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新規事業のPoC(概念実証)において、よくある失敗のひとつが「聞ける人にしか聞いていない」というパターンです。
BtoCの場合は、自分の知り合いのみにヒアリングすることが挙げられます。
新規事業のPoCなどに協力してくれる人やこちらも声をかけやすい人というのは、自身に対して一定以上の好意度があることがほとんどです。
そのため、バイアスがかかった回答になりやすい傾向があります。
BtoBの場合も同様に、聞く会社の種類は正しいのにもかかわらず、聞くべき相手の設定が間違っており、正しい答えが得られないことはよくあります。
一例として、「製造業大手」という会社選び自体は正しくても、聞く相手を間違えると全く違う答えが返ってきてしまうことがよくあります。
PoCについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業の初期段階におけるPoCで最も警戒すべき罠は、「偽の成功」です。
そんな「偽の成功」が生じる最大の原因は、適切な人にヒアリングできていないことです。
とくに、「アクセスしやすい人に聞いてしまう」というミスは起こりやすい傾向があります。
一例として、BtoCで友人や知人にヒアリングしてしまうと、関係性を悪化させたくないという思いから無意識に「いいね」や「たぶん使うよ」というように好意的に回答してしまいます。
このような意見を取り入れて開発を進めてしまうと、いざ市場に出した時に誰も買わないという悲劇が起きます。
また、BtoB事業においては「ペルソナ(役職・部門)の解像度不足」が致命傷になります。
企業というものは、部門や役職によって抱えている課題やKPIが全く異なります。
システム導入のPoCにおいて、「製造業大手」というターゲット企業群が合っていたとしても、本来「現場のIT部門」の業務効率化ツールであるはずなのに、決裁権を持つ「経営層」や、たまたまコネクションがあった「購買担当」にヒアリングしてしまうと、ピントのずれた感想しか返ってきません。
このように、「聞ける人」ではなく、自社のプロダクトが解決しようとしている課題の「真の当事者」を見つけ出し、仮に耳の痛い意見であっても事実をヒアリングすることが正しいPoCの絶対条件とされています。
PoCだけでなく、さまざまな手法で新規事業に役立つ情報を取得したい方は、unlockのマーケットリサーチをご利用ください。
Digsy(米・商業不動産テック)は、商業不動産のブローカーとテナント候補をつなぐプラットフォームとして開発されました。
Digsyのターゲットとなる商業不動産のブローカーには、物件オーナー側につく「リスティングブローカー」と、テナント側につく「テナントレップ」の2種類が存在します。
Digsyは当初、リスティングブローカーを中心にヒアリングを重ねました。
リスティングブローカーに事業アイデアを説明するたびに強い興味を示され、熱狂的な反応を得ていました。
しかし、いざ実際にテナント候補を送ると完全に無視されてしまいました。
そこで、好意的なフィードバックをくれたリスティングブローカーへ確認すると、「プラットフォームを直接必要としている当事者」ではなかったことが判明しました。
つまり、すでに自前の物件リストを抱えるリスティングブローカーにとって新規リードの切迫度は低く、本当にリードを喉から手が出るほど必要としていたのは、常に新規クライアントを探している「テナントレップ」側だったのです。
そこで、聞く相手をテナントレップへと切り替えた結果、「40件以上の新規クライアントを獲得できた」と評価される急成長サービスへと転換できました。
このようなDigsyの事象は、「商業不動産ブローカー」という業界ターゲット自体は正しくても、その中の「誰に聞くか」を間違えたことで、好意的だが実態を伴わないフィードバックに事業が殺されかけた典型例です。
参照元: https://www.inc.com/oscar-raymundo/listening-to-customers-almost-killed-this-startup.html
Digsy以外の新規事業成功例について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業のPoCでは、「聞ける人」ではなく課題の当事者であるRight Personにヒアリングできているかが重要です。
知人など好意的な相手の意見はバイアスがかかりやすく、誤った判断を招きます。
さらに、新規事業のPoCを成功させるためには、安易なポジティブ評価に惑わされない視点も欠かせません。
企業だけでなく部門・役職まで見極め、正しい相手から事実を得ることを意識しましょう。

