AI時代の新規事業アイデア創出

 

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(unlock) 小野、津島 / (塩野義製薬株式会社 DX推進本部 DX新規事業推進室) 安藤様、齋藤様

 

新規事業の検討を進める中で、プロジェクトがなかなか前に進まない。
塩野義製薬さまでは、そうした課題意識のもと、unlockのアイデアプランニングをご利用いただきました。

 

AIの進化によって、誰もが一定水準のアイデアにたどり着きやすくなった一方で、似たような発想に収れんしやすいという新たな難しさも生まれています。今回は、AI時代におけるアイデア創出の難しさや、外部視点を取り入れることで生まれた変化、さらに今後unlockに期待される役割について、お話を伺いました。

 

新規事業をご検討される中で感じていた課題

unlock(小野):
新規事業をご検討される中で、ご依頼当時に感じられていた課題や背景について教えてください。

塩野義製薬 安藤さま:

一番大きかったのは、進めているプロジェクトがなかなか前に進まないことでした。
社内では新規事業をステップ制で進めており、段階的に精度を上げながら事業化を目指しているのですが、どうしてもアーリーステージで止まってしまうものが多かったんです。PMFまで到達する案件が少ないという課題もありました。

 

もちろん、レイトステージまで進んだ案件もあります。ただ、その場合も別のボトルネックが出てきます。振り返ると、そもそも初期段階で考えているアイデアのレベルや解像度が十分ではないのではないか、という課題感がありました。

 

新しい事業は、後半で急に強くなるものではなく、初期の仮説設計や構想の質がかなり重要です。そこが弱いままだと、どこかで失速してしまう。部署としても、その点に強い危機感を持っていました。

外部パートナーを活用しようと考えた理由

unlock(小野):
そのようなご状況の中で、外部パートナーを活用しようとお考えになった理由を教えてください。

塩野義製薬 安藤さま:

率直に言えば、自分たちだけでは新規事業のケイパビリティが十分ではない、という認識がありました。
私たちは製薬会社として、これまで製薬産業のバリューチェーンの中で事業をしてきました。研究開発や医薬品の提供については強みがありますが、「それをどうビジネスにするか」「どう売れる形にするか」という観点は、どうしても弱くなりがちです。

 

製薬会社はある意味、制度やルールに支えられたビジネスモデルでもあるので、新しいことを考えようとすると、どうしても“当たり前の範囲”に収まってしまう。
社内にも「自分たちでやれるのでは」という声はありましたが、0から1をつくる最初のフェーズこそ、外部の力を借りたほうがいいのではないかと考えました。

 

塩野義製薬 齋藤さま:

当たり前のことしか出てこない。だからこそ、少し突飛なくらいのアイデアを考えないといけないのではないか、という話をしていました。

 

自分たちにはない視点や、異業種の知見を持った方に入っていただくことで、考え方そのものを揺さぶってもらいたいという期待がありました。

 

unlockを選んだ理由

unlock(小野):

数ある選択肢の中で、unlockをお選びいただいた決め手は何だったのでしょうか。

塩野義製薬 安藤さま:

大きかったのは、以前「やりたいねん!」でご支援いただいたときの印象です。
その際、unlockさんがメンタリングしたアイデアが採択されていて、「あ、その角度で来るんだ」という驚きがありました。

 

他の支援会社さんにも入っていただいていましたが、unlockさんは発想の置きどころが少し違っていたんです。加えて、対等に議論してくれること、必要なことはずばっと言ってくれることも大きかったですね。

 

社内で新規事業を進める立場にいると、どうしても上を説得しないといけない場面が多くなります。実際、「大手のコンサルじゃないの?」という声もありましたし、説明するのは大変でした。ただ、以前のプロジェクトでも、これは難しいですよとはっきり言ってくださったことがあって、本当にフラットに議論してくれるパートナーだと感じました。

 

そういう意味で、「本当のことを対等に言ってくれる」という点は大きかったと思います。

AI時代だからこそ感じていた不安

unlock(小野):

unlockへご依頼いただく前は、どのような不安を感じていらっしゃいましたか。

塩野義製薬 齋藤さま:

社内では「AIでできるのではないか」という声もありました。
実際、AIを使えば、一定水準のアイデアはかなり早く出せますし、整理もできます。だからこそ、AIを超えるアイデアが本当に出てくるのか、という期待と不安の両方がありました。

 

一方で、AIを使う時代だからこそ、どうしてもみんな似たようなアウトプットになってしまう感覚もあります。当たり前のこと、正しそうなことは出てくる。でも、そこから一歩飛び出した発想になるかというと、なかなか難しい。

 

私たちが欲しかったのは、単なる情報整理ではなく、「そんな切り口があったのか」と思えるような新しいインプットでした。

 

unlock(津島):

なるほど。AIが普及している今だからこそ、そういう悩みが出てくるんですね。とても勉強になります。

アイデアプランニングを通じて感じた変化

unlock(小野):

その不安や課題に対して、今回のアイデアプランニングをご利用いただいて、どのような変化がありましたか。

塩野義製薬 安藤さま:

率直に言うと、「さすがだな」と思いました。
私たちはどうしても製薬会社、ヘルスケアという枠の中で物事を考えがちです。その閉じた環境の中でイノベーションを起こすのは、本当に難しい。

 

本来イノベーションというのは、異なる業種や異なる技術との掛け合わせから生まれるものだと思うんです。そういう意味で、ヘルスケアに閉じず、さまざまな業界のプロジェクトに関わっているunlockさんだからこそ出せるアイデアがあったと感じました。

 

私たちの中にはなかった視点や、普段接していない情報が持ち込まれたことで、「ここまで発想を広げられるのか」と感じました。それは単に珍しいアイデアだったというより、自分たちの考え方の枠組みが変わったという意味で、大きな変化だったと思います。

2つのアイデア提案について

unlock(小野):

unlockから2つのアイデアをご提案させていただいた際、それぞれについて率直にどのような印象を持たれましたか。

塩野義製薬 齋藤さま:

どちらも方向性が異なっていて、それがまず良かったです。
同じ会社からの提案なのに、発想の起点が違うので、比較しやすかったんですよね。

 

一つは、どうやってビジネスとして成立させるか、どう売っていくかという視点が強い提案でした。
製薬会社にいると、どうしても「効果効能があれば売れる」という考えに寄りがちなのですが、実際にはそれだけでは不十分です。誰に、どのように価値として届けるのかまで含めて設計しないと事業にならない。その視点を強く感じました。

 

もう一つは、より発想の飛躍がある提案で、「こういう作り方もあるのか」と感じるものでした。社内では「それは実現できるのか」「やっていいのか」という議論も当然出ます。でも、だからこそ面白かった。自分たちだけでは出てこない角度でした。

期待と比べて良かった点

unlock(小野):

事前に抱かれていた期待と比べて、良かった点や想像と異なっていた点はありましたか。

塩野義製薬 安藤さま:

一番良かったのは、きちんと“違うもの”が出てきたことです。

 

方向性が異なるアイデアだったので、私たちとしても比較して判断しやすかったです。

 

また、私たち自身が本当は何をやりたいのかということも、提案を通じて整理できた部分がありました。

 

塩野義製薬 齋藤さま:

研究職の視点からすると、どうしても「作る」という発想が中心になります。

 

ただ、新規事業として成立させるには、そこをどう組み立てるかが重要です。今回の提案を見て、新規事業の壁を乗り越えられるかもしれない、という感触を持てたのは大きかったです。

採用・不採用を分けたポイント

unlock(小野):


ご採用いただいたアイデアと不採用のアイデアの間で、評価が分かれた要素はどういったところですか。

塩野義製薬 齋藤さま:

最終的には、アイデアそのものの方向性だったと思います。

私たちはこれまでヘルスケアの文脈の中で考え続けてきたので、どうしても認知バイアスがかかってしまう。今回も、提案を受けたことで「自分たちは少し閉じていたのかもしれない」と気づかされました。

 

採用したアイデアは、私たちがこれから目指したい方向と、塩野義製薬として活かせる強みの接点がより明確に見えたものだったと思います。

一方で、不採用だったものも否定されたわけではなく、「今の自分たちにとってどちらを先に進めるべきか」という判断に近かったです。

unlockならではと感じた点

unlock(小野):


今回のアイデアプランニングを通じて、unlockならではと感じられた点があれば教えてください。

塩野義製薬 安藤さま:

やはり、異業種の知見を持ちながら考えていただける点だと思います。

私たちはどうしても自分たちの業界や既存事業の延長で考えがちですが、unlockさんは普段からさまざまな分野の事業づくりに関わっておられるので、アイデアの引き出しが違うと感じました。

 

また、単に「面白い案」を出すのではなく、こちらが本当にやりたいことや、乗り越えたい壁に対してどう効くかという視点で考えてくださったのも印象的でした。

その意味で、単なる発想支援ではなく、思考の枠組み自体を広げてもらった感覚があります。

 

今後unlockに期待すること

unlock(小野):


今後、今回のアイデアを形にしていく中で、unlockに期待する役割やサポートがあれば教えてください。

塩野義製薬 安藤さま:

アイデアとしては強いものが出てきたと思っています。

ただ、その次に必要なのは、「誰が買ってくれるのか」「どの層にどう届けるのか」を見極めることです。

 

そのためには、アンケート調査やインタビュー調査を通じて、どんな人に刺さるのか、アーリーアダプターになりうるのは誰かを明らかにしていく必要があります。

さらに、その方々に対してどうマーケティングしていくのか、どう価値提案をしていくのかという設計も重要です。

 

安全性の観点も含め、事業化に向けて必要な検証はこれからたくさんあります。

そこを一緒に伴走していただけると、とても心強いです。

 

unlock(小野):

本日は、貴重なお話をありがとうございました。引き続き精一杯ご支援させていただきます。

2025年11月に移転されたグローバル本社「グラングリーン大阪」にて

撮影日:2026年3月3日
撮影:奥野 由記