2026.3.30

新規事業において競合が存在しない場合はどのように判断をすれば良いか?

新規事業

執筆者:代表取締役 津島越朗

Q. 新規事業において競合が存在しない場合はどのように判断をすれば良いか?

A. 競合がいない場合でも、顧客には必ず既存の代替手段が存在するため、それらとの競争を前提に慎重に事業性を判断するべきである。

一般的に、狭い意味での競合が存在しない場合は、一定の新規性があるといえます。

その一方で、今のこの世の中では、顧客側にある課題に対して何の解決策や選択肢もないということはほとんどありません。

ほとんどの顧客には、何枚かの代替手段という名のカードがあります。

しかし、いくら新規性が高く、その選択肢が有効だからといって、すぐに顧客がその新しいサービスやプロダクトを理解したり、受け入れてくれたりするとは限りません。

新規性が高い場合ほど、こちらも慎重な事業計画を持って挑むべきです。

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PESTLE分析で新規事業の競合や市場を把握しよう~徹底的にマクロ環境を捉えよう~

【解説】

新規事業の会議で「このアイデアには競合がいません!」と声高にプレゼンされることは少なくありません。

たしかに、狭い意味での「同種のプロダクト(直接競合)」が存在しないアイデアは、一定の新規性を持つ優れた着眼点といえます。

しかし、ここで陥りがちなのが「競合がいない=ブルーオーシャンだから必ず売れる」と錯覚することです。

顧客が抱える課題に対して「全く無防備(何の解決策もない)」であることは現代においてほとんどありません。

顧客は必ず、既存の何かを代用してその場をしのいでいます。

一例として、「全く新しい眠気覚ましのガム」の直接競合がいなかったとしても、顧客は「コーヒーを飲む」、「顔を洗う」、「ストレッチする」といった強力な代替手段をすでに持ち合わせています。

そのため、革新的なプロダクトであっても、手慣れた代替手段を捨ててまで、わざわざ新しいものにお金を払い、使い方を覚える「行動変容」には、想像以上の心理的ハードルがともなうでしょう。

だからこそ、「競合不在」に浮かれることなく、顧客の既存の習慣をどうやって塗り替えるかという非常に慎重で粘り強い事業計画が求められます。

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【事例】セグウェイ

2001年に発売された電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」は、まさに「競合不在の罠」に陥った典型例です。

以前は、「立ち乗り型パーソナルモビリティ」という領域において直接的な競合は存在せず、当時のIT界の巨星たちも絶賛するほど革命的なプロダクトでした。

実際、セグウェイが発売された当初は米国で爆発的な販売が見込まれていましたが、ふたを開けてみると数年間で数千台しか売れないという厳しい結果に終わりました。

この失敗の核心は、顧客が持つ「代替手段」の壁を見誤ったことです。

セグウェイは「車の代替になるクリーンな移動手段」という思想を掲げていました。

しかし、最高速度は20km/h程度にとどまり、価格は数十万円と非常に高額でした。

顧客にとっては、この価格と性能のバランスであれば、手元にある「自転車」や「徒歩」という既存のカードで十分に事足ります。

このように、画期的な新規性があり、狭義の競合が完全に不在であっても、顧客の生活の中にすでに定着している代替手段に勝てなければ、市場には受け入れられないことをセグウェイは身をもって証明しました。

参照元:https://mirizerocket.com/2020/06/27/

【まとめ】

新規事業で競合が存在しない場合でも、顧客は必ず既存の代替手段で課題を解決していることは珍しくありません。

とくに、新規性が高いアイデアほど、顧客の行動変容には大きなハードルがあります。

そのため、新規事業の立ち上げでは、既存の習慣や代替手段との競争を前提に、慎重な事業計画を立てることが重要です。

安易に「競合がいない=必ず成功する」という発想を持つのではなく、顧客の既存の習慣をどう置き換えるのかを意識し、事業計画を策定しましょう。

問い合わせ先


【代表取締役】
津島 越朗
【設立】
2016年 10月21日
【本社所在地】
東京都渋谷区恵比寿3丁目9番25号 日仏会館5階
【事業内容】
新規事業立上げの支援・コンサルティング
【公式サイト】
https://unlk.jp/