前回の記事はこちら:AIが変える新規事業開発~コア技術と成長領域の最適なマッチング法~(3/4)
さて、ここから実際に皆さんにも手を動かしていただきます。
ChatGPTを使いながら、新規事業アイデアを創出していきましょう!
最初に、ChatGPTを使ったことがない方へ簡単にご説明させてください。
「ChatGPT」を検索して、それをまず開いてください。ChatGPTでなくても構いません、何らかの生成AIを開いて、プロンプトを入力してみましょう。
試しに、「ダンボールの製造販売を行う企業の物流について新規事業アイデアを考えてください」と入れてみてください。
新規事業案がいくつか出てきますが、既にご説明した通りAI自体が「考えられない」ため、どこかで見かけたようなアイデアが多く、これだけでは自社の新規事業として使えない状態です。
次は、ご自身の会社情報をAIにインプットして、実際に新規事業アイデアを作るプロセスを一緒に進めていきましょう。
下記①~⑤に分けて、会社の5つの要素を整理し、さらに「制約条件」をインプットするという流れです。
①基本情報
②コア・コンピタンス
③技術情報と機能・価値
④ネットワーク
⑤組織
自社情報の整理の仕方については、絶対にこうやらなければいけない、ということはありません。
おすすめの整理の仕方は、「#自社情報」プロンプトとして打ち込んだ後、①基本情報として「業種、拠点、社員数」の自社情報を入れます。
特に重要な要素は、②コア・コンピタンスです。会社として最も優位性がある経営資源、つまり強みを入力してください。
例えば、電気設備会社ならば、「人材」は広く捉えて、「電力技術や土木技術を持っている人材がいる」と入力しましょう。ネットワークとしては、行政、消防、警察、大学、エネルギー、防災、そういったところを軸とした繋がりも入れましょう。
「こんな仕事をしていて、こんなネットワークがあります」という点は、割と見落とされる傾向があります。自社が普段ビジネスをしているところでは競合も同じことをやっているので特別に思えないものですが、そこはもっと広く見てください。
自社(例:電気設備会社)とは全く異なる業界、例えば小売業界からすれば当然そんな取引や繋がりも無い会社がほとんどなので、1つの特徴と言えます。よって、自社で閉じる、競合他社業界で閉じるのではなく、広い視点での自社の特徴を書きましょう。
電力アセットを活用できる、例えば特別高圧~高圧~低圧におけるこんな設備が使える、ということを書いていくのです。
次に、③技術に関する情報です。自社の持つ技術の基本的な説明を書いてください。
例えば、ある特定の商品のために開発されたもの、特許がある場合はその番号も含め、こういう特徴のある特殊な製品を製造できる技術があります、と書くのです。そしてどんな特性や機能があるかを分解していくわけです。
自社技術を活かした機能が特定のその製品だけに使われていたとしても、重要なのはここで閉じないことです。他の機能や特性、機能価値なども、分解して書き出してください。
コア技術を分解し、他の機能価値要件を出す。そこが非常に重要なのです。こういったことがうちの会社のこの技術では可能です、ということをできるだけ多く書くのがポイントです。
④ネットワークは、販売ルート、販売先等です。それは自社の特別な強みではないからと謙遜せず、全部を書き出してください。
⑤組織は、組織としての強みの部分、例えば「意思決定されると行動が早い」「一定規模のガバナンスが効く」「各エリアに支社があって、それぞれ地元行政や企業との繋がりを保有している」等です。
5つの要素と言いましたが、絶対に5つの必要はありません。その他に、例えば「業歴が長い」「業界内での知名度が高い」等も書いていただいて結構です。こういったことを自社情報として整理してみてください。
2023年11月ぐらいまでのAIだったら、こんなボリュームでは情報をインプットできませんでしたが、11月以降は比較的長い情報もインプットできるようになりましたので、ぜひこれでもか!というぐらい入れてみてください。
続いて「制約条件」。これも重要なポイントです。
“全く自由より、制約条件がある方がクリエイティブになれる”
これは当社で、お客様の事業アイデアを考える時にいつも感じていることです。
真っ白なキャンバスに「何でもいいから描いてよ」と言われると、実は結構大変です。それはどうやら人間もAIも同じようで、「制約条件」を入れた方が良いアイデアが出てくるのです。少なくとも、自分たちが良いアイデアだと感じるものが出てきやすいのです。
より自社にフィットした新規事業を手に入れるため、制約条件を考えてみましょう。
まずは過去に検討したアイデアを思い浮かべてください。これも立派な制約条件です。過去にこういう商品やサービスを考えた、というものを入力してください。もちろん制約条件として書きたくなければ除外していただいて構いません。
他には、「自社で提案してもどうせ通らないだろうな」というのも立派な制約条件になります。
少し前まで、ロシア侵攻で軍事関係はNGという話が当社のお客様から度々出ましたが、政治的なものや新素材開発、「これはやめてほしい」というのも制約条件になります。AIそのものをビジネスにするとか、多額の資金が必要というのも該当します。
こういったものを「#除外してほしいアイデア」という中に箇条書きで羅列するだけで結構です。
最近は生成AIがインターネットブラウジングできるようになったので、自社情報をテキストで書くのに加えて、「詳しくはここです」と自社URLを貼り付けても大丈夫です。
ここまでの情報を全て、生成AIに入れてみてください。
どうでしょうか?
面白い切り口のアイデアは出てきましたか?
先程スイートスポットの話をした通り、会社毎に出てくるアイデアは違いますし、何が会社にとって良いアイデアなのかは千差万別です。しかも生成AIは「考えられない」ので、割と普通のアイデアを出しがちです。
でも、制約条件を入れても普通のアイデアばかりが出てきた、という場合。
ぜひお試しいただきたいことをお伝えします。
まずは数です。1000本ノックのように、たくさん数を出してもらうことが非常に有効です。AIは人間のように疲れて文句を言ったりしませんから、ぜひ依頼してみてください。
時々AIはもう疲れたような感じで、英語で嫌がらせのようにスピードを上げて答えを返してくることもあるのですが、その時も冷静に日本語で「お願いします」と入力して、どんどんアイデアを出させるのです。
AIに嫌われるということは恐らくありませんので、遠慮なくたくさん出してもらいましょう。
もう1点、アイデアの触り部分だけでは実際の使いものにはならないので、「これはもしかしたら良いのかも?」というものは“具体化”をしてもらいましょう。
具体化してもらうには、「ターゲットユーザーを考えてください」「ターゲットユーザーを例えばZ世代に限定してください」「仕事を引退したシニアの方々に限定してください」等、こちらから具体的に投げかけるのがベターです。
マネタイズ方法では、「これはどうやって課金するのですか?」、「どんなマネタイズ方法が有効でしょうか?」等が良いでしょう。
プロモーション方法では、「どうやってこれを売っていきますか?」「どう宣伝していくのでしょうか?」「認知を上げていくのでしょうか?」、そういった質問を入れてみてください。
AIは疲れないので、どんどん、どんどん、プロンプトを入れてください。私もこういったプロセスで日々やっていて、気づくとかなり時間が経っていることもあります。
実はこの方法を孫正義さんもやっているようです。半分冗談で仰っているのでしょうが、「自社の幹部と壁打ちするより、最近はもうAIとずっと会話をしている」という趣旨の発言をされていました。
やはりAIはそういう使い方が有効だと思います。ポンと叩いて、パっと出てきたものを「あぁイマイチだな」で終わるのではなく、どんどん質問をして深めて行くのが最も有効だと実感しています。
この方法は、有名人のキャラクターを忠実に再現したディスカッションをしてもらうことも可能です。
例えば、「イーロン・マスクとひろゆき(西村博之)にイベント業界におけるIoTを活用した新サービスを考えているので、この2人に対談形式でアイデアの拡散と収束をやってみてください」、「インターネットで検索した上で、本人の性格や口調を正確に反映してください」というプロンプトにしてみます。正直、口調はどうでも良いといえばそうなのですが、雰囲気を出すためにそんなプロンプトにしました。
その結果はこちらです。


イーロン・マスクは日本語を話せませんが、それらしい体言止めの口調になっていたり、 ひろゆきは彼らしく砕けた口調になっていたり、批判的だったりしています。この辺は中身を入れ出すとキリが無いのですが、非常に面白く、時々キラッと光る示唆もあったりします。
ハルシネーションには要注意です。「知ったかぶり」をしてくるので、それを減らす工夫も必要です。
減らしたい場合、「ちゃんと根拠を検索してください」とか、人間が積極的に資料を渡すようにしたり、「分からないことは分からないでOK、その時は分からないと言ってください」と伝達したりすることで対処が可能です。


続いて、「ChatGPTt4o以外にどのAIがお勧めですか?」という質問を時々いただくので、その辺もご紹介させてください。
今年7月8日の生成AI最新シェア調査では、ChatGPTが圧倒的です。私もそれをお勧めしますし、ChatGPTt4oが一番賢いとは思います。


他のお勧めとなると、私はPerplexity(パープレキシティ)を挙げます。


Perplexityの特徴は、Perplexity自身に直接尋ねるのが良いと思ったので、聞いてみた結果がこちらです。どんな答えを返してきたのか、ぜひご覧ください。


Perplexityが適しているのは調査業務です。
新規事業支援は半分以上が調査と言っても過言ではないくらい、我々はよく調査を行いますが、その中でPerplexityは調査業務に非常に向いている、感じます。
Perplexityは従来の生成AIとは異なるアプローチをする“対話型検索エンジン”です。他の汎用的な対話AIと比べて、具体的な質問に対する情報収集と要約に特化しています。
さらに2番目、事前学習データに依存する ChatGPTとは異なり、リアルタイムで最新情報を取得して回答に反映します。ここは私にとって非常に魅力的です。最近はChatGPTよりもPerplexityを使うことが多いかもしれません。
ChatGPTは今までに学習したものを使う一方で、Perplexityはリアルタイムで新しい情報を拾い直して回答するため、回答が出るまで少し遅くなるのですが、さほど問題になる遅さではなく、とても面白い回答が返ってきます。
それから、仕事をする上で助かるのはこの3番目、出典の明示です。回答の根拠となる情報源を明示してくれる点です。
何が根拠なのかを「これを元に拾ってきました」「こう考えました」というように、全てそのソースを提示してくれます。特に調査業務において仕事がしやすい点です。
Perplexityがユニークだと感じるのは4番目、複数のAIモデルを利用している点です。Claude2.1などを状況に応じて使い分けて、AIがAIを使いこなすようなことをやっているそうです。
5番目の検索エンジンとしての機能は、Googleのジェミニのように今、各社が非常に力を入れています。ChatGPTも注力しているそうですが、いち早く手掛けたのはPerplexityです。自分の代わりにインターネットで色々調べて教えてくれるという点では、理想に非常に近い状態に近づいてきていると思います。
最新かつ信頼性の高い情報を、効率的に収集し要約する能力に優れているPerplexity。
以上が今回の主な内容になります。
この後の新規事業の進め方としましては、アイデアを考えたら市場調査です。そして市場に導入し、成長~拡大するところをぜひ目指していただければと思います。
今はAIにパッと「アイデアを考えて」と言えば良質なアイデアが出てくる、というレベルでは無く、まだまだ突っ込みどころは多いです。しかし本日お伝えしたように、「工夫」をすればアイデアを得ることができます。アイデアが無い、と悩まずに済む時代に入ってきていると言えるでしょう。
今後、より大切になるのは「実行力」です。
良いアイデアがあっても何もしなければ当然ダメなので、実行力で差が出る時代です。
アイデアはお客様の方で(AIを活用して)作れるのに、なぜ当社が新規事業を支援するのかというと、その実行力です。お客様が実行するのは大変なので、我々がそれをドライブし、実行を支援します。
考える、検討する、作る、売る。その全てにおいて、考えて検討することにも実行がありますので、我々が支援しております。
なお、明治大学に高木先生という方がいらっしゃいます。日本で有名な松尾先生(東京大学)と肩を並べてセミナーにも登壇され、計算型人工知能で世界トップクラスの権威、論文引用も世界第2位という先生です。
この高木先生と当社はタッグを組んでAIに関わるサービス提供が可能です。ご興味がありましたら、ぜひ当社ホームページよりお問い合わせください。
(※この後に行われた質疑応答は、本記事での掲載を割愛いたしました)
1記事目:新規事業テーマ発掘への生成AI活用と、コア技術との組み合わせ方(1/4)
2記事目:成功する新規事業の秘訣~新規事業アイデアを社内承認に導く方法~(2/4)
3記事目:AIが変える新規事業開発~コア技術と成長領域の最適なマッチング法~(3/4)

