2026.4.02

社会貢献性の高い新規事業をやろうとする際のマネタイズ方法はどのようにするべき?

新規事業

執筆者:代表取締役 津島越朗

Q. 社会貢献性の高い新規事業をやろうとする際のマネタイズ方法はどのようにするべき?

A. 事業収益だけでなく寄付や補助金、ファンドレイジングの活用も視野に入れてマネタイズを設計するべき。

社会課題と言われるもののうち、以前から解決せずに残っているものは、直接的な対価を受け取ることが難しかったり、救う対象にお金を支払う能力がなかったりします。

そのため、長期的に問題視されている課題ほど、ビジネスとしてのマネタイズが難しいとされています。

一例として、広告モデルは歴史の長い課題ほどその手段は既に検討し尽くされており、UXを損なうなどしてうまく成立しないと見られるものも少なくありません。

こうした課題に直面したときは、積極的に寄付や補助金の活用を検討しましょう。

有名な大手NPOの会計報告を見ると、非常に多くの利益が出ていますが、実はこれらの団体の多くは「ファンドレイザー」という寄付金を募る専門の営業担当のような人がいます。

また、社会課題の解決という組織のミッションに共鳴し、大手外資系金融機関から転職してくる人もいる企業も少なくありません。

そういったプロフェッショナルがファンドレイザーとして主に企業や団体へ出向き、事業の意義を説くことで、まとまった寄付金を獲得できるようになります。

このような手法は、営利団体でも活用できる場合があります。

新規事業における基本的なマネタイズモデルを知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

新規事業におけるマネタイズモデル8選

【解説】

社会貢献性の高い新規事業(ソーシャルビジネス)を立ち上げる際、多くの企業が「マネタイズの壁」に直面します。

長年放置されてきた社会課題が未解決のまま残っている最大の理由は、技術が足りないからではなく、「サービスを受ける人(受益者)に支払い能力がないから」です。

通常のビジネスは「受益者=支払者」という構造で成り立っています。

しかし、社会課題においては、困っている当事者から直接お金を取ることは困難です。

中には、安易に広告モデル(第三者の企業に広告を出してもらう)に頼ろうとすることもありますが、これも既に多くの人が挑戦し、失敗しています。

ソーシャルビジネスの立ち上げで必要なのは、「受益者と支払者を完全に切り離す」という発想の転換です。

欧米や日本の大手NPOでは、サービスを受ける当事者ではなく、「その課題が解決されることで間接的なメリットを得る人」や「その理念に強く共感する企業・個人」を『真の顧客(支払者)』と再定義し、寄付や補助金という形で資金を集めます。

このような資金調達のプロフェッショナルこそが「ファンドレイザー」です。

ファンドレイザーは、単に「可哀想だから助けてください」とお願いするのではなく、企業に対して「この課題を解決することが、結果的に社会全体や貴社にどういうリターンをもたらすか」を論理的に説明し、CSR予算や協賛金を獲得します。

ファンドレイザーは、NPOに限らず営利企業の新規事業においても強力な武器になります。

ソーシャルビジネスを含めた新規事業立ち上げに必要な知識を短期間で習得したい方は、unlockのアカデミアをご利用ください。

【事例】認定NPO法人フローレンス

病児保育やひとり親支援などの事業を展開する認定NPO法人フローレンスは、「受益者に支払い能力がない」という難題に対し、寄付を戦略的な収益源として確立させた代表的な事例です。

認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹氏は、「ホームレスやカンボジアの子どもたちなど、支援対象に直接の支払い能力がないケースでは、問題解決に関心を持つ第三者を顧客とみなし、そこから寄付を引き出す」と明言しており、初めから「受益者≠支払者」というビジネスモデルを意図的に設計しています。

しかし、単に「こんな社会課題があります」と訴えるだけでは、第三者の財布の紐は緩みません。

認定NPO法人フローレンスが優れている点は、複雑で地味な社会課題を、忙しいメディア関係者や一般企業にも伝わりやすい「イシュー(社会的な論点)」として切り口を整え、発信していることです。

この「課題のイシュー化」によって第三者からの共感と資金を集める手法は、非営利団体に限らず、社会性の高い事業を展開するすべての営利企業にとって応用可能な戦略といえます。

参照元:https://florence.or.jp/news/10936/

【まとめ】

社会貢献性の高い新規事業は、受益者に支払い能力がない場合が多く、通常のビジネスモデルでは収益化が難しいとされています。

そのため「受益者=支払者」という発想にとらわれず、寄付や補助金、企業協賛などを活用する視点が重要です。

課題解決に価値を感じる第三者を支払者として設計するマネタイズ戦略によりソーシャルビジネスを成功させましょう。

問い合わせ先


【代表取締役】
津島 越朗
【設立】
2016年 10月21日
【本社所在地】
東京都渋谷区恵比寿3丁目9番25号 日仏会館5階
【事業内容】
新規事業立上げの支援・コンサルティング
【公式サイト】
https://unlk.jp/