前回の記事はこちら:成功する新規事業の秘訣~新規事業アイデアを社内承認に導く方法~(2/4)
いよいよ本題に入ります。
「AIを活用する」と言っても、生成AIの実力はそもそもどの程度だろうか? 本当に使って大丈夫なのか?と思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで当社が、現在の生成AI、ここではChatGPT-4 omni(オムニ)を評価してみました。


上表でまずカテゴリは、「新規事業関連」と「一般」的なタスクで分け、タスクの中身ではアイデアを考える、 新規事業の調査をする、文書や画像を作る、プログラミングする、といったところを5段階で評価してみました。5の評価が一番高く、一番低い評価は1です。
新規事業関連でみると、まだ安心して使える状態ではないことがわかります。
例えば、「アイデア考案」は評価2にしました。切り口やヒントはもらえても、新規事業のアイデアとして受け取れるものはまだ少ない、という印象だからです。
「調査」に関してもハルシネーションが存在するため、情報ソースも不明確なものが多いです。的を射ていなかったり、網羅性が不明だったり、ハルシネーションに日々接したりします。
例えば、「Aというサービスを考えたけれど、同じようなサービスが世の中にあるなら、日本だけでなく世界中の調査をして教えて」と依頼した時に、AIからは「BというサービスやCやDもあります」と答えが出てきました。
しかし、B、C、Dについてネット検索してみたら、全く出てこないのです。そこで「B、C、Dの情報が出てこない。これは何ですか?」と尋ねると、「これは自分が想像で考えました」という返答をしてきたので驚きました。
しかし、「ハルシネーションをしないでください、不明なものは不明だと答えてください」とこちらが注文するとちゃんとした答えは返ってくるので、まあまあ便利だと判断して評価3をつけました。
他の点に関しては、まだまだ使えません。特に事業計画の策定においては、正直使い物にならない印象です。
一方で、文書の要約やプログラミングでは、評価4が妥当かもしれません。
最近IT業界で騒がれているように、もうコードを書かないエンジニアが非常に増えているそうです。実際にノーコードツールも活況で、プログラミングが不要になる時代がもうすぐそこまで来ていると言われています。
当社としての見解は、「新規事業においては生成AIの活用はまだ難しい」ということになります。実務にはなかなか使えない、と考えています。
しかし、本日のテーマは「生成AIを活用した~」です。
では、なぜAIを使うのか、どう活用するのか。
「アイデアを考える」のは苦手な方も多いので、そういった方には生成AIが安価で頼れることは変わりありません。
「なぜ使うのか」、それは時々、偶発的に、こちらの期待を超えるアイデアが出てくるからです。


我々が正しく理解しておくべきは、前提として「AIは考えられない」という点です。
東大合格を目指す「東ロボくん」というAIを作る新井紀子教授(数学者)が、「AIはその意味を理解できない。ディープラーニングを含むそのAI、生成AIを含めたものは全て“形式を整理する学問”である」と言っています。
これは膨大なデータの中から与えられたテーマに関連することやその続きを書き綴るだけなので、AIがその意味を理解しているわけではない。考えられないということです。
AIが出してくる回答には、既視感があるものが多いです。「アイデアを考えて」と言うと、どこかで既に見たようなアイデアがたくさん出てきて、斬新なものは少ない印象です。
この辺でまだ実務で使えないと感じるのですが、人間の頭ではそこまでぱっと網羅的に全てを思考できないため、偶然にも期待を上回るアイデアや切り口が生まれることが時々あります。
よって、アイデアを考えるのが苦手、もう散々考え尽くしたけど他にはないか?という時は、AIに頼ることができるとは思います。
もう1点。
そもそも事業アイデアとは、先ほどの「アイデア1発では成功しない」話と関連します。アイデアの触り部分だけでは不十分なものがほとんどだと思いますが、「アイデアを考えることの省力化が可能だから使える」とも言えるでしょう。


例えば、ChatGPTに「何かアイデアを考えて」と言うと、上の画面右側のように、アイデアの触りの部分が1つ30~50文字ぐらいのボリュームで出てきて、パッと見で良いものが無く、それはとっくに考えたものというケースはよくあります。
一方で、大半のアイデアが、この触り部分だけでは不十分なことが多いのです。
世の中で発展して注目されているビジネスやサービスだったとしても、このボリュームレベルに書いて落とし込むと、誰でも思いつきそうなものだったりします。
背景にあるその課題、このアイデアはどんな課題に基づいて、どういう課題にアプローチしているビジネスなのか、なぜこのビジネスが伸びるのかという蓋然性。
そしてどのターゲットに限定すればよいのか、マネタイズ方法はどうするのか。
どんどんアイデアを磨き上げていって、初めてアイデアの魅力が出るのだと私は考えています。
このアイデアを磨くプロセスを自分の頭だけでやるのは結構大変ですが、AIは疲れません。なので、どんどんAIに質問を投げかけて、触りの部分だけでは不十分なものを魅力的なアイデアにしていくプロセスを手伝ってもらう。そんなふうにAIを有効に使えると考えています。
では、「そもそもアイデアはどのように生まれるのだろうか?」という今日のテーマに戻って、原理原則のお話です。
「イノベーション」という言葉を生み出したオーストリアの経済学者、「イノベーションの父」とも呼ばれるシュンペーターは、この言葉をニューコンビネーション、「新しい結合」と解説していました。
何かしらのイノベーションというのは、全くの無から何かが生まれるのではなく、何かと何かの結合であり、組み合わせや掛け合わせ、なのだそうです。シュンペーターの他にも、スティーブジョブスなど多くの方が「アイデアは掛け合わせである」と言っています。
参考記事:イノベーションを生み出す組織とは?~ジョセフ・A・シュンペーターの原典から読み解く~
実際、当社でも新規事業アイデアを考える時にそれを踏襲しています。
新規事業においては、
① 自社情報(技術情報を含む)
② 成長領域
③ ビジネスモデル
この3要素を掛け合わせて新しいテーマを発掘する、というのが今回のメソッドのお話です。
今まではこの3要素を全て自分たちで考える必要がありました。
正確に言うと、①自社情報は既知なので考えることではありませんが、②成長領域と③ビジネスモデルは自分たちで考えなくてはいけなかったのです。
しかし、これからのAI時代、①の自社情報、技術情報を含めたものを正しくAIにインプットできれば、②成長領域と③ビジネスモデルはAIが調べて考えて教えてくれるのです。
ここが非常に革命的です。新規事業アイデアを考える時の1つの有効性は、この点にあると言えます。アイデアを考えるのが苦手な方でも、AIに聞けばある程度の有望なアイデアを生み出せる可能性が以前より上がっているのです。
もう少し詳しく解説していきましょう。
まず、① 自社情報について。
本セミナーの主旨である「コア技術をどう考えれば良いのか」、その基本は自社情報です。言い換えると自社のアセット情報です。これを広く捉えてください。
自社情報と言うと、製造業のお客様は自社技術や商品の話をメインで話す傾向があります。しかし実はその“活用できるもの”は、自社の領域の知見、お客様、取引先や仕入れ先、製造力、設計力、営業チャネル、人材、国内外の拠点、知名度、信頼、提携先などがあります。
それらをアセットとして広く捉え、自社情報としてAIにインプットすることが重要です。当然、その自社情報の中にコア技術も入ります。
インプットすべきことは、技術の基本情報です。そして、その技術はどんな機能があるのか。注意点は、現在もう製品(商品)になっているものだけではなく、その製品(商品)で使われている機能以外にもどんな機能があるのかをコア技術として表出することです。
機能、あるいはそれを言い換えた価値の情報をAIにインプットする、 整理する、ということがポイントなのです。
コア技術、コアでなくても構いませんが、技術にどんな特性があるのかを精査するというプロセスを、ぜひやってみてください。


多くの技術は、特定の課題を解決する製品、サービスを作るために必要なものであることが多いですが、その技術だけを捉えてみると、特定の商品、サービスに使われる以外の価値や機能を持つ場合があります。
これを精査して何に使えるのかを考える、またはAIにそれを考えてもらうことが、 そのコア技術を生かす新規事業と私は捉えています。当社がお客様を支援するときも、特に製造業のお客様の場合、こういったワークをよく実施しています。
実際に当社で個別のお客様を支援する時は、本当はもっと細かく様々なプロセスを踏みます。今回はここまでという形にはなりますが、こういったプロセスを踏んで何に使えるのか、その転用を検討するというコンセプトは変わりません。
ではどんな情報をAIにインプットすればよいのでしょうか。
プロンプト、つまりAIに命令する内容のことです。
AIに「これ考えてよ」と気楽に言うのはいけない、とご存知の方は多いと思いますが、最新の情報ではこのプロンプトエンジニアリング(=AIに正しく命令する)に関する重要度が以前よりも下がっているそうです。
AI界隈で有名な方が、「AIを使いこなすための質問力はだんだん不要になってきている」という趣旨のことを最近ポストしていました。
「質問者には質問能力が無いから、雑な質問をしても色々と察してほしい。うまく問いを引き出した後に最高のプロンプトを生成して、それを実行してくれ」と最初にAIに伝えておけば、AIが色々と聞き直してくれて、AIとしての最高の能力を出せるプロンプトを作ることを導いてくれるようになったそうです。
つまり、プロンプトエンジニアリングの必要度合いが以前より下がっているので、どんどんAIを叩いてアイデアをもらうのが正解なのです。
先程のポストをした深津さんによると、AIにどんな内容を入れるべきか、その考え方は2つです。
1つ目は「問題の適正なフレームをまず使うこと」。
2つ目は「簡単に解決できる方法を問うこと」が、情報の入れ方の種類としてあるそうです。
前者の「問題」は、「こういう範囲で、こういう問いなので、こう解決してください」としっかり指示するのが良いと言われています。
具体例として、「イノベーションのジレンマから脱出する方法」について、画面下部に挙げたのでご覧ください。


まず「問題」としては、「新規事業に対する優先度がうちの会社ではなかなか上がらない」とします。
その「対象」は「従業員1000人以上の大企業」で、「問い」は、「中間管理職から経営陣の意識を変革するには?」です。これらの問題・対象・問いをAIにインプットすることで、正しい有効な答えが返ってくるというフレームを使えます。
2つ目は、良い感じの出力が得られそうな方法を指示することです。
例えば、「頭のいいコンサルになりきって説明して」「ホリエモンになりきって答えてください」といった形で使うことです。
そんなふうにプロンプトを投げれば有効な答えが返ってくる、と深津さんは仰っています。
※続きはこちらからご確認ください。

