来、生成AIは3ヶ月単位で技術革新が進んでいます。中でも、OpenAIが2024年5月に発表した「GPT-4o(オムニ)」により、生成AIは「単なる文章生成ツール」から、「視覚・音声・文脈を理解する統合知能」へと進化しました。業務効率化、顧客対応、クリエイティブ制作など、あらゆる分野においてAIの存在感が増し、いよいよ“万能なビジネスパートナー”へと進化する時代が現実になっています。
・GPT-4o:OpenAI初のマルチモーダル統合モデル。テキスト・音声・画像のリアルタイム処理が可能。人間に近い自然な音声応答も話題に。
・カスタムGPTの普及:ユーザーの作成したGPTsがGPTストア上に多数公開。法人利用や公式ブランドGPTの展開も始まり、ノーコードAI開発が日常化。
・DALL-E3の進化と統合:テキストからの画像生成だけでなく、画像の修正やインタラクションも可能に。GPT-4o内に統合され、会話しながら画像を扱えるUIが標準化。
・リアルタイム音声アシスタント:WhisperやText-to-Speechが進化し、AIが即時に聞いて・考えて・話すという一連の体験が数秒以内で完結するように。
ブロードバンドが普及期を迎えた頃「ウェブはバカと暇人のもの」という本が話題になりました。「ネット(のような信用できない方法)で物を買うなんて(ありえない)」と当然のように言われていました。しかし現在の世界では、ほとんどの人は仕事でもプライベートでもネットに触れない日はないし、当然のようにネットで物を買うようになっているはずです。
「AIは不正確、情報が古い、知ったかをする(ハルシネーション)」といった使わない理由も存在しますが、これらを踏まえても有り余る価値があると考えられます。


アイデア発想法にはさまざまな理論やアプローチがありますが、当社では「組み合わせ」を重視したアイデア発想法を採用しています。このアプローチで、2024年1月時点で約40社に企業に新規事業案を提供し、その8割以上の新規事業案が採用になっています。
「イノベーション」という概念を普及させた経済学者ジョセフ・シュンペーターは、イノベーションを「新結合(New Combination)」と定義しました。彼の理論によれば、イノベーションは既存の要素を新しい方法で組み合わせることによって生み出されます。この考え方は、新規事業開発にも非常に適しています。既存の技術、市場のニーズ、異なる業界のアイデアなどを組み合わせることで、新しい価値を生み出すことが可能です。
また、アップルの共同創設者スティーブ・ジョブズも、iPhoneの発売時に「既にあるものを組み合わせただけ」と述べています。これは、革新的な製品やサービスは、完全に新しいものを創造するのではなく、既存の要素を巧みに組み合わせることによって生まれることを示しています。
このように、「組み合わせ」によるアイデア発想法は、歴史的にも実例にも裏打ちされた有効なアプローチです。当社では、この方法を活用し、既存のリソースやアイデアを新しい形で結合させ、独自の事業案を創出しています。これにより、クライアントに対して革新的で実用的なソリューションを提供することができます。


ジョセフ・シュンペータ


スティーブ・ジョブズ
新規事業はおおまかにいって自社情報と外部環境情報とビジネスモデルの組み合わせと言えます。
新規事業における組み合わせの基本的な考え方は以下の通りです。
自社情報 x 成長領域 x ビジネスモデル
新規事業の創出において、「組み合わせ」は非常に重要なキーワードです。一般的に、新規事業のアイデアは、自社の資源や強み(自社情報)、市場の成長分野やトレンド(外部環境情報)、そしてそれを商業的に実現する方法(ビジネスモデル)の三要素の組み合わせから生まれます。
・自社情報: 自社の資源、技術、ノウハウ、顧客基盤などを含みます。自社の独自性や強みを理解し、それを新規事業の基盤とすることが重要です。
・成長領域: 市場の動向、技術の進化、消費者のニーズの変化など、外部環境の情報を指します。トレンドを捉え、将来性のある分野に目を向けることが不可欠です。
・ビジネスモデル: 要素を組み合わせて収益を生み出す戦略を考えます。
これらの要素は、単独ではなく、相互に影響し合いながら新規事業の構築を可能にします。例えば、製造業を主要顧客としている企業は、自社の製造技術や市場のニーズを理解し、これらを組み合わせて新たなビジネスモデルを構築することができます。このプロセスでは、革新的なアイデアや既存のビジネスモデルを超える発想が求められます。重要なのは、これらの組み合わせを通じて、市場に新たな価値を提供し、企業の成長を実現することです。
AI時代における「組み合わせ」は、新規事業開発のパラダイムを大きく変える可能性を持っています。従来、新規事業のアイデアは、自社情報、成長領域、ビジネスモデルの三つの要素を、人の直感や知識に頼って組み合わせる必要がありました。これには個人のセンスや適性、発想の限界が大きく影響し、アイデアを思いつく能力には個人差がありました。
しかし、2024年以降、GPT-4oのようなマルチモーダルAIの実用化が進んだことで、これらの組み合わせ作業が飛躍的に効率化しています。AIはテキストだけでなく、画像・音声・表などの多様なデータを一元的に理解・処理できるようになっており、過去の業績データ、市場動向、技術トレンド、顧客の声などを横断的に解析し、有望な事業仮説を導き出すことが可能になりました。
現在、多くの企業が社内GPTを導入し、過去の社内提案書や競合情報、研究成果を統合的にAIで照会・生成する動きが広がっています。これにより、かつては数週間かかっていた自社に適した新規事業アイデアの生成が、数分〜数時間で完了するようになりつつあります。
また、プロンプトに自社の事業資産や制約条件(例:BtoB中心/初期投資上限ありなど)を加えることで、企業ごとに最適化された事業アイデアをAIが“量産”することも現実的になってきました。これは、企業が自らの強みを最大限に活かし、市場に適応した革新的な事業を創出することを容易にします。従来の人間主導のプロセスに比べ、AIは迅速で幅広いアイデアを大量に提供し、従来にない新しいビジネスチャンスを生み出すかもしれません。
ただし、AIの提案はあくまで起点で、最終的な判断を下すのは依然として人間の役割です。生成されたアイデアが自社の戦略や価値観にフィットしているかを適切に評価し、実際のビジネスコンテキストに合わせて調整することが重要です。
さて、これから実際にAIで新規事業を作っていきます。ChatGPTを開いてください。
生成AIなら何でもかまいませんが、2025年6月現在では、OpenAIのChatGPT(GPT-4o)が最もバランスの取れた性能を誇っています。マルチモーダル対応で、テキスト・画像・音声・コードをまたいだやり取りが可能です。


それでは最初の命令文(プロンプト)を入れてみましょう。試しに「段ボールの製造・販売を行っている企業の物流に関する新規事業アイデアを、アイデア名/概要/期待される効果の3点で整理して表形式で5つ提案してください」と入れてみてください。


どうでしょう?短時間ですごいですよね。


しかし、重要なのは、このような一般的なプロンプトは、あくまでAIの能力を体感するためのデモンストレーションに過ぎないという点です。実際のビジネスに適用するには、自社固有のニーズや戦略、市場の状況、そして競合他社の動向など、より詳細な情報が必要です。特にBtoBビジネスの場合、自社の強みや顧客の期待を踏まえた、現場感のあるカスタマイズされた新規事業案が求められます。GPT-4oのような最新の生成AIは、高度な言語理解に加え、テキスト・画像・音声を横断的に扱えるマルチモーダル処理に対応しており、構造化された出力や対話の文脈保持にも優れています。とはいえ、こうした機能を実務で活かすには、ただ単にプロンプトを入力するだけでは不十分です。企業独自の情報と戦略を適切に組み込むことで、生成AIは初めて実用的な新規事業創出のツールとして真価を発揮します。
それでは、実用的な新規事業アイデアを導くために、自社の情報を入れてみましょう。どのような粒度や構成で入力すればよいのでしょうか?
以下では、生成AIを活用した新規事業案の考案に適した「自社情報の整理の仕方」を紹介します。
※注意点:2025年現在、ChatGPT(特にGPT-4o)などの生成AIは大きく進化していますが、個人情報や社外秘に該当する内容の入力には依然として注意が必要です。企業名や社外秘資料などの直接入力は避け、抽象化や置き換えを行いましょう。
※以下内容は例です※
#自社情報
[基本情報]
・業種:電力インフラの設計・保守運用、広告代理業
・拠点:全国5拠点(主要都市)
・従業員数:110名
[強み(コア・コンピタンス)]
・業界ブランド:「●●電力」としての広域認知(官公庁〜民間)
・技術力:電力・土木技術者など有資格者が在籍
・人脈:行政、消防・警察、大学など、防災・エネルギー領域を中心とした幅広い繋がり
・設備資産:架空・地中配電設備(電線、鉄塔、変電所)などの電力アセットを利活用可能
・ナレッジ:送配電事業に関する電力関連データの知見
・事業安定性:グループ内向け業務(内販)による安定収益
[外部パートナー]
・広告代理店
・印刷会社
(交通系に掲載する販促系ポスターやタレントを使用した飲料系ポスター制作)
[組織風土]
・トップダウン時の実行力が高い(一定規模のガバナンスが効く)
・各支社(関東圏の都県)が地域行政・企業と独自ネットワークを持つ(反面、調整に時間がかかる)
[補足情報]
・創業から数十年。業界内の知名度・信頼性が高い(一般からの知名度は限定的)
制約条件を設定することは、創造性を刺激し、より実践的で独自性のある新規事業案を生み出すうえで欠かせません。不思議なことに、人間もAIも一定の制約のある環境の方が、クリエイティブなアウトプットを生み出す傾向にあります。制約を「制限」ではなく「設計条件」と捉えることで、思考を特定の方向に導き、無限のアイデアから実用性の高いものを絞り込むことが可能です。
自社にフィットした新規事業案を考える際には、以下のような制約条件をあらかじめ設定することが効果的です。
利用可能な資金、人材、技術、その他の資源を明示することで、実行可能性の高いアイデアに絞り込むことができます。
(例)初期費用は500万円以内、社内でAIエンジニアは1名のみ、外部APIの利用不可
対象とする業種・顧客属性・地域などを具体化することで、よりターゲットのニーズに合ったアイデアを創出することができます。
(例)地方自治体向け、高齢者施設の管理者向け、国内BtoB市場が第一のターゲット
使用する技術やプラットフォームの限界を理解することも重要です。これにより、技術的に実現可能なアイデアに焦点を当てることができます。
(例)自社のオンプレ環境で稼働可能であること、スマートフォンのみで完結できるUX、既存ERPとの連携が前提
これらの制約を事前に与えることで、AIによるアイデア生成はよりニーズに即した実現可能性の高いものになります。特にGPT-4oのような最新モデルでは、テキストだけでなく表・画像・音声といった多様な形式を受け取れるため、「入力の形式」や「出力の粒度」を明確に指定することで、アウトプットの精度がさらに向上します。
例えば以下のようなアイデアを入力してみてください。
・高齢者の見守りIoTインターフォン
・ストレスを検知するウェアラブルデバイス
・CO2排出量を製品別に計算するサービス
例えば以下のようなアイデアを入力してみてください。
・AIモデルの開発や基盤そのものをビジネスにする
・材料研究や創薬など、多額の投資金額が必要なもの
・政治・軍事・宗教などセンシティブなテーマに関わるもの
数を出してもらうプロセスは、新規事業のアイデア生成において非常に有用です。100本ノックのようにたくさんのアイデアを素早く生成し、それらを「収益性」「実現可能性」「斬新性」などの評価軸で定量的なスコアを元に比較できるようになった今、より有望なアイデアを選び出すことが可能になりました。GPT-4oのような最新の生成AIは、構造化された表形式で提案と評価を同時に提示できるため、比較検討のスピードと精度が飛躍的に向上しています。
AIは大量のデータからパターンを学習し、それを基にアイデアを生成します。人間のクリエイティブな作業を時間や体力で制限されることなく補完できるため、AIにアイデア生成とその評価を任せることは、新規事業開発において大きな強みとなります。さらに、GPT-4oの文脈保持力により、プロンプトの意図に沿った出力精度も格段に高まりました。
ですので、新規事業のアイデアを求める際には、AIに多数のアイデアを素早く生成させ、その中から比較表やランキング形式で最適なものを選出することをお勧めします。人間が考えるアイデアには限界がありますが、AIを活用することでその限界を超え、より客観的かつ効率的なアイデア選定が可能になります。
例えば、「段ボールの製造・販売を行っている企業の物流に関する新規事業アイデアを10個出してください。それぞれについて、①収益性(5点満点)、②実現可能性(5点満点)、③斬新性(5点満点)をスコア化し、表形式で出力してください。」とプロンプトを入力すると、以下のような結果が得られます。


新規事業のアイデアを考案する際に大切なのは、それを具体化し、実行可能な計画へと落とし込むことです。
このプロセスでは、まずターゲットユーザーを明確に定義する必要があります。どのような顧客がサービスや製品を利用するのか、彼らのニーズや問題点は何かを深く理解することが不可欠です。次に、そのアイデアをどのようにマネタイズするかを検討します。最適な収益モデルや、市場での価値提供のあり方を明確にすることが求められます。さらにプロモーション方法についても、具体的な計画を立てましょう。どのマーケティングチャネルを使い、どのようなメッセージでターゲットにアプローチするか、そしてそのプロモーションが製品やサービスの魅力をどのように伝えるのかを、詳細に設計することが重要です。
PoC(Proof of Concept:概念実証)は、実現性や実効性を検証するための重要なステップとして以前から重視されてきました。近年では生成AIの活用により、この工程が格段に効率化されています。PoCでは、小規模な環境での導入・効果測定を通じて、技術面・運用面・市場反応などを多角的に検証します。生成AIを使えば、技術要件の整理、実施条件の想定、協力候補の抽出、成果指標(KPI)の設定などを短時間で行うことが可能です。
こうした問いにひとつずつ向き合い、段階的に具体化と検証を進めることで、アイデアは実現に向けて具体的な輪郭を持ち始めます。実際の市場で成功を収める新規事業を築くためには、このような丁寧なプロセスが不可欠なのです。


ターゲット


マネタイズ


プロモーション
いかがでしょうか?皆さんの会社にとって、可能性を感じられる新規事業アイデアのタネがいくつか見つかったのではないでしょうか?
とはいえ、こう感じている方もいるかもしれません。
『いくらAIが考えたとはいえ「良さそうなアイデア」の域を出ていないのでは?』
「本当に次に進めるだけの価値のあるアイデアなのだろうか?」
その懸念はもっともです。AIは膨大な情報をもとに選択肢の提示には非常に優れていますが、事業化に耐えうるかどうかの見極めや、現場に根ざした視点の補完は、人間にしかできません。
だからこそ、ここからが私たち人間の出番です。
AIが広げた「可能性」を、人間が実現性・市場性・独自性の観点から有効なものに絞り、事業として育てていく。
では、アイデアを見極めるためにはどうしたらいいのでしょうか。
新規事業アイデアの有効性を検証する方法の一つとして、想定される顧客にアイデア段階での関心を直接尋ねるという方法があります。このアプローチは、次のような理由で説得力のある材料となり得ます。
まず、実際の顧客からの直接的なフィードバックは、市場適合性を測る実証的なデータとして機能します。顧客がそのアイデアに対して実際に支払いを行う意思があるかどうかは、事業計画の実行可能性を評価する際の重要な指標です。
次に、顧客からのポジティブな反応は、上司や関係者を納得させるためのエビデンスとして利用できます。顧客の「欲しい!」という反応は、その事業が市場で成功する可能性があることを示唆しており、上司が新規事業に対して「いいね!」と言う以上の重みを持ちます。特にBtoBビジネスにおいて、顧客企業が製品やサービスに対して実際に予算を割り当てる意向を示していれば、その事業案が収益を生み出す確かな道であることを示唆します。
さらに、顧客からのフィードバックをもとに事業アイデアを洗練させることで、製品開発の初期段階でのリスクを低減し、製品の市場適応性を高めることが可能です。これにより、開発プロセスを通じて持続的な顧客関与を促進し、最終的な製品やサービスの成功率を高めることができます。
とはいえ、どうやって顧客からフィードバックを貰えばいいのでしょうか?
ここまで読んで頂きありがとうございました。最後に当社のPRをさせてください。
当社のサービス・unlockerで、あなたの新規事業アイデアを想定顧客に直接聞くことが可能です。当社のプラットフォームに登録しているユーザーやネットワークを活用して、想定顧客を見つけて、アイデア評価を回収し、その結果をお返しします。
それにより、アイデア段階でどのアイデアがどのくらい有望なのかが分かります。
自社で想定顧客を探したり、調査会社に依頼するよりも、スピーディーで低コストです。
有望なアイデアは、想定顧客に直接インタビューして確かめることも可能です。想定顧客との直接的な対話を通じて、顧客のニーズと期待を解析し、それらを事業アイデアに反映させることができます。
「答えを見ながら問題を解く」ようなプロダクト開発を企業が実現できるようになります。


上記でご紹介したunlockの新サービスについて特徴を記載します。
従来:成功確率はわずか5% → unlocker:成功率UP
顧客が“本当に買うか”を見極める仕組みにより、正答率(=成功率)を大幅向上。
従来:事業創出に半年〜1年 → unlocker:大幅な時短
調査→検討→承認までのプロセスを短縮。アイデアの実現性を即座に判断できる。
従来:仕様が顧客ニーズとズレることが多い → unlocker:ユーザーと共創し迷いなく仕様設計
調査段階で実際の顧客の声を取り入れることで、不要な手戻りや試行錯誤が減少。
従来:顧客がいない状態からの事業開始 → unlocker:顧客がいる状態で事業開始できる
プロダクトが出来ても顧客ゼロの状態からスタートしていたが、顧客候補を確保した状態から事業スタートできるため安心感があり、企画も通りやすくなる
従来:説得力が弱く社内で前に進めにくい → unlocker:強いエビデンスで社内も動かせる
ユーザーの購入意向や実際の支持があることで、予算獲得やチーム巻き込みも円滑に。
ご利用を希望される方や、より詳細な説明をご希望の方はこちらからお気軽にご連絡ください。
いかがだったでしょうか?
本記事の手順で進めることで新規事業アイデアが思いつかない・・・という状況は確実に脱せるはずです。あなたやあなたの企業が継続的に成長していくため、AIに精通したビジネスパーソンになりましょう。

