新規事業の立ち上げにおいて、ビジネスモデルは重要な要素のひとつです。
しかし、どのように設計すればいいかわからないという方も少なくないでしょう。
そこで、本コラムでは、ビジネスモデルを設計するときのポイントを解説します。
目次
新規事業を考える際に避けて通れないのが「ビジネスモデルの設計」です。
ビジネスモデルについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業は、アイデアを「面白い」「革新的」というだけで進めてしまうと、長続きしません。
その理由のひとつが、収益を生む仕組み=ビジネスモデルが設計されていないことです。
「ビジネスモデル」について、慶應SFC学部長の國領二郎教授は次のように定義しています。
「誰にどんな価値を提供するか、そのために経営資源をどのように組み合わせ、その資源をどのように購達し、パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行い、いかなる流通経路と価格体系のもので届けるか、というビジネスデザインについての設計思想」
言い換えれば、ビジネスモデルは「誰に」、「何を」、「どのように」届けるかを経営資源の課題も含めて細かく設計することです。
これはサービス事業にとどまらず、メーカーやメディア系など、ほぼすべての事業タイプに対応する「思考フレーム」ともいえます。
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では、なぜ私たちは新規事業の立ち上げに際し、あえてビジネスモデルという抽象的なフレームで考える必要があるのでしょうか?
それは、「単なるアイデア」や「個別機能の良さ」が市場で受け入れられるかどうかは、その価値がどうやって実現・提供されるのか、という全体設計にかかっているからです。
一例として、どんなに優れた製品でも、誰に向けたものかが不明瞭であったり、適切な価格で届けられなかったりして必要なリソースが調達できなければ、持続的なビジネスにはなりません。
逆にいうと、既に存在するアイデアであっても、誰に、どのような構造で届けるかの再設計次第で、十分に独自のビジネスとして成立します。
ビジネスモデルを設計するプロセスは、単なる「図解」や「フレームワークづくり」に留まりません。
事業の実行可能性とスケーラビリティを検証するための仮説検証の起点でもあります。
一例として、顧客や提供価値、チャネル、コスト構造、パートナー構造などを体系的に言語化・可視化することで、事業の盲点が明らかになり、関係者間での共有・意思決定も加速します。
また、新規事業の立ち上げ初期では、プロダクトも市場も流動的です。
そうした不確実性の中で、ビジネスモデルを設計するという行為自体が、将来のピボット(方向転換)を許容する柔軟性を持った戦略的準備ともなります。
つまり、ビジネスモデル設計とは、単なる思考整理や図解のためではなく、「事業を動かすための設計図」であり、「社内外の共通言語」もあり、「持続可能な収益構造の土台」もあります。
ここからは、ビジネスモデル設計でよくある落とし穴を3つ紹介します。
「このサービス、みんな欲しがるはず」という“誰でもOK”発想はビジネスモデルの設計でよくある落とし穴のひとつです。
最終的には誰に売れてもOKなことはもちろんなのですが、顧客像を曖昧にしたままだと、提供価値や流通設計がブレ、あらゆることがぼやけたような状態で進行します。
ビジネスモデルを設計するときは、具体的なペルソナ(年齢・職業・ライフスタイルなど)を描き、「誰が困っていて、何を価値と感じるか」を明文化しましょう。
どのようにターゲットを決めればいいかわからないという方は、弊社のターゲットファインダーをご利用ください。
「まずユーザーを集めて、あとでマネタイズ」は、リスクが高い戦略です。
とくに、BtoC事業では収益モデルの仮説が甘いと、ユーザーは増えても黒字化できず撤退に至ります。
無料モデルで始める場合は、いつどのように有料に切り替えるのか、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の関係性を検証しましょう。
優れたアイデアも、それを実現するリソースがなければ絵に描いた餅です。
とくに、技術系スタートアップは、リソースとパートナーの見込みが甘くなりやすい傾向があります。
ビジネスモデルを設計するときは、自社が持つべき中核的資源(ヒト・モノ・技術)は何か、外部と連携すべき領域は何かを初期段階から明確にしておきましょう。
ここからは、「誰に?」、「どんな価値?」、「どう届ける?」、「成功のポイント」4つの項目をもとにビジネスモデルの成功事例を3つ紹介します。
誰に?:
どんな価値?:
どう届ける?:
成功のポイント:
誰に?:
どんな価値?:
どう届ける?:
成功のポイント:
誰に?:
どんな価値?:
どう届ける?:
成功のポイント:
以下は、國領教授の定義に沿って、ビジネスモデルの主要構成を整理した簡易フレームワークです。


この枠組みに、自社アイデアを当てはめて考えていくと、「足りない視点」や「誤った仮説」に気づきやすくなります。
今回は、ビジネスモデルを設計するときのポイントを解説しました。
新規事業は「思いつき」ではなく、「設計力」が問われます。
メルカリも、NVIDIAも、チョコザップも、「誰に・どんな価値を・どう届けるか」を丁寧に設計し直したからこそ市場で受け入れられました。
同じようなアイデアでも、顧客、提供価値、経営資源の組み方が違えばまったく別の事業になり得ます。つまり、設計こそが勝負です。
ぜひ、ビジネスモデルという「設計思想」を携えて、新しい価値創造にチャレンジしてください。

