多くの企業では、新規事業の立ち上げを成功させるために、市場規模を把握しようとします。その一方で、市場規模の分析が不十分で、事業戦略が疎かになることも少なくありません。新規事業の規模を正確に把握したい方には、「TAM・SAM・SOM」がおすすめです。
本記事では、市場規模を把握しなければならない理由をはじめ、TAM・SAM・SOMの概要や活用例などを紹介します。
目次
新規事業を成功させるには、参入する市場の規模を正確に把握しなければなりません。市場規模を把握することで、事業の可能性を評価し、収益計画の策定、競合分析、投資判断といった重要なステップに直結します。
ここからは、市場規模を把握することが重要な理由を4つ紹介します。
市場規模を把握することは、事業の可能性を正確に評価する上で重要です。
市場規模が大きければ、潜在的な顧客数や売上の可能性が高まり、成長機会を見極めやすくなります。
また、競争の激しさや市場の成熟度も分析でき、事業の差別化戦略を策定できるでしょう。
さらに、投資やリソース配分の適切な判断にも繋がり、事業のリスクとリターンをバランス良く考慮するための基礎となります。
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具体的な市場規模を知ることで、ターゲットとなる顧客数や購買力を推定できます。正確なデータに基づいた現実的な売上目標や価格設定が期待できるでしょう。
また、競合状況や市場シェアの見込みも考慮できるため、リソース配分やコスト構造の最適化も可能です。
サービスの価格は、収益計画を策定するうえで重要な要素です。新規事業におけるプライシングでお困りの方は、こちらのコラムをご覧ください。
市場規模を知ることで、主要なプレイヤーがどれくらいのシェアを持っているかや、新規参入が可能かどうかなどを判断できます。
また、競合がターゲットとしている顧客層や提供している商品・サービスの特徴を理解することで、自社の差別化ポイントや競争優位性を明確にし、適切な競争戦略を策定するためのデータを得られます。
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市場規模が大きければ、潜在的な売上や利益が大きくなる可能性が高く、投資によるリターンが見込めます。反対に、市場が小さければ投資回収が難しくなるでしょう。
また、競争の激しさや市場の成熟度を分析することで、参入時期や成長戦略を適切に評価できます。そのため、投資に対するリスクを減らし、長期的なリターンを見極められます。
市場規模を多角的に捉えるための指標として、TAM(Total Addressable Market)、SAM(Serviceable Available Market)、SOM(Serviceable Obtainable Market)が用いられます。TAM・SAM・SOMは、それぞれ異なる観点から市場規模を測定するため、新規事業の計画策定に役立ちます。
TAM(Total Addressable Market)とは、特定の製品やサービスが提供できる市場全体の規模を示す指標です。具体的には、製品やサービスがターゲットとするすべての潜在顧客を対象とした市場の総価値を指します。
TAMは、事業の成長ポテンシャルを評価するための基本的なデータであり、市場が十分に大きいかどうかを判断するために使われます。
また、投資判断やビジネス戦略の策定において、事業が占める市場シェアや成長余地を見極める重要な要素です。
SAM(Serviceable Available Market)とは、企業が実際にサービス提供可能な市場規模のことです。TAMが理論上の全市場を表すのに対し、SAMは企業の技術力、製品特性、地理的範囲などの要因を考慮した、現実的にアプローチ可能な市場の一部を指します。
SAMは、企業が自社のリソースやサービスでターゲットとできる顧客層を具体的に示し、成長可能性や戦略策定に役立ちます。
SOM(Serviceable Obtainable Market)とは、企業が実際に獲得可能な市場規模のことです。TAMが理論上の全市場、SAMがサービス提供可能な市場全体を表すのに対し、SOMはその中で企業が現実的に得られるシェアや顧客層を示します。
SOMは、競合状況や市場シェア、リソースや能力、マーケティング力などを考慮した上で、実際に収益を見込める範囲を表します。
TAM・SAM・SOMは、新規事業の立ち上げや投資判断の場面で多大な価値を発揮します。
ここからは、TAM・SAM・SOMの具体的な活用例を2つ紹介します。
新規事業を立ち上げる際には、市場規模と収益の見通しを明確化しなければなりません。TAM・SAM・SOMを活用することで、参入する市場の全体像を見据えた収益予測が可能です。
具体的には、TAMで事業が対象とする全体市場の規模を理解し、SAMで自社が実際にアプローチ可能な市場範囲を見積もります。そして、SOMに基づいて、競合の存在や自社のリソースを考慮したうえで、現実的に獲得可能な市場シェアを算出し、事業の方向性や規模感を明確にします。
TAM・SAM・SOMを活用して得た市場規模のデータをもとに、収益目標を設定することで、事業計画の信頼性を高められるでしょう。
また、TAMで市場全体のポテンシャルを、SAMで具体的なアプローチ範囲を把握し、SOMで実行可能な売上目標を見積もることで、投資家やステークホルダーに対し説得力のある収益予測を提示できます。
さらに、競合分析を通じて競争力を強化し、自社の強みを活かした差別化戦略を立てることで、効果的なマーケティングや営業戦略の展開が可能です。
新規事業の立ち上げでお困りの方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業を立ち上げる5つのプロセスとは?「掛け合わせ」アイデア思考法についても解説
TAM・SAM・SOMは、投資判断において重要な役割を果たします。
新規事業や企業に投資する際、経営者や投資家は、TAM・SAM・SOMを活用し、市場規模や収益の見通しを評価します。具体的な市場データに基づき、事業の成長可能性や収益性を正確に見極めることで、投資リスクを最小限に抑えた堅実な投資判断が実現可能です。
また、TAM・SAM・SOMに基づいた資料を準備することで、経営者や投資家との認識齟齬を防ぎます。明確なデータと論理的な説明を通じて、事業の魅力や将来性を効果的に伝えることで、投資家との円滑なコミュニケーションが促進され、迅速かつ適切な投資判断が下されるでしょう。
TAM・SAM・SOMを算出するには、主にトップダウン分析とボトムアップ分析の2つの方法があります。
ここからは、各手法でTAM・SAM・SOMを算出する方法を解説します。
トップダウン分析とは、市場全体を把握し、そこからターゲット市場を抽出する手法です。トップダウン分析では、まず、信頼できる市場調査会社の発表するデータや統計資料をもとに、市場全体の規模やトレンドを把握しましょう。集めたデータを使ってTAMを算出し、市場全体のポテンシャルを評価します。
次に、自社の事業に関わる特定の顧客層を明確にし、ターゲット市場を絞り込みましょう。具体的には、特定の地域、年齢層、消費者の嗜好といった条件を基に、SAMを定義します。SAMでターゲティングすることで、事業においてアプローチすべき市場を具体化できます。
最後に、市場調査データを基にターゲット市場の規模を算出し、SAMの具体的な数値を導き出しましょう。
トップダウン分析は、短期間で市場規模を把握できるため初期の調査に適しています。しかし、利用するデータの精度が低いと、信頼性が損なわれるので注意しましょう。
ボトムアップ分析とは、顧客ニーズから市場規模を積み上げていく手法です。
ボトムアップ分析では、まず、顧客アンケート調査を実施し、顧客のニーズや購買意欲を詳細に把握しましょう。こうした市場調査により、自社の製品やサービスに対する具体的な需要を理解し、潜在的な顧客数を推定できます。
次に、顧客ニーズをもとに、自社の事業を利用する顧客数を予測しましょう。顧客の購買意欲や購買頻度を考慮することで、より現実的な顧客数の見積もりが得られ、SOMが算出できます。
さらに、推定した顧客数と顧客単価を掛け合わせることで、市場規模を算出します。場合によってはフェルミ推定を活用し、すべてのデータが明らかでない状況でも市場規模を導き出してください。
ボトムアップ分析は、トップダウン分析に比べて精度が高いものの、時間がかかります。そのため、慎重にデータを収集・分析してください。
今回は、TAM・SAM・SOMの概要や活用例などを紹介しました。
事業戦略は、目標達成に向けた明確な方向性を示し、リソースの最適な配分を実現します。また、市場環境や競合状況を踏まえた柔軟な対応を促せるため、持続可能な成長が期待できるでしょう。
TAM・SAM・SOMによって最適な市場で事業戦略を策定し、新規事業の成功を目指しましょう。

