※本コラムは2025年7月29日に開催した株式会社unlockのビジネスセミナーを、2回に分けて書き下ろしたオリジナルコンテンツ(前編)です。

【登壇者紹介】
津島 越朗(代表取締役)
2005年 株式会社リクルート入社(人材事業営業部)
2008年 同上(インターネットマーケティング局、マーケティング・新規事業企画)
2013年 株式会社DeNAライフサイエンス(東大医科所と遺伝子検査の立ち上げサービス&マーケ責任者)
2014年 株式会社DeNAロケーションズ 代表取締役社長(海外テクノロジーベンチャーとのJV)
2016年 株式会社unlock設立
unlockの代表の津島でございます。私はリクルートやDeNAで新規事業の立ち上げを10年以上に渡り、自ら手を動かしてやってきております。
本日のセミナーの内容は、新規事業の禁じ手、16の事例から成功法則を検証。飛び地への参入方法、の3部構成となります。早速、本編を開始してまいります。
目次
企業の失敗の代表例といえば「多角化」と言われるかと思います。倒産の原因になることもあって、非常に恐ろしいものだというご認識がある方が多いと思います。
多角化ですが、新規事業の業界では一般的に「飛び地」と言われています。現在の事業ドメインとは全然関係ない、なぜこの会社がこういう事業をやるのか?という脈絡のない事業領域を飛び地と言われていると思います。
当社のお客様からは、「飛び地はやめてほしい」とか、そういったお話をよくいただきます。最初に我々が事業アイデアをお渡しすることもありますが、9割以上のお客様は「飛び地は避けたい」とおっしゃられます。それもそのはず、飛び地は難しいのです。
なぜ難しいかというと、知見・経験・ネットワークが生かせない。既存の経営・資源ノウハウを生かしにくい。組織力、内部のリソースが分散して、人材・技術といったものが全く別分野のリソースであまり転用できない。組織力の低下、それから不確実性の増大です。土地勘がないので見通しが効きにくい。このあたりがあると思います。
画面は失敗事例です。これは挑戦への敬意を込めて、ということで「with respect」と書いておりますが、新日鉄住金さんは半導体事業に参入されたそうです。鉄鋼業界が成熟化していく中、実際に今AIでさらに発展を遂げていますが、半導体領域に目を向けられた。これ自体はおそらく見立ては正しかったと思うのですが、鉄鋼製造の技術・資源が生かせなかったことが原因だと言われています。
それから古い事例で、今、世界一のアパレル企業を目指して邁進中のユニクロさん、こちらも有名な農業に参入されたことがありました。アパレルのビジネスとは大きく違うということで、撤退されました。ある意味、柳井さんのような名経営者を持っても難しいのが飛び地と言えると思います。
こういった難しさがありますが、禁断の新規事業とも言える事業に興味をお持ちになる会社もあります。それはこういった会社ではないでしょうか。既存事業の中ではアイデアが出ない、既存事業のドメインに行き詰まりを感じている、違うドメインで事業を持ってリスクヘッジをしたい。こういった会社の方々が今日ご参加の中にもいらっしゃるのではと思います。
不用意に会社に提案しても、通る可能性は飛び地なので少ないし、万が一踏み出して失敗すると、会社が傾いてしまうかもしれない。どうしよう、と非常に悩ましいと思います。そんな時に、このセミナーに参加していただいたのではと思います。
飛び地は危険ではあるものの、成功例もあります。どういう成功例があるのかよく知らない方も多いでしょう。失敗例は数が多いのですが、数少ない飛び地の成功例を今日は見ていただきたいと思います。そこから成功の共通点や、自社が飛び地に合っているかなどを考えていただければと思います。
今回のアプローチは、画面のような形で新と旧、それからモノ・コトで、成功事例を集めてきました。新というのを2000年以降とするのはどうかというのもありますが、成功という言葉がなかなか難しかったり、古い事例を集めるのは難しかったりという事情もあり、便宜的にこのようにしています。
こういった事例を今日はご紹介して分析していきます。
今日のメインです。事例を分析した結果をパッと結論でお伝えしてもよいのですが、それだとかなり味気なくなって結局、「法則」自体も皆さんの頭に入ってこないことになってしまいますので、1事例ずつ。どういう飛び地の意思決定の仕方をして参入したのか、どういう事例なのかをコンパクトにご説明しますので、やや駆け足になりますがご了承ください。
まず、新「モノ」ですね。富士フィルムさん。こちらの右上に、先ほどのマトリックスのどこに当たるのかというのを表しております。この事例は、新・モノなので左上ですね。新・モノの事例、富士フィルさんです。
社名からもお分かりの通り写真フィルムの会社で、その会社が化粧品となると、今はもう有名なのでご存知の方も多いと思うのですが、本当に飛び地です。フィルムの会社が化粧品なんて、ということですが、きっかけは本業ビジネスの危機でした。デジタルカメラが普及して、写真フィルム事業が縮小する。
なぜ参入したのかというと、写真フィルムのコラーゲン技術や紫外線による退色を防ぐ技術が生かせたというところがあったそうで、差別化要素にもなったということです。国民の平均年齢の上昇とアンチエイジング需要、将来性があったということですね。活用アセットは、先ほど申し上げたように商品開発の技術でした。結果、百億円を突破するような大成功の事業になっています。
トヨタさんもトヨタホームをやっています。言わずと知れた自動車のトヨタさんが住宅もやっています。なぜなのか。これはトヨタさんと創業家というのは、1代1事業というモットーがあるそうで、住宅に参入したのは、今のトヨタさんの名誉会長の発案だったそうです。
戦後に住宅が不足し、200万戸以上の住宅の消失を受けて、住宅建設が最重要課題になった。戦時中の乱伐による木材不足、こういうことからコンクリート建築をやっていこうという構想が生まれました。
飛び地なのになぜ参入したのかというと、創業者の思いと日本の社会課題ですね。あとは自社のアセットを活用できること。このアセットは、ここで言うと「顧客」です。自動車を販売していたわけですから、自動車を買うお客様は、既に(家を)買っていらっしゃる方も、これから買う方もいるだろうということで活用した。あとはトヨタブランドを活用したという点です。現在も続いており、1000億に迫るような大きな事業になっています。お膝元の愛知県においては業界首位という事業です。
続いて、セブンアンドアイさんです。言わずと知れたコンビニのセブンイレブンさんですが、小売業をやっていた会社が銀行をやったわけです。今は当たり前でも、よく考えたらえらい飛び地なわけです。小売業が銀行をやる。いかにその距離感があるかは分かっていただけると思います。
きっかけは、その需要を自社で意図的にキャッチしたそうです。具体的には顧客アンケートです。これも見落とせませんね、顧客アンケートなんかって言うと失礼ですが、たくさんの会社がやっていると思います。ですが、この顧客アンケートに、セブン銀行につながるアイデアが書いてあったのが非常に興味深いと思います。多くの銀行のATMが限られた時間帯しか稼働できなかった当時、24時間の営業のセブンイレブンにATMを設置してほしい、という要望が多く寄せられていたのです。
これは新規事業あるあるですが、いざその事業が生まれて、世の中に普及した現在からこの事業を見ると、そんなの当たり前だろうと思ってしまうのですが、非常に想像力が必要なのです。これが全く無い時代に、この意見に反応できたのは偉大なのかということですね。ここが難しいのです。
飛び地なのに参入した理由は、シナジー効果と多角化ですね。グループ内の他の事業とのシナジーを生かせると同時に、事業の多角化に寄与する。まさにお手本のような内容です。
活用アセットはなんといっても既存顧客、セブンイレブンに来られるお客様です。結果、2000億円以上の取引額があり、日本国内最大級のATMネットワークという事業になります。ある銀行の方のインタビューを見たのですが「自分は思いつかない」と、つまり銀行の人には思いつかないビジネスだということです。
続いて旧の「コト」ですね。画面はソニーさんの事例です。ソニーさんは電機メーカーとして幅広くやられていますが、ソニーミュージックという音楽レーベル、レコード会社をお持ちです。
なぜソニーミュージックを始めたのかということは、ここも今でこそあまり違和感なく受け取ってしまうと思うのですが、家電メーカーや電気メーカーが音楽会社やレコード会社をやると捉えていただくと、いかに飛び地なのかわかると思うのです。きっかけは法改正で、外資の規制緩和があったそうです。早くもその翌年に、アメリカのCBSという音楽レーベルとソニーさんがジョイントベンチャーを組む話が成立したそうです。
飛び地なのに参入した理由は、ハードとソフトの相乗効果を狙うソニーは、ハードとソフトはソニーグループのビジネスの両輪だという考え方があったそうです。そういう考えの元で、オーディオビデオのハードとソフトの両分野でビジネスをやっていこう、と。
特にアセットを使えるというわけではく、強いて言えばソニーブランドぐらいで、ほとんど自社の強みを生かせるところも無かったそうですが、参入したそうです。こういう考えで、結果としては今や世界2位、国内トップクラスの音楽レーベルになっています。
この事例は非常に面白くて、新規事業のヒントになる事例が結構ありまして、本当はこれだけでたくさんお伝えしたいところです。例えば、これを始めるにあたり音楽業界の人を1人も入れなかったとか。そういう、これから新しいサービス時代を作っていくという気概にあふれた挑戦でした。
それから今度は、新「モノ」の事例ですね。シリウスという会社の事例です。今までご紹介した会社より知名度は低いかもしれません、この会社はもともとペット用の家電を作っていました。厳密はペット用だけではありませんが、ある家電を作っていて、それが今度は介護事業に参入したという事例です。
元々シリウスさんは何を作られていたかというと、こういう「スイトル」という掃除機の先端に装着するものです。例えば、カーペットはカーペット本体を洗うのが大変ですよね。ちょっと汚れがついて洗いたい時、食べ物をこぼした時などに水を吹きかけて、水を吹きかけた瞬間にその水を吸い取ることで、カーペットがビショビショにならずに水洗いができるのです。洗濯機に入れなくても水洗いができるという、非常に画期的なクリーナーヘッドを作られていました。
その技術を生かして、今度は介護向けの製品作りです。介護の現場ではお風呂に入れる時はなかなか大変ですが、介護者の負担を減らし、要介護者の入浴の気持ち良さも踏まえて、ベッドに寝たままシャワーヘッドをその体に沿わせて体を洗うことができる、しかもお湯が出せるというポータブルシャワーを作られています。スイトルと同じ原理です。体にお湯を吹きかけた瞬間にそれを吸い取ることで、ベッドっやシーツを濡らさずに入浴できる。非常に画期的な商品です。
これは元三洋電機の方が社長で、人間洗濯機のコンセプトを今の技術で実現しているそうです。介護業界における問題点を潜在ニーズと捉えて、カーペットを洗う掃除機を人間に転用できるのではないかとお考えになりました。累計販売台数は約8万台という成功事例です。
次はオーディオテクニカ、レコードの会社です。ヘッドホンも作られていまして、こちらの会社がなんと寿司ロボットを作ったという事例です。音響の会社が寿司ロボットを作ったきっかけは、CDが発売されて、レコードの再生機がいらなくなってきたという背景です。
面白いのが、この寿司ロボットはオーディオテクニカ社内のアイデアコンテストで生まれたという点です。社員の方が寿司ロボットのアイデアを提案し、これが採用になったところも非常に面白いと感じます。なぜかというと、(アイデア採用を)経営陣が指示したそうです。当時の社長さんの、独創的なアイデアやオリジナルの技術を目指そうという挑戦的な考えと、この寿司ロボットが合致したそうです。
活用したアセットとしては、音響機器の技術が使えたそうです。機械製造・制御技術の応用と画面には書いていますが、レコードを回すときの技術も使われているそうです。
結果は、ヒットして、当初の想定と違う売れ方をしたところも非常に面白いです。当初はBtoC向けに一般家庭向けに売ろうとしたのですが、やっているうちにお寿司屋さんからのニーズがあり、今では業務用の寿司メーカーとして月に約40台売れていて、さらに意外なのは、国内よりも海外の方が売れているそうです。
アイデア段階で、過剰にアイデアがストップされてしまうことはよくありますし、このようにリリースだけを推奨しているわけではありませんが、リリースすると思わぬ展開があった、BtoCで出したけれどもBtoBの方が売れた。しかも国内より海外の方が売れた、という非常に面白い事例になります。
次はAmazonです。新「コト」のAmazonです。元々はネットの本屋から始まって、今では様々な商品を扱っていますが、実は稼ぎ頭があります。AmazonのAWSと言われているAmazonウェブサービスで、要するにインフラです。インターネットのサーバーのように、そういったインフラをAmazonが提供しています。
参入した理由は、Amazon.comが大きくなりすぎて、かつてない巨大サイトを自社でどう運用すればいいのか、非常に困っていたからだそうです。これを自社で解決したものを、他社にも、ある意味ちょっとお裾分けしよう、といった始まり方をしたそうです。
成長は全く予想外だったそうで、こういうビジネスもありますね。自社のために、自社の問題解決に作ったものが思わぬ成長を遂げたという、非常に面白いパターンです。今では売上が1015兆円を超えるというとんでもないビジネスになっていますが、こういう生まれ方をするものもあるということです。
それから、So-netさんです。お若い方はご存知ない方も多いようですが、インターネットサービスプロバイダーでした。インターネット黎明期に多数参入した中の1つ、So-netというサービスプロバイダーです。
この会社が、医療に参入しました。今ではこちらの方が有名かもしれません、エムスリーという会社です。エムスリーはお医者さん向けの情報共有サイトで日本最大級。お医者さんだったら全員使っていると言われるぐらいです。先にお伝えすると、9割のお医者さんがサイトに登録しているというサービスになっており、非常に高収益です。
エムスリーの創業社長で、現社長でもある方は、元は外資系コンサル会社のマッキンゼーの役員だったそうです。当時、製薬やヘルスケア業界に非常にお詳しい方でいらっしゃって、その時にエムスリーの中にある「MR君」というサービスを思いつき、それをSo-netさんに持って行ったそうです。
飛び地なのにSo-netさんが参入した理由は、インターネット技術が使えるという点です。ウェブサービスなので当然お手の物だった。それから、この医療情報領域が成長すると、IT革命が医療にも波及すると見越したそうです。
これも繰り返しですが、インターネットは今でこそ当たり前です。「そんなのはわかっていただろう?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、その当時、インターネットはバカと暇人のものだという本がベストセラーになるぐらいで、そんな信頼の置けないものが医療に普及するわけがないと言われていました。やはり先を見通す力があったわけで、見事その通りになりました。
それから、花王さんです。ヘルシアという特保のドリンクを販売しているという事例です。
現在ではキリンさんに譲渡されたそうなのですが、花王さんにヘルシアがある時代から大ヒットしました。意外と領域が近いから飛び地とは思われないかもしれません。しかし、口に入る飲料を作るというのは、一見同じBtoCの商売をやっているメーカーとして見るとあまり変わらないと思われるようでも、全く別物だそうです。彼らからすれば、飛び地ぐらい大きな挑戦だったといえる事例だそうです。
花王さんでは元々、植物油のエコナというブランドがあり、太るのを防ぐというコンセプトで植物油がヒットしていたそうです。やはり新規事業には法改正が重要で、1991年に栄養改善法という法律が改正されて、今の特保の制度が発足しました。これはチャンスだということで参入し、様々な研究基盤を活用したのです。花王さんは長年に渡り、皮膚や毛髪の研究をしていたので、この過程で蓄積した人体に関する治験、植物の成分の研究ノウハウを生かして、ヘルシアを作りました。累計20年間で販売本数は31億本というヒットになっています。
続いて、ダスキンさんです。ダスキンさんは家のクリーニングや掃除道具が有名ですが、ご存知のようにミスタードーナツの運営会社でもあります。これが非常に変わった飛び地事例で、THE飛び地といったら、ダスキンさんではないかと思います。
元々はフランチャイズ展開をしていたモップやマットのレンタル事業でしたが、創業者の鈴木さんが勉強のためにアメリカ出張に行った時、ミスタードーナツと出会い、その美味しさに感動してぜひこれをやりたいとアメリカから持ってきたビジネスです。当時お付き合いのあったレンタル事業のオーナーさんたちにも新しいビジネスチャンスになるという思惑もあったそうです。
そして、当時のダスキンさんの資本金の約2倍に相当する、非常に高額な契約金を払いました。この辺がすごいですよね。日本でフランチャイズ展開する権利を得る決断をしたそうです。
飛び地なのに参入した理由は、商品の良さ、これは絶対に売れるという絶対的な自信があったそうです。それから、得意なフランチャイズビジネスを展開できるというところもあったそうです。ミスタードーナツは55周年を迎えて、1000店舗も全国にあるという成功ビジネスです。
次はヤフージャパンさん。ヤフーさんもインターネットサービス会社ですが、携帯(Y!モバイル)にも参入しています。これも同じですね。今でこそ当たり前ですが、インターネットの会社が、それこそヤフーニュースとかやっている会社が携帯を売る。この飛び地が大きな決断だと言えると思います。
きっかけは法改正だったそうです。2015年に電気通信事業法が改正されて、ドコモさんみたいなプレーヤーじゃなくても携帯に参入するのが簡単になった。
なぜ参入したのか、これはやや重複しますが、モバイルインターネットの重要性が増加すると、時代を読んでいたわけです。それから、ユーザーデータが活用できるという点。今もありますが、少し前までビッグデータがすごく流行って、ユーザーデータの活用がトレンドでした。そういうこともあったと思います。Y!モバイルを通じて得られるユーザーの行動データが、ヤフージャパンのサービスの改善や広告ビジネスの強化に繋がるのではないかと参入したそうです。活用アセットとしては既存顧客も該当しますね。今では業界第2位になっているそうです。
それから、DICさんという会社です。フィットネスクラブのルネサンスといえばお分かりの方も多いと思いますが、元は化学メーカーです。化学メーカーがスポーツクラブのルネサンスを始めたということです。ちなみにルネサンスは業界トップだそうですが、業界トップのフィットネスクラブを化学メーカーが作ったと言うのは非常に興味深いと感じませんか?
ルネサンスの創業者は元々DICというインク会社で、ウレタン樹脂を売るためにテニススクール事業とつなげる事業計画を作ったそうで、実はこの創業者の斎藤さんという方はテニスが大好きで、テニスばっかりやっていたそうです。自分がテニスをやりたいから、会社の裏庭みたいなところにテニススクールを作って、レンタルやテニス事業をやろうという事業企画書を出すのですが、何の脈絡もない新規事業は通らないだろうと考えて、テニスコートにウレタン樹脂を塗って、多分ハードコートにしようという提案に仕立てたのだと思います。それは経営陣にまんまと見抜かれて、「斉藤はウレタン樹脂を売りたいわけじゃなくて、単にテニスがしたいんだろう」とバレていたそうなのですが、経営陣としては健康ビジネスに将来性があると、それに乗っかるような形で参入を決めたそうです。
その前にも、社内の部活的にやっていたフィットネス事業があって、他の人もこのフィットネスの施設を使いたいということで社外の人も呼んで、ちょっと使用料もいただいてニーズがあると見えてたところもあったそうです。活用アセットは、ほぼ何も無し。今までは何かしらありましたが、全く無い、でも業界トップになっているという面白い事例です。
次は新「モノ」ですね、JSR(旧日本合成ゴム)の事例です。合成樹脂ゴムを作られていた会社が、薬を作る創薬やその製造支援をしている事例です。元々は半導体の材料を作っていたのですが、次のコア事業を育てる必要性があり、成長が見込めるバイオ医薬といったところに着目したそうです。アセットとしてはコア技術が使えるという点。
こちらの会社は始め方がユニークで、自社で作ることなく全て買収から始めています。非常に成長している事業で、今は農工事業ということで事業再編成をして売却したのですが、年率20%~25%で成長し主力収益源になっていたという成功事例です。
続いて、ヤマハさんです。2輪、音楽、楽器、いろいろとやられていますが、そういう会社がゴルフクラブをやったという事例です。今もやっているのですが、参入のきっかけは4代目社長の方がスポーツも大きな文化事業で、ゴルフ人口の高齢化やニーズの多様化から展開を模索していたという点。面白いのが楽器製造で培った振動解析、打音設計、こういう技術から入ったわけです。ゴルフ用具メーカーだと思いつかない観点ですよね。ゴルフを演奏するように楽しむ、本当にヤマハさんならではだと感じます。音楽関連のメーカーとゴルフという一見して脈絡が無いような繋がりでないと生まれないコンセプトだと思います。こういったところから自社の技術を生かして、差別化になるのではという判断。往々にしてどっぷり業界メーカーだと発想できないところは、やはり飛び地ですね。外部の、ドメインが全く違う会社が参入するときの1つの魅力です。
こういうことができないか?というのは、飛び地に参入するぞという時に考えていただきたいと思います。次もヒットしている事例です。
NTT東日本・西日本さんです。この通信会社が介護分野に参入しました。ただ、介護といっても介護DXのサービスです。政府もDXを推進していますから、介護DXもチャンスだと見て参入を決めたそうです。
活用できるアセットとしては通信インフラ。見守りとか、遠隔の制御やロボット制御に使えるのではないかということで参入されました。事業の成功度合いの詳細までは見られませんが、順調に伸びているという情報を得ています。
次が最後、サンリオさんです。キティちゃんとか、いろいろなキャラクターを持つ会社ですが、元は小売業です。中でも、絹製品の販売をしていた、というような会社で、サンリオさんも本業が不振だったそうです。
小物・雑貨の領域に参入したときに、創業者の方が思いついた可愛いイラスト付きのサンダルがヒットして、モノって言っても「感性」ですね。履き心地が良いとかだけではなく、面白い、かわいい、こういう感性の価値で売れると分かって、今のIP(インタラクティブプロパティ)、権利ビジネスに発展して、そのモノを売っていくライセンスビジネスが生まれたわけです。
雑貨事業でのイラスト活用を強みにやっているということで、面白いのが、イラスト制作を自分たちはできないから外注しよう、ではなく一旦は社内でやってみたところです。イラスト制作の体制を内製化したところ、著作権を自社保有してビジネスを始められたというのが大きな点でした。外注しても著作権を自社で獲得すればよいのですが、私が面白いと感じたのはそこを内製化した点です。それがどんどん発展して、社内クリエイターによるオリジナルキャラクターを創出する力があり、今のサンリオさんの売上の1/3がキャラクターライセンス事業になっているということです。
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