本コラムは2025年4月16日(水)に開催した株式会社unlockのウェビナーを、全3回に分けて書き下ろしたオリジナルコンテンツ(最終回)です。
前回の記事はこちら


ここでご紹介するのは6つのチェックリストです。これをチェックしていただくと、企画を作った後、企画が通る確率がまたぐっと上がることになります。
まず1つ目は、「課題をしっかり書く」です。
これはお聞きになった方もいるかもしれません。先ほどのリーンキャンバスでもご説明したように、結局のところは「課題」なのです。とにかく最重要のパートです。
評価者はこのページから様々なことを読み取ります。「こういう課題があるのだなぁ」で終わる方もいるのですが、多くの方、特に経営者の目線では、「課題」から市場規模、参入の余地、将来的な広がりまで、かなり多くのことを読み取っています。しかも選んだ課題というのは、この後に出てくる「解決策」と違って、自分たちのものではないためにコントロールができない、つまり後から変更ができません。課題とは船の錨のようなもので、一度そこに置いてしまったら変更はしにくいので、そういった意味でも最重要なのです。
ここでチェックする内容としては、
① 具体的な数字が入っているか
② なぜこの課題が存在するのかが書いているのか
③ 代替手段はないのか、その代替手段はなぜ有効ではないのか
④ このまま課題を放置するとどうなるのか
⑤ 課題のボリュームは十分か(先ほどのリーンキャンバスを除いて、もし企画書を十ページ作る場合、2~3ページは作ってほしい)
・・・といったところです。
よく見る企画書のパターンは、課題と最初の導入、イントロダクションみたいな形で少し書いて、いきなり解決策です。そんな企画書が非常に多くて、だいたい選考に通らないパターンだと感じています
課題についてしっかり書いてあること。これが今日のほぼ全てのメッセージと言っても過言ではありません。この課題をしっかり書く、ということが非常に重要なのです。
2つ目は、「解決策はわかりやすいか?」という点です。
ここはわかりやすさが重要で、そのわかりやすさをどう表現するのかという、1つのやり方をご紹介しますと、「表にする」ということです。
特に「表にする」中では、「今までとの違いを端的に表す」ということがポイントです。これは非常におすすめです。 画面に提示した表はビフォーアフターみたいな形で、従来と今後を比較しているわけです。
これはあるアイデアの例で、重要なのは「文章」ではなく、「記号的に書くこと」です。厳密には読んでいるのですが、記号ならパッと見て読まなくても理解できます。代表的なのが「〇✖」ですね。これも「遅い」「速い」ではなく「遅」「早」とか、「高い」「中ぐらい」ではなく「高」「中」みたいなことが、記号的です。なぜかといいますと、審査で大量の文章を見ているので、わかりやすさはこういったところに現れてきます。
それからQCDの概念で整理することです。QCDは、製造業の方などよくお聞きになると思うのですが、クオリティ・コスト・デリバリーです。ここで言うと、品質・コスト・スピードです。牛丼チェーン店も「早い・安い・うまい」も、QCDの概念です。このQCDの概念を入れて、表の中でビフォーアフター、今までとこれまでと何が違うのかを端的に整理する。これはだいたいどういった新規事業案でも有効なので、これはそのままぜひ使っていただきたいなと思っています。
プラスアルファとして、「なぜこの解決策なのか」という理由が書いてあること。これが解決策です。「これが僕の新規事業案です」と書くのではなくて、「なぜこれが有効なのか」をちゃんと書いていることが重要です。
続いて3番目、「将来性は書いているのか」です。
将来伸びることや有望であることを明示的に示しましょう。「市場は伸びます!」ではなくて、数字です。先ほどの数字を入れてちゃんと書いているのか、定量的なデータと定性的な情報の両面で補強することが重要です。
例えば、画面に例を入れています。この商品の市場が将来的な展開を見せるのかどうか。現在はZ世代中心の推し活だけど、30代以上世代にも拡大している。ハルメクによる調査では、現在「推し」がいるシニア女性は35.2%で、実在する人物、アイドルとか、いろいろ書いています。こういった調査がパープレキシティなどのAIで調べると出てくると思います。こういった内容をまず入れる。
それから重要なのがこういった数字です。よくありますよね、矢野経済研究所さんも有名ですが、こういったような情報を入れる。訂正データも合わせて入れることで、将来性に関して説明するというのも重要です。
それから4番目、「なぜ当社がやるかを書いているか?」です。
これも非常に重要です。課題や解決策をクリアしたら、次はこの項目をめぐって評価者たちが議論する内容になるため、課題解決策の次に重要なのはこの4番かと思います。
「自社アセットを絡めているか?」、これは自社の特許技術が活用できる、全国の包囲販売網を活用できる、といったことが理想的である一方、難しい面もあります。しかし何かしら自主アセットを絡めて書いてください。
それから、「自社の方向性や計画、方針が言葉として入っているか?」、例えば中期経営計画における重点分野として位置づけられているか、全社戦略との整合性があるか、こういったような内容をぜひ入れてください。
そして「将来的な展開や、貢献収益について触れているか?」という点です。新規事業アイデアは、短期的に見るとあまり儲からそうなものでも、将来的には自社の事業領域を大きく広げるものであれば、通ることがあります。
なので、事業単体の収益だけではなく、例えば「今後はヘルスケア領域での商品展開の足がかりになります」といったように、スイートスポットが現状の事業から少し遠い場合には、遠慮せずに、あまり今考えているアイデアを小さく見ずに、「将来的にまずここから始めて、あらゆる商品の足がかりになる」というように書くと、ポジティブに評価されることは多いです。
5番目は、「実現性について触れてあるか?」です。
実現性に関して、新規性があればあるほど、本来、実現性は薄くなるもので、相反するために書きづらい項目のうちの一つだと思います。
「ムーンショットのようにぶっ飛んだアイデアを考えてくれ、ということで自分は考えたのだから、実現性に関しては特に触れなくていいでしょうか」と言われる方もあると思うのですが、これはぜひ触れていただきたい点です。スモールスタートができる場合は、それをぜひ書いてください。これがあると、投資が大きくても、まず小さく始めてみることができるならやってみよう、となりやすいからです。
それから、「具体的にどのように実現するのか」ということを、今はできなくてもその手順を書いておくのも重要です。実現性に関する情報があるということ、本当はこれを前に進めたいんだけど、という評価者がいた場合にその情報が後押ししてくれることに繋がるので、これも書くボリュームが少なくても、ぜひ書いていただきたいところです。
最後の6番目は、「どうやって売るのか」。
これもとても重要ですが、ここが抜けがちなのです。結局、売れないと新規事業は失敗します。なので具体的にどうやって売るのか、これはやや稚拙であってもいいと思いますが、ここまで考えて書いている、ということがポイントなのです。例えば、画面のようにBtoB市場戦略ではこうです、デジタルマーケティング戦略ではこうです、という内容が書いてあることは非常に重要です。
また、新製品やサービスにクラウドファンディングを入れるというのも有効です。標準的にやっている方も多いとは思うのですが、まずクラウドファンディングから売ってみるみたいなことがあると、販売のハードルが少し下がるイメージを持たれることもあります。
以上、6つのチェックポイントでした。
ここで少々CMに入ります。CMの後にプレゼンが苦手な方向けの対策をお伝えしますので、最後までお聞きいただければと思います。
冒頭でご説明したように、本日の「8割通る」というのは何を根拠にしているのかというと、我々unlock自身がお客様にアイデアを提案して、それを採用いただいている率が、これは新規事業検討チームの方々には8割を超えているのです。ここは約8割ですが、経営会議等で正式に採用いただいている率、このあたりから今日のセミナーの「8割通る」というタイトルを作りました。
弊社では6つのメソッド、今日ご紹介した内容も一部含みますが、画面のような6つのメソッドで皆様にアイデアをご提案しています。
まずは「①自由よりも制約」。ここが今日のセミナーの傾向と対策に当たる部分ですね。「何でもいい」と仰るお客様には、むしろ我々は深くお話をお聞きすることが多いです。結局、本当に「何でもいい」ことがめったにないからです。ですので、制約条件をいただくことにしています。
それから、「②事実からの予測」です。これも先ほどの定量データ、定性データと言っていますが、事実からの予測です。
「③個別の動機付け」は、なぜ御社なのでしょうか?という点です。これも先ほどご説明したことと一致するのですが、なぜ御社にこのアイデアをご提案しているのかというのを、非常に重視しています。
「④リフレーミング」は、我々から見られる御社ということです。御社からは見えない、つまり自社では認識できていないところを我々が改めてリフレーミングを行い、御社の「盲点の窓」を見出します。「⑤他業種での新規事業知見」では、これまでの支援実績からのビジネスモデルやマネタイズ等、なかなか自社だけでは考案できないアイデアを提案可能という点です。最後は「⑥アイデアの志向性チェック」ですね。これも一つの傾向と対策といえますが、こういったことを我々unlockがやるのが、先ほどの8割というパーセンテージを実現できている理由になります。


また、アイデアのご提供だけでなく、検討する・作る・売るというところまで、総合的に支援をしております。本日のセミナーにご参加の皆様の中には、新規事業ビジコンが既に始まっている方もあるかと思います。どうやってアイデアを着想するのか?というテーマのセミナーも行っています。一部上場企業様から、中小企業様、今まさに上場準備中という大きく成長された会社の支援事例もございます。
はい、以上がCMです。ご覧いただきありがとうございました。
番外編ですが、新規事業アイデアのプレゼンが苦手な方向けに、その対策のお話をさせてください。プレゼンの機会がある場合とない場合、また本当に書類を提出したら終わりというケースもあると思うのですが、プレゼンの機会がある場合のお話です。
まず、傾向と対策です。傾向としては、審査する側が本人の熱意を見ていることが意外と多いと言う点です。これは、私は少し意外でした。私が起案者で事業案を出すとき、結局は儲かるかどうかで見られているのだろうし、熱意で押し切るのはむしろ逆効果ぐらいだろう、と思っていたからです。押し切らずともなるべく冷静に淡々と話していたのですが、これは残念ながら逆でした。起案者、プレゼンする人の「熱意」というのは、実は結構見られているのです。
なぜかというと、究極的には、評価者もビジネスモデルだけで評価ができないから、なのです。できないというと大変失礼な言い方ですが、未来のことなので非常に難しい、不確実性が高いのです。だからこそ、どれくらいこの人が「これはいける!」と思っているのかは、重要な評価のよりどころの1つに結果的に繋がるというのが理由です。
次に、その対策です。プレゼンが苦手な方へ、対策を3つ挙げました。
1つ目、「うまく話せないことが問題ではないことを知る」。
聞いている方は上手なプレゼンを求めているのかというところ、別にそうではありません。実際、ほとんどの場合にそうではない、と思います。緊張してしまう、自信がない、よく噛む、これらは全く問題なく、静かな情熱は伝わります。なので、うまく話そうという練習に時間をかけなくても良いと思っています。かのイチローさんは「緊張しない人はダメだと思う」と仰っているぐらいなので間違いないと思います。
2つ目、「書いていることを上から全部話さない」。
これはドキュメントをざーっと目で読む方、それこそ記号的に読む方が多いので、話すことを“効果的”に選んで、強調したいことだけを話す、ということが重要です。
3つ目、「強調したい点で少し声を大きくし、審査員の目を見る(目標3回以上)」。
これは重要です。決めるところを決めて、強調したいところで強調する。これをどこで行うかをあらかじめ決めておけば、程よい緊張になると思います。こういう緊張とパフォーマンスの法則が、この「いい緊張は能力を2倍にする」という書籍に載っているのですが、緊張は無いのもダメ、ありすぎるのもダメ、程よく緊張しているというのが最もパフォーマンスが高くなるそうです。緊張自体は悪くありません。
最後になりますが、画面にあるように、新規事業はこれからの人材としての能力を磨ける最適な仕事だと思っていますので、皆さんにはぜひ大胆不敵に挑戦していただきたいと考えております。
次回セミナーは「調査」がテーマです。新規事業企画がよく通る人が実践していること、という切り口で5月21日にオンライン開催します。
こちらよりお申し込みください。


本日は以上です。ありがとうございました。

