金融のみならず非金融でも十分なソリューションの提供を

塩野義製薬様取材記事

<写真左から>
(株式会社 池田泉州ホールディングス グループ戦略部)河田様、岡田様、(unlock)津島、小野、壬生
プロジェクト概要と経緯:
池田泉州ホールディングス様には、2022年2月より「アイデアプランニング」サービスをご利用いただき、アイデア5案を提案させていただきました。各アイデア検討いただいたものの、現在のところ、実現には至っていません。その後、当社からご提案したアイデアと類似した企画を他社様が打ち出した状況や、オンデマンド交通事業、広告事業等のアイデアを具体的な形にすべく取り組まれていたこともあり、2023年6月からは「ディスカッションパートナープログラム」の壁打ちパートナーとして再びご利用いただいております。

新規事業をお考えの背景

unlock(壬生):

まずは、池田泉州ホールディングス様で新規事業をお考えになっている背景、目標をお話いただけますでしょうか?

河田様:

生産年齢人口の減少や少子高齢化が進展する中、地域経済を活性化していくことが社会課題となっています。
銀行業界では2021年に大きな規制緩和があり、持続可能な社会の構築に向けて、様々な業務を金融グループで取り組むことが可能になりました。ライフスタイルが変化し、ニーズの多様化・複
雑化・高度化への対応が求められる中、お客さまから選ばれなければ生き残れない状況です。
預金、貸し出し、為替などの伝統的な銀行ビジネスが厳しくなりつつもあり、新規事業を考えていく必要があります。
このような背景から、いま新規事業の検討を始めています。

unlock(壬生):

目標としてはどういったイメージでしょう?

河田様:

プロダクトアウトで銀行が取り扱う商品を「どうですか?」という営業から、マーケットイン、ユーザーインのように「お客様の視点やニーズ」を起点に、新事業を検討し、徹底したソリューションでお客さまのお役に立ち、結果として適正な利潤をいただきながら、収益を上げていくことを目標としています。
我々は銀行業務しかしたことがない中で、非金融分野でお客様のお役に立てて、収益も確保できる事業とは何だろう?と。
ニーズがあって、そこでお役に立てれば、認められて事業としてできるのではないか?と、とにかく色々アイデアを出していました。
我々銀行はこれまで役務提供というより伝統的なストック型のビジネスをしてきたので、徹底してお客様のお役に立って、汗をかいて、結果としてちゃんと利潤をいただくということを考えています。


unlock(壬生):

なるほど、本業の金融業と共に非金融業についても推進されたいということですね。

河田様:

その両方を同じぐらいまで伸ばせるのが、良いのかどうかはわかりません。
銀行の昔からの資産である融資やローン、例えば住宅ローンは35年間お借りいただいて、元利均等返済で利息をいただくビジネスですが、採算面で考えると今もやはり収益が大きい。
しかし、 これからよーいドンで融資をしてどれほどのリターンがもらえるか?というと、簡単ではないんです。
そういう意味では、ゼロからスタートする非金融のソリューションは大変ですが、お客さまのお役に立つことが出来れば、収益を期待できるのではないかと考えています。

岡田様:

現在、金利は少し上がりつつありますが、しばらくマイナス金利が続いていたゆえに新規事業とか、本業以外のところを増やさざるを得ないという背景もありました。
マイナス金利では融資をしてもなかなか儲けられません。住宅ローンもかなり安いですから...

アイデアプランニングを利用してみて

unlock(壬生):

「アイデアプランニング」をご利用いただいてから、新規事業を推進される中で、難しさを感じた部分はありますか?

河田様:

今回のアイデアプランニングでは、5つのアイデアをいただきました。
我々が想像もつかないような、「少なくとも2つはぶっ飛ぶアイデアをあえて出してください」とお願いしたら、まぁ見事に想像もつかない案を出していただきました。(笑)
その5案のうち、自分たちで考えられるようなものは、恥ずかしながら1つもありませんでした。
自分たちが考えうる事業といいますか、自分たちが普段接するお客様の、そのお悩みを聞くところでの事業しか浮かんでいなかったんです。

頂戴したアイデアを採用し検討を開始しましたが、視点・視座の異なるところからアイデアを出してもらった反面、それをどれぐらいで事業化できるのか?収益は?リスクは?と、わからないが故にリスクが先に立ってしまい、うちじゃ無理かもしれない...と具体的に進められませんでした(※1)。
半年か1年ぐらいして、その事業案を他社・他行がやっているのをニュースで見聞きする機会もありました。
そういった意味では、確実性が見えない中でも「やろう!」と進んでいるから新規事業ができているんだろうな、とは感じます。

※1:当時のunlockは、アイデアプランニングという単体サービスのみのご提供で、アイデアご提案後に後にお客様と検討を伴走するプランがありませんでした。現在はご提案後に伴走し検討するご支援が標準的となっています。

unlock(壬生):

具体的な道筋を描きづらかったという感じでしょうか?

河田様:

そうですね、そのプロセスとして、いただいた事業案を関係部署に説明をするところでしょうか。

金融機関はやっぱり保守的で、厳格にミスなく事務フローを回すことを求められて仕事をする中で、どうなるかわからないことに踏み込んでいくとなると...。
総論では賛成を得られて、周りは応援してくれますが、具体化しそうになって、直接あなたの部署に関係しますって話になると、そこの調整が難しいです。

岡田様:

決められたことやマニュアルがあることをその通りやるのは、 銀行員として培ってきた歴史があるのでしょうけれど、マニュアルが無いことをやるとなると、極端にネガティブになるというか、ちょっと怖さが前に出てしまう。
業種的に、新しいものを生み出しにくい文化はあるのかもしれません。

河田様:

アイデアプランニングによる仮説の導き方や市場調査、銀行グループだからこその勝ち筋などをunlockさんから示していただいて、視座が上がりましたし、確かにそれが「勝ち筋だ」と思えるものでした。

ただ、そこまで情報を提示いただいてもなかなか踏み込めない原因は、実現に向けて自分たちでやれる、やり切るという【想い】の部分が大きいように感じます。
実際にやるとなると、少なくとも我々がやりたいことじゃないと、前に進めるための【想い】をしっかり込められないのかもしれません。

unlock(壬生):

関係部署に説明するのが難しかったというお話も、先ほどいただきました。


岡田様:

はい、業務として落とし込んでいく部分に、やはり難しさがあります。

河田様:

関係部署からすれば、現状の業務に忙しくしている中で、我々グループ戦略部が好きにアイデアを考えて「こんなん面白そう、やってみようや」って言われて、業務負担が増える感じですね。

unlock(壬生):

さらに、今の業務からの距離が離れれば離れるほど、難しさが出てきてしまうような...?

河田様:

そうです。
ぶっ飛んだアイデアになればなるほど、「やってください」と言われた部署は「何それ? 何を調べたらいいかわからない、何で?」ってなるんですよね。

 

池田泉州×unlockのスタート

unlock(壬生):

そもそもunlockにコンサルティングのご依頼をいただいた経緯は、どのようなことだったのでしょうか?

河田様:

もう、ネタみたいな感じです。(笑)
普段から『売り込み』は多くて、部署宛に送られてくるいろんなダイレクトメールを取捨選別するのですが、そういうのを見るのが好きな当時の担当役員の机にunlockさんからのDMを置いたら「それ、おもろいやん」となったんです。
それで連絡させていただいたのがきっかけで、私もびっくりしましたけどね。(笑)

岡田様:

そうそう。(笑)

河田様:

そこからunlockさんとのミーティングには担当役員が最初から参加しましたし、その後の打ち合わせにも役員が参加することが多く、津島さんと直接やりとりできたこともあって、アイデアプランニングサービスを契約することになりました。

unlock(津島):

最初に御社でお話をお聞きした時は、当然ながら社内でアイデアを出すことにこだわっていらっしゃいましたね。その後、弊社のアイデアプランニングを使っていただいた時は、「社内ではなかなかこれはっと思うアイデアが出ない」と...。

河田様:

はい、担当役員のアイデアが一番多かったですけど、30~40くらい色々な事業案を出していました。
これをやればどれだけお客様のお役に立てるか、どれだけの収益が見込めるのか、40案を同時進行で検討できないので選んでやろうとなった時、そこから先に進む『きっかけ』がどれも薄かったのです。
そこで我々だけじゃなく、外部から知見や事業案をもらってみようという話になり、unlockさんとの契約に至りました。

ディスカッションパートナーとしての現況

unlock(壬生):

現状としまして、弊社からご提案さしあげたものを進めることになっているのでしょうか?

河田様:

今は、ご提案いただいたところからネタを常に温めている感じです。
オンデマンド交通事業や広告事業などのアイデアから、その1歩先を具体的な形にしていこうと取り組んでいた最中に、unlockさんの「ディスカッションパートナープログラム」を提案いただいたんです。

我々はこれまで、壁打ちとか、新規事業の立案までを外部の方に伴走していただく契約をしたことはありません。
自分たちだけでは分からないことが多すぎる中で、壁打ちをしてもらえる相手がいるとやっぱり違いますね。

岡田様:

私は数年前に本部で商品やサービス開発担当をしていたのですが、そうはいっても銀行業務の中での新商品です。
それに、何か新しいものを考える時って割と孤独で、相談する人も意見を言ってくれる人もいない中で、自分だけが盛り上がっているという状況がどうしても生まれがちなんですよ。
そこを、環境も立場も異なる会社の方々と壁打ちして、いろんなやり取りができるのは、自分の考えと世の中とのズレを直していく貴重な機会になりますね。

unlock(壬生):

ディスカッションパートナーをご利用いただく中で、津島やコンサルタントからどんなコメントやアドバイスがありましたでしょうか?
このサービスには1時間程度の持ち帰り業務も含まれているので、そのあたりの感想もぜひお聞かせください。

岡田様:

壁打ちというところでは、我々が調べたい部分で、代わりに手を動かしていただいてました。それも1時間程度の調査とはいえ、それなりのボリュームがあるので、その上で議論できるのは非常に効率的に捉えています。

両社が同じレベルというより、unlockさんがその情報量や知識量の高いところからスタートするんですよね。
我々も新規事業の検討を進める中では、自分たちの情報量がだいぶ多い状態で相手とやり取りが始まったりするのですが、unlockさんとは逆のポジションから始まるのは、非常に有効に受け止めています。

コンサルティングサービスでの新しい発見

unlock(壬生):

これまでご支援させていただいている中で、何か新たな発見や参考になるようなものがありましたら、ぜひ教えていただけますか?

岡田様:

先にunlockさんに詳しく調べていただいて、その情報を我々がちゃんと理解してから臨む、という点でしょうか。

河田様:

一般的なコンサルティングでは、事業について意見を受ける形かもしれませんが、unlockさんからはデータをいただけるので、それを読み込んでいって、ここにこう追いついていってという感じです。
自分たちの調査方法にも改善の余地があるな、と感じさせられています。
正直、1時間でunlockさんはここまで調べることができるのか?どうやっているんだろう?と驚いていますよ。(笑)

unlock(小野):

いつも直前での資料ご提出になって申し訳ないのですが、毎回しっかり読み込んでいただいてありがたいです。

河田様:

実際、新規事業のテーマが決まっても、新規事業開発だけが我々の業務ではないので、調査などで、確りと時間をとって手を動かせる人間が少ないのも事実です。
そこで、「これを検証するためにこれを知りたい、調べておきたい」とunlockさんに依頼して、調査結果をいただいて「あぁ、そうなのか」となるんですよね。
それから、きちっと課題やゴールを共有して打ち合わせできて、次までにここまでやっておかなければと、良い意味でのスケジュール管理もしてもらっています。

unlock(小野):

はい、いつもご協力いただきありがとうございます。

河田様:

僕の中にすごく残っているのは、津島さんが言われた【実証のループに迷い込まないようにしましょう】というアドバイスです。
新しいことをやろうとしたらまずニーズ調査をして実証実験をするわけですが、 まだニーズ調査もしてない立ち位置からいくと、いつのまにか実証することがゴールになってしまう。
本当のゴールを意識して、実装して、事業化にもっていければと考えています。

unlock(壬生):

今後、unlockにはどのような支援を期待されますか?

岡田様:

今のやり方には満足しています。

河田様:

資料を作ろうと思ったら、こういうふうに調査して、その結果こういう答えが出る、という流れがあるんですが、unlockさんでは既に「調べ方」や「考え方」をサービスとして提供されていると理解しています。
うちは『壁打ち』サービスを使わせてもらっているので、こういう形で良かったです。
あと、いろんな会社さんの事例や成長戦略の情報をいただくのも刺さりますね。

岡田様:

我々に集まってくる情報は関西エリアの情報がほぼ全てですが、unlockさんはもっと幅広い、『先』の情報を我々に提供してくれるんですよね。

河田様:

確かに。海外の金融機関の事例の話になった時は、まぁ気にしていなかったなと。
我々は内々しか考えてないので。(苦笑)

岡田様:

unlockさんからいただく資料には、海外の事例も出てきます。

河田様:

うちは文系が多いのですが、英語になった瞬間にもう情報アクセスしないような面がありますからね。(苦笑)

unlock(津島):

弊社はボーダーレスなので、ぜひそのあたりはお任せください。

事業化にむけた社内の動き

unlock(津島):

リソースが足りないという問題で、新規事業をなかなか進めていけないというお話がありました。
今は調査という面でサポートさせていただいていますが、例えば実証実験とか、もっと事業の検討に関わる部分ではいかがでしょうか?

河田様:

リソース不足の点では我々の組織も少しずつ変わってきていて、この10月からは複業(複数業務)がデュアルキャリアで可能になったんです。
そこで「複業者を募集します」という形で、週1回で2名、現場の営業店にいるメンバーを集めました。

unlock(津島):

柔軟にリソースを集められるようになったんですね。

河田様:

はい。ただ、週1日だけなんです。
やってきたことをそこで共有しても、残り4日はそれぞれ支店で普段の業務をしているので、それなりに負荷はかかっているのですが、刺激にはなっていると思います。

今後に向けて

unlock(壬生):

将来的にどのような形で新規事業を展開したいとお考えでしょうか?

河田様:

先ほどの「実証ループ」に巻き込まれずに始めたい、と思います。
例えば、銀行の「媒体」を増やしたり、広告という業務でも幅を広げていくことができるのでは、と。

それと、銀行だからこそ、金融×データで何かできないかと。メガバンクさんのようなことができるわけではないにせよ、データを活用しながらお客様に情報提供することも考えています。

岡田様:

なぜ地方創生かというと、地方から若い生産年齢人口が東京にどんどん集まっている一方、東京では子育て環境や生活水準で厳しい面もありますよね。
兵庫県明石市は子育て支援を集中的に行った結果、若い人が集まって子供が生まれて、良い循環が始まっています。
地域を活性化する、つまり地域創生で 地域に応じた施策を選んで、それを集中的にやらないといけないんです。

地域での「負」の回転を、いかに「正」の回転にするかという問題に取り組むのは、地域金融機関としての義務、使命だと思いますし、それがどこまでできるかですね。

unlock(津島):

ディスカッションパートナーとして引き続き、尽力させていただきます。
本日は本当にありがとうございました。

 

塩野義製薬様取材記事

撮影日:2023年10月25日
撮影:奥野 由記