外からの視点を取り入れ、議論を活性化する
津島:
今日はお時間をいただきありがとうございます。まず、御社の新規事業に関しての考え方や、その位置付けについてお聞かせください。
宮澤さま:
新規事業の開拓は、当社にとって非常に重要だと考えています。ご存じのとおり、当社は雑誌『ハルメク』をはじめとした情報コンテンツ、物販、コミュニティ&サービスの三つの事業を主に展開していますが、どれもやり方は少しずつ違うものの、アナログに依存している部分が強いのが現状です。
たとえば、情報コンテンツも物販も、新しいお客様の獲得手法としては今も新聞広告がメインです。新聞も、また雑誌も読む人がどんどん減っている時代に、このまま同じ形で事業を展開していくのは難しい、ビジネスモデルをもう一段進化させていくことが会社としての大きな課題だと感じてきました。
まずは今すでに展開しているビジネスのデジタル化を進めることだと思っていますが、それだけではなく新しいサービスの提供も目指したい。シニア女性が対象というところは変えず、アナログに依存しすぎない新たなビジネスを生み出すことで、次の成長源を作っていけないかと考えています。
津島:
その新規事業立ち上げに向けて、外部コンサルティングを入れようと考えられたのはなぜだったのでしょう?
宮澤さま:
最大の目的は、外から人に入ってもらうことで誰もが自由に意見を言える雰囲気を作って、社内の議論を活性化することでした。
それも、私たちと同じような事業だけをやっている人ではなく、まったく違う世界を知っている人に入っていただきたかった。成功事例や失敗事例も含め、私たちが普段展開しているビジネスの外側、私たちが見えていないところで起こっていることを教えてもらう。それによって、より意義のある議論ができるのではないかと考えたのです。
津島:
現在は、当社のディスカッションパートナーサービスをご利用いただいていますが、同業他社もある中で、当社を選んでいただいた理由はなんだったのでしょうか。
宮澤さま:
一番の決め手は、新規事業立ち上げに関わった経験が豊富におありだったことです。新規事業を立ち上げるのは簡単なことではありませんから、十分な知見や経験のある方にお任せしたいという思いが強かった。津島さんに実際にお会いして、「この方にお願いしたい」と思えたことも大きかったですね。
基本に立ち返り、強みを見つめ直せた
津島:
ありがとうございます。そこから5年近くお付き合いをいただいていますが、私たちからの提案などで印象に残っていることがありましたらお聞きしたいです。
宮澤さま:
以前、ある趣味をテーマにした会員事業を企画していたときに、「インターネットに会員さんの作品を投稿してもらって、そこに他の会員さんがコメントできるようにしてコミュニティを活性化させよう」というプランが出たんです。そうしたら津島さんが「そういうコメントは、皆さん載っていれば読むけれど、自分で書く人はあまりいないんじゃないでしょうか」。よく考えたら、それより前にやはりインターネット上のコミュニティ作りを進めていたときも、なかなかコメント投稿がなくてうまくいかなかったんだった、と思い出して。そんなふうに、いつも適切なご指摘をいただけるのがありがたいですね。
山岡さま:
津島さんには月1回の、新規事業立ち上げに関する会議に出席いただいているのですが、あるときそこで、立ち上げに向けて動いていたオンライン講座事業についての話が出たことがありました。準備を進めてテスト段階までは行っていたのですが、どうも事業化の決め手には欠けるというところで行き詰まってしまい、担当者もどうしていいか分からないという雰囲気になっていたんです。
新規事業立ち上げについての会議の様子
そうしたら、それを聞いていた津島さんが「僕もチームに入って一緒に考えましょうか」と提案してくださって。会議に出席するだけではなくて、直接現場のチームに入ってまで関わろうとしてくださる方なんだなと感じて、とても感激しました。
津島:
ありがとうございます。私自身も、お付き合いが長くなるにつれ、新規事業にとどまらないご相談をいただくこともあって、とても光栄に感じています。
土屋さま:
「顧客との距離が近い」ことが当社の最大の強みですが、それを新規事業にも生かすために「お客様の声を聞いてみたらどうですか」とアドバイスいただけたのもありがたかったです。
もちろん私たちも、「お客様の声をよく聞く」ことが自分たちの特長だと考えているしその姿勢を大事にはしているつもりなのですが、ともすれば当たり前になりすぎていて見落としてしまうこともある。そこで外の視点から「基本に立ち返りましょう」と提案いただくことで、改めて自分たちの強みを見つめ直すことができたと感じました。
山岡さま:
私が担当する雑誌事業でも、「お客様の声を聞く」のに徹してきたことが部数を伸ばせた最大の成功要因で、それがメディアに取り上げられたりもしています。「それなのに、どうしてそれを新規事業にも生かさないんですか」と指摘されて、「ああ、そうだった」と思いました。なぜか、この強みは雑誌事業や物販に固有のものだと思い込んでいたんですよね。
津島:
お客様の声を聞いて情報を集め、分析して生かすという姿勢について、御社は本当に徹底されていると思います。お客様のターゲットを絞るために「ペルソナを作る」というのはよく言われることですが、ここまでやらないと「作った」ことにならないんだなと、私も学ばせていただきました。他のお客様にも「これを参考にしてはどうですか」と御社の手法を紹介させていただくことがよくあるのですが、「とても刺さります」と言われるんですよ。
一緒に成功事例を作っていくために
津島:
外の視点を入れることで「議論を活性化させたかった」というお話でしたが、その点ではいかがでしょう。狙った効果は出ていると感じておられますか。
山岡さま:
はい。私はいつも部下に、新規事業立ち上げについての会議では「津島さんにどんどん質問しなさい」と言っています。私や他の社員とはいつでも話せるのだから、外の知見や経験を豊富に持っている方に、しかも親身に相談に乗ってもらえる貴重な機会を生かすように、と。
宮澤さま:
津島さんに入っていただくことで、各担当者がプランや進捗を発表したときに、ただ他のメンバーから「評価される」だけの構図ではなくなるのも、担当者からしたらやりやすいですよね。
山岡さま:
「どこが問題か」だけではなくて、「どうしたらできるようになるか」を考えていただけるのも嬉しいですね。私たちはどうしても、新しいアイデアが出てきたときにも「得意分野ではないから難しいだろう」などとマイナス面を考えがちなのですが、津島さんはそこに「可能にするためのヒント」をいくつも出してくださるんです。あと、最初に議論の口火を切ってくださるのもとてもありがたい(笑)。
津島:
ありがとうございます。最後に、今後期待されるご支援についてお聞かせください。
宮澤さま:
今、新規事業を進めるにあたってもっとも困難な点は「人」だと考えています。いい企画が上がってきても、今まで自分たちがやってきたのとは異なる分野だと、うまく進めていけるだけの経験や能力を備えた人材がいないことが大きな課題になるんです。現状は新規事業のプランニングのところをご支援いただいているわけですが、将来的にはその後、事業の立ち上げを担える人材をご紹介いただくようなかたちでの支援もお願いできると助かります。
津島:
ありがとうございます。すでに、それに近いようなかたちでの支援をさせていただいている企業様もありますので、ぜひ検討させていただきたいと思います。
山岡さま:
新規事業は、立ち上げてから実際に形にしていくまでが非常に難しいと感じています。一つでも、こうしてアイデアが生まれて形になって、事業として展開していくんだという成功事例が生まれれば、当社の新規事業全体も活性化していくと思いますので、そこに力添えをいただければと思います。
土屋さま:
そうですね。ぜひ一緒に成功事例をつくっていっていただけたらと思います。
津島:
ぜひ。御社の強みを生かし、読者の方の声から新規事業を発想するようなことがもっとできればいいなと考えていたところなので、その面で私も新しい視点からのご提案をできるよう、力を尽くしていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
撮影日:2025年4月6日
撮影:市来 朋久