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2024.2.28
通る新規事業企画書の書き方とは?通過率が劇的に改善するチェックリストも紹介!
新規事業

通る新規事業企画書の書き方とは?通過率が劇的に改善するチェックリストも紹介!

新規事業において、事業アイデアが採用されるかを判断する上で "良い企画書" を作成することは避けられません。では "良い企画書" を作るにはどうすればいいのだろうか。その方法を順を追って解説していきたいと思います。
本記事では、以下4つの内容をお話します。
  1. 新規事業は傾向と対策である。
  2. 傾向の見方
  3. 対策の仕方
  4. 通過率を飛躍的に高める6つのチェックリスト
こちらを理解できれば飛躍的に通過率を高めることができます。では早速スタートしましょう!
※本コラムは2024年1月に行った株式会社unlockのウェビナーの内容を書き下ろしたオリジナルコンテンツです。

企画書を通すための傾向と対策

まず、傾向と対策のお話をしましょう。「新規事業傾向と対策」と聞くと、新規ビジネスの提案なのに傾向と対策?そんなことじゃなくて、世の中に必要とされてるかどうかが新規事業なんじゃないの?ちょっとテクニック的で違和感があるんだけど・・・。とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。なぜ「傾向と対策である」と言えるかというと、どんなにいいアイデアでも、社内で通らないと成立しない、つまり意味がないからなんです。 ここが社外で自分で起業するアントレプレナーと社内起業と呼ばれるイントレプレナーの大きな違いの1つだと思っています。ですので、 当社(unlock)では、読者の皆さんが所属されてる会社の傾向を知って、対策をしてアイデアご提案をしているため90%のアイデア採用率をいただけるということなのです。ですので、このようなお話を最初にさせていただいています。そもそも、皆さんにも考えていただきたいのですが「成功するアイデア」はいつも「評価されるアイデア」とイコールでしょうか。どうでしょうか?

成功する事業は「評価されやすい」のか?

次のように考えられると思います。
以下の画像を見てください。縦軸に評価されやすい/されにくい、横軸に成功する/成功しないとあった時に、皆さんは1番を期して、新規事業案を考えられたり提案されたりするのは、言うまでもないところだと思います。ですが、問題は2番と3番が存在するというところです。つまり、皆さんが提案してるアイデアは成功するんだけども、社内で評価されにくいというセグメント(2番)になることもあるというのがメインメッセージです。
では、本当は成功するんだけど、評価がされなかったアイデアって実際にあるの?という点ですが、実はたくさんあります。枚挙にいとまがないと言ってもいいと思います。有名スタートアップのピッチコンテストでも全然評価されなかったけど、その後上場したり、またはポジティブな意味でバリューアップのM&Aがされたりという事例はたくさんあります。
例えば、マネーフォワードさん・freeeさんをはじめ、ビザスクさんやウェルスナビさんなどが挙げられます。

評価されやすい/されにくいアイデアとは?

ではどのようなアイデアが評価されやすいかですが、当社のお客様をご支援していく中で多くお伺いする評価されやすいアイデアはこういったものがあります。
  1. 自社で権利を保有してライツビジネスを展開できる
  2. 海外マーケットも視野に入れられる
  3. 新規性が高い
  4. なぜそれが必要とされるかのストーリーで語ることができるか。
  5. 自社のグループミッション「◯◯」を体現する
こういった案が評価されるということを実際に社員様に提示されています。その反対に、「これは評価されにくいアイデア」ということで紹介された例は以下のものがあります。
  1. お金の匂いがしない
  2. 成果が出るまでに極端に時間がかかる
  3. ◯◯グループのイメージを損ねる
などなど、こういったことをお伺いしました。
今見ていただいた内容について皆さんどうでしょう。皆さんの会社のアイデア採用基準と比較してどれぐらい同じでしたでしょうか。
結構違ったんじゃないかなと思います。採用基準は会社ごとにかなり違うというのが我々(unlock)が見てきてる傾向です。
そうだとして、なぜ会社ごとにこんなに基準が違うんでしょうか。

会社ごと新規事業アイデアのスイートスポットが異なる

採用されやすいアイデアと採用されにくいアイデア、言い換えると、評価されやすいアイデアと評価されにくいアイデアの基準がこんなに違うのか。
これには答えがありまして、 会社ごとに、いわゆる "スイートスポット" と当社では呼んでますけども、会社が望んでいて評価しやすいエリアが違うからというのが1つの答えになります。これは本当に会社ごとにバラバラです。以下の画像はアンゾフのマトリックスですね。
左下が皆さんの今の会社の事業ドメイン。展開しているビジネスですね。1つの軸として、商品、サービスがあって、もう1つの軸に市場とか顧客があります。今の商品、サービスを今のお客様ではなく、別の新しいお客様に売る。例えば、日本で売ってるんだけど、海外で売ろうってやつですね。日本国内でも女性に売ってたのを男性に売ろうとかも同じです。
縦は同じお客様に違う商品を売ろうと。例えば、今のお客様に、ヘルスケア関係の器具を売ってるんだけど、ヘルスケア関係のサプリメントを売ろうとかですね。そういったものがこの左上になります。 あまりに新規性の度合いが高まってくると「これ本当にできるのかな?」とか「これうちに関係あるっけ?」みたいな形でどんどん乖離していきます。
一方で、今の事業にあまりに近いと、確かに実現はできるし、すごくイメージはつくんだけど「これ新規事業なのかな?」「オプション商品じゃないの?」という形で、これはこれで面白みを感じない。つまり評価されにくいってことが起こります。つまり、会社ごとにちょうどいい距離感、 "スイートスポット"が存在します。ここが会社ごとに違うので、先ほど話にあった採用基準の傾向が会社ごとに違うと。そのため会社ごとの傾向を掴んで初めて、評価されやすいし成功する事業が生まれるという最初の趣旨になります。
はい、ここまでよろしいでしょうか。傾向と対策が大事だということはわかっていただいた上で、具体的に傾向ってどうやって見るの?というお話に行きましょう。

傾向の見方

募集要項を熟読しよう

傾向ですけれど、いくつかの見方があります。まず、比較的大きな企業を中心に、大体の企業で募集要項のようなものがあります。
もし皆さんの会社でも募集要項があれば一緒に見てみてください。何の変哲もない内容に見えるんですけれども、 審査の重要なポイントがあります。意外と流しがちなんですけど、1つ1つ見ていくと例えば、『アイデアの独創性・独自性』と書いてあるとします。『着眼点がかつてなかったような斬新さがあること』という文言もあるとしたら新規性が結構大事なんだなと判断できると思います。新規事業だから新規性があるのは当たり前だろと思うんですが、「ここが新しいです」とか「こういう点で新規性が高いです」ということを実際の応募シートまたは企画書の中で強調する必要があるなと読み取れます。
それから、少し読み進めると、アイデアの実現性ですね。『ムーンショットレベルな壮大なアイデアを歓迎します』とあったとします。つまり、新規性が高く、しかもスケール感としても結構大きいものを求めてるんだなということですね。この点も「スケールが大きいですよ」ということをやはり明示的に書かないといけないんだなと読み取れます。それから『社会課題に対するインパクト、アイデアの実現が社会課題の解決に貢献するか』という文言もあったとします。例えば、社会的に困ってる方々、また場合によっては、社会的弱者というような方を対象にしてる場合は、それは言うまでもないでしょうと判断するのではなくて、ここは「こういう社会課題に向き合ってます」ということをしっかりと強調する必要があります。これが募集要項から見る傾向のお話です。

会社の目指す方向を確認しよう

続いて、会社の目指す方向を確認しましょう。これもともすれば、日々メッセージを会社から聞いてるので言うまでもないだろうとか、当然自分たちはそこを網羅しているはずだと思うんですが、意外と見落としがちです。
具体的に見るべき対象資料としては、会社の中期経営計画や会社で定期的に共有されることがある事業戦略や社長・役員の発言、インタビューですね。こういったものが社外、社内にあると思います。これらから、会社が目指す方向も、改めて確認することは重要です。
とは言ってもですね、皆さんの考えた事業アイデアを、今お伝えした内容に迎合させていったり、合わせるというわけではなくて、あくまでも主軸は皆さんがお考えになった事業案であるべきです。ですが、その軸をしっかりと持ったまま、 会社が目指す方向との一致を起案者自身が証明をする。「こういう点で一致してます」ということをきっちり明言していくということが重要だというのがメッセージです。
ちょっとテクニック的な話をしますと、使われてる用語はそれをそのまま使うということも結構重要です。
例えば『ヘルスケア4.0』という言葉を社長が使ってたら、「新しいヘルスケア」と言い換えず『ヘルスケア4.0』と言ったほうがいいですね。こういった言い替えずに用語をそのまま使うというのも、明確に自分たちの方向性が一致してるということを示す上で重要です。
採用される新規事業案は、会社の目指す方向の先にあることが多く、新規事業案が会社の目指す方向と一致していると、加点がされやすいというところも非常に傾向と対策的だなと我々(unlock)は考えております。

なぜ傾向を読み取らなければいけないのか?

改めて、なんでそんなことしないといけないの?ということなんですけども、あらゆる新規事業案の審査において、評価者の間で賛成と反対に分かれることが結構多いです。我々も審査員をさせていただくことがあるんですけども、もうほとんどと言っていいと思います。
その中でどうやって採用アイデアを決めるかというと、『儲かりそう』だけで進むことが意外と稀だと思います。当然、儲かるということは前提なんですけども、賛成/反対で最も論点になるのが、『なんでうちの会社がこの事業をやるのか』ということです。この議論はすごく長い時間がかかります。
ですので、そのために「自社がやるべき事業である」ということを明示できてる事業案は強いです。会社がスローガンにしてるものってのは、反対しづらいこともあります。会社の目指す方向と一致していることをしっかりと明示していくってことが重要です。ここを強調させていただきたいなと思います。

対策の仕方

ここからは、対策の仕方のお話です。
先ほども少し対策のお話はしたんですけれども、改めて具体的にお話させていただきます。
多くの企業で新規事業の企画書を作る際にリーンキャンバスを使っていることが多いかと思います。新規事業の企画書を応募する際に、外部に存在するフレームワークを使って、応募者の方の記入する内容を揃える、品質の一定の底上げみたいな意味合いで、事務局から『リーンキャンバスで埋めてください』という形で、応募シートが指定されることもあります。
当社のお客様でも結構多いので、リーンキャンバスを例に使って具体的にお話をしていきたいと思います。確かに非常に便利なもので、アメリカの西海岸のスタートアップなんかも、このリーンキャンパスを使って、投資する/しないの判断に使うものですので、一定以上項目が網羅されてると言えると思います。その上で、我々(unlock)からリーンキャンパスでよく見る落とし穴のお話を先にさせていただきたいと思います。
早稲田大学ビジネススクールの山田教授が書かれた本で、『ビジネスフレームの落とし穴』という本があるのですが、この本に「まさに、我が意を得たり」という形で書かれていたので、ご紹介させていただきます。山田教授が言うには『新規事業というのはロジックとマジックである』だと。
ここで言うマジックってなんなのかというと、時の運だったり、起案者や創業者の不思議な運だったり、パワーだったり、人知を超えたものがあるというところを言ってるんですけども、マジックはある意味コントロールができないものとして捉え、コントロールできるロジック、これを補強するものが先ほど見ていただいたリーンキャンバスをはじめとするフレームワークなんだと。
ただ落とし穴としては「方程式があれば解がある」という教育を長年受けてきたホワイトカラーの方が多いので、 満遍なく埋めることで満足してしまうということがよく起こっているということが、リーンキャンバスベースの新規事業案の審査をしていてよく思うことです。
何が言いたいのかというと、埋まってはいるんですけれども、濃淡がなかったり、深めるべきところが深まってない。というところをよく見ます。ですので、深めるためにお書きになった内容をご自身で何度も問うということが重要になってきます。
ただ、そうは言っても、忙しいし、全ての項目に労力をかけてられないと思いますので、ですので対策としては、ある意味テストの山を張るに近いですけども、『課題』と『解決策』ですね。ここにまず、山を張っていただいてとにかく繰り返し問うて深めていただく。埋めて満足するのではなくて、一旦埋めた後も、何度も何度も磨き上げる。これをぜひ対策の1つとしてやっていただきたいなと思います。
それから、対策の仕方の1つとして、事務局ですね。あったりなかったりすると思うんですけども、 新規事業コンテスト、アイデアコンテスト、アクセラレーションの事務局です。
この事務局の方々の活用を、起案者の方はあまりしないところもよく目にします。むしろ活用されてるケースは少ないんじゃないかなと思うんですけども、非常にもったいないです。
まず、この事務局の方々のお仕事上のミッションをご存知でしょうか。彼らはほとんどの場合、審査員でもないです。
ですので、安心してしっかり使い倒していただきたいなと思います。我々が見ててよく思うことなので、そのままお話ししたいなと思うんですけども、事務局の方々の目標、ミッションは、1件でも多く質の高い事業案を会社の中で通すことです。このために必要なことをやるのが事務局のお仕事なので 、本当は事務局の方々も目標達成のために必要なことはやりたいというふうに思われてます。
なんですけど、シャイな方がなぜか多くて(笑)、働きかけが十分じゃないなと思うこともあるんです。ですので、起案者の方々はぜひ積極的に事務局の方を活用してください。実際の活用の仕方なんですけども、 自分では突破しにくいことを積極的に協力してもらうってのが1番おすすめです。
具体的にはアポ取りですね。新規事業のアイデアを考える上で、現場のメンバーに実態を聞くとか、技術メンバーに「これ本当にできるのか」と実現性を確認するとかあると思うんですけど、ご自身の人脈で限界がある際に、ぜひ事務局に連絡してください。
それから、ブラッシュアップですね、例えば営業職の方とか、こういった企画のお仕事って、そんなにやってらっしゃらない方が多いので、どういう点で悩んでいるとか、どうしたらもっと良くなるのかが分からないことが多いので、ぜひここも遠慮なく、事務局の方々に頼ってみてください。これは是非おすすめします。
それから、ご自身でもリサーチをすることです。市場規模はとかですね、リサーチしている場合が多いですが、まだまだリサーチが甘いケースがありますし、一次情報を見つけると企画が一気に魅力的になることがあります。ネットで調べてオープンソースから情報を拾ってくるのもちろんですし、 今だとウェブブラウザで簡単に日本語に翻訳できたりしますので、海外の情報をリサーチしたり、特許を見たり、論文を見たり、こういったことをやってみてください。そしてやっぱり有効なのは、社内外の有識者にヒアリングすることです。先ほどの話と被りますね。
あと有効なのが、想定のお客様に直接聞いてしまう。『これ欲しいですか?』とか『今なんでこんな問題が起きてるんですか?』とかを聞いてしまって、それをしっかりと企画書に書く。「◯◯さんに聞いたら、 こういう答えでした」という一次情報が入ってると、ぐっとリアリティが上がってきます。
あとは、社外のセミナー、学会、交流会に参加する。また、イベント、展示会に出てみるとかですね。それから、BtoCの商品だったら、売り場に行って実際に何がこう並んでるかとかですね、いくらでどんなふうに売られてるか。これを見て、写真を撮ってくる。これも非常に有効です。こういったことが対策として重要に有効になってきます。

通過率を飛躍的に高める6つのチェックリスト

最後ですね、第4部、通過確率を飛躍的に高める6つのチェックリスト。
具体的に企画書の中身で、 どういう点に気をつけて書けば、通過率のパーセンテージが上がるのかということをお話ししたいと思います。6つあります。

①課題をしっかり書く

まず、チェックリストその1ですね。先ほど課題と解決策と言いましたけど、そのうちの課題です。非常に重要です。とにかく重要です。皆さんの新規事業を評価する方は、このページからあらゆることを読み取ります。例えば、市場規模。『この課題だったら、これくらいの人たちが困ってるはずだから、これぐらいの市場規模かな』とかですね。あとは、参入の余地。『将来的にこういうふうに広がるかな』とかですね。かなり多くのことを読み取ってます。
それから、皆さんがその新規事業案を考える上で選び取った課題というのは、解決策と違って、 ある意味では皆様のものではないです。つまり皆さんがコントロールできないものですね。解決策というのは皆さんが考えることなので、ある意味皆様のものというか皆様が変えたりできます。しかし選んだ課題は後から変更ができません。
もちろん、違う課題を選ぶという意味で変更はもちろんできるんですけども、その世の中にある "選び取ったこの課題" という意味で皆さんが変えることはできないので、ここがその新規事業アイデアのアンカーみたいな位置付けです。そういった意味でも、非常に重要です。

具体的な数字は入っているか?

よく言われるのは具体的な数字ですね。新しいものがゆえに数字を出せないものもあると思うんですが、あるものに関しても、できるだけ数字を入れてください。

なぜこの課題があるかを書いているか?

それから「これが課題です」と書くのはいいんですが、なんでこの課題があるのかを書くことが大事です。例えば、1人親のご家庭があって、そういうご家庭で教育格差があるという問題だったら「じゃあなんでそういうことが起きてるのか?共働きによって?核家族化によって?夫婦間の関係性は?」とかですね。

代替手段は無いのか?

それから、代替手段ですね。課題に対して解決策は大体1個ではないです。ベストとは言えないけど別の解決策があると、案外ベストな解決策じゃなくてもユーザーが満足しているケースもあります。ですので、代替手段があるのかないのか、ある場合は、なんでその課題を代替手段で完全に解決できてないのか?ということをぜひ書いてください。

このまま課題を放置するとどうなるのか?

それから、このまま課題を放置するとどうなるかということも重要です。将来的な広がりという意味で、これをしっかり書いてください。

課題のボリュームは十分か?

それから、先ほどのリーンキャンバスみたいなものだとあまり当てはまらないんですが、自由に企画書の構成を考えてもいいものの場合、課題のボリュームが重要です。
解決策で最も大きな企画書のボリュームを占めてるというのが一般的なんですけども、課題のボリュームを意識した方がいいと思います。大体の場合不十分です。評価者が課題を十分に理解してなかったり、その課題に取り組むべきということを理解してないケースが多いです。
ですので、例えば10ページある企画書だったら、2、3ページを割くべきというのが我々(unlock)として強調したいところです。それぐらいきちんと課題について語る必要があります、という意味ですね。

②解決策はわかりやすいか?

次に、解決策です。わかりやすさがとても重要です。詳しいことも大事なんですけども、詳しいことよりも、分かりやすさが重要です。
どのようなわかりやすさの出し方が有効かと言いますと、
  • before:今まで世の中がこうでした
  • after:それに対して僕らはこういうやり方をします
ということを言うべきです。
今までと具体的にどの部分で何がどれくらい違うの?ということを端的に示すのは1つ有効です。また、企画書の書き方ですが、記入に慣れてない方はとかく文章で書きがちです。もちろん悪いことではないんですけども。
端的に分かりやすさを追求する場合は、文章よりも記号的な方が有効です。よく国語と算数とか言いますが、算数的な方が非常に伝わりやすいです。
それから、サービス、商品を評価するときの指標としてQCDという概念があります。これは、Qはクオリティ=品質、Cはコスト、Dはデリバリー、つまりスピードですね。品質、コスト、スピードで大体の商品、サービスは評価されることが多いので、この概念を入れると評価する上で必要な指標が入ると思っていただいていいと思います。
例えば画像のように、スピードも「遅い」ではなくて「遅」「早」と書いてますが、非常に記号的ですよね。これだけでわかるんです。
なので、できるだけ端的に何が違うのかということを、記号的に書くというところが重要なポイントです。当然、文章があってもいいんですけどね。このような形で極力少なくして、端的に記号的に示す。丸とかバツで示す。これが非常に有効です。あとは、なぜこの課題・解決策なのかの理由が書いてるところも重要になります。

③将来性は書いてあるか?

続いて、 将来性ですね。将来伸びますよ・有望ですよということを示しましょう。やはり、ここが示せないとその後の期待が持ちにくいので、この市場が将来有望だってことをしっかり書きましょう。これは本当に市場ごとにいろんなデータがあり、言えることがあるんですけども、ここに一例を書いております。
例えば、推し活を例にすると現在は、z世代中心の推し活だが、最近は30代以上の世代にも拡大してると。
ハルメクによる調査では、現在推しがいるシニア女性は、35.2%。実在する人物であるアイドルや俳優、声優、スポーツ選手、歴史上の人物はじめ、漫画やアニメ、ゲームに登場する二次元のキャラクター、さらには鉄道、建築物、 仏像などにも推しの対象となるなどジャンルの広がりが推し活市場の拡大の一因であると。なので「アイドルとかアニメのキャラクターだけでしょ、推し活って」という固定観念に対してそうじゃなくてジャンルの拡大が大きいです、ということを言えるんですね。
あとは、定量的なデータと定性的なデータの両面で補強をします。例えば、定量的なデータで言うと、「矢野経済研究所によると、市場規模は◯◯」ですというお話は当然ありつつ、定性的なデータですね。どういうものを定性的なデータというかというと、例えば、タワレコとかサンリオなど有名ショップも推しグッズを発売してます、みたいな情報ってちょっと定性的なんですけども、市場の盛り上がりを示してる情報だと思います。こういった情報を有効に使いながら、市場の盛り上がりは、将来性を伝えるということが有効です。

④なぜ当社がやるのかは書いてあるか?

なぜ当社がやるか。これは先ほど申したように、良さそうな事業だねってなった後に重要になってくる項目です。課題や解決策をクリアしたら、次はこの項目です。
ここで重要なのは自社アセットです。アセットというのは、会社の資産。具体的に言うと特許技術とか、全国の販売網とか、会社のブランド、知名度です。
こういったものを絡めているかどうかをしっかりと明示することが重要です。それから、最初の傾向のところでも触れたように、自社の方向性ですね。方針が言葉として入ってるか。それから結構有効なのは、今回提案しているこの単体事業だけではなくて、将来的な展開、貢献収益という言葉を使う時もあるんですけども、ここについて触れることも非常に有効です。
例えば、自社で初めてヘルスケア分野に参入しようという場合に、 この事業単体の収益だけではなくて、今後当社がヘルスケア分野で商品展開をする上での足がかりになるというようなプレゼンテーションの仕方も有効だったりします。

⑤実現性について触れてあるか?

5番目です。実現性ですね。こちらも後半で重要になってくる項目です。
新規事業は0か1かで議論されがちです。『こんなに初期投資が高い事業なんかできないよ』といった反論があるんですけれども、スモールスタートできるならそれを書いておくことが有効です。
例えば「物流の2024年問題」に対応した小規模物流シェアリング倉庫アイデアを提案した場合に、『小規模というけど、自社で倉庫を持つというリスクを取るんでしょう。投資額に対してリターンがわからない』といった指摘もあると思うんですけども、それに対してスモールスタートの言い方としては、「まず自社の倉庫の空きスペースを一部活用して最初のスタートにしませんか」といった言い方ができます。
または、「新規に倉庫を借りるんですけども、顧客がつくまではもう自分のところの倉庫として使えば、全部がリスクマネーってわけじゃないんじゃないでしょうか」とかですね。いろんな伝え方ができると思うんですけども、スモールスタートを書くことも有効です。
これは言うまでもないんですけど、具体的にどういうふうに実現するのかってことに関しても記述をしていくことが重要です。

⑥どうやって売るのか?

最後、6つ目です。どうやって売るのかですね。
結局のところ、いいアイデアでも販売のイメージまでできてないと日本の会社は販売が苦手な企業様が多いです。特に製造業さんにこういう傾向があります。
製造業のお客様は、具体的にどうやって売るのかということを書いておくことが非常に重要です。あとは、新製品・新サービスは、クラウドファンディングを入れるというのは、最近はもう標準的になってきています。特にBtoCですね。「クラウドファンディングを使って、最初のファンを獲得して、そこから弾みをつけて、例えばAmazonとかに出していきます」というのは、 我々もお客様のご提案の時にもう標準的になってきてます。新規性があるものは、クラウドファンディングを活用することは非常に有効です。

以上が6つのチェックポイントでした。

【番外編】プレゼンの対応方法

こちらが今日のコンテンツの最後、番外編ですね。
今回は、企画書を8割通すというテーマでお話をさせていただきましたが、会社によっては口頭プレゼンを求められるパターンも少なくないと思います。これを苦手とされてる方が少なからずいらっしゃると思います。こちらについて対策を皆さんにお伝えしたいと思います。

審査員・評価者の傾向

まず、審査員、評価者の傾向のお話です。
これは、私も新規事業を自分で提案してる時に、ここが見られてることを意外に思ったのですが、本人の熱意を見てることがとても多いです。なんで熱意を見るのだろう?だってビジネスって儲かるかどうかじゃないの?成功するかどうかじゃないの?と、まだ新人の私はそう思っていました。 これは後で分かったことですが、究極的には評価をする偉い方々だったとしても、ビジネスモデルだけで、不確実性の高い新規事業の評価はできないというところが多分理由なんじゃないかなと思います。
ビジネスモデルだけではやっぱり評価ができない、不確実性が高すぎて。だから、熱意も見てるんじゃないかなと思います。
あとは、特に若い方が起案者だと評価する方と見てるもの、好きなものが違うので、さっき例に出した推し活だとベテランの方はよくわかんない。なので見えてることが違うということもあると思います。そういうのも多分、熱意から『ここはなんかあるんじゃないか』というのを見てるのではと。なので、熱意を示すことは重要ですということですね。
ですけれども、ただ熱っぽく話せばいいかというと、そんなことではないと思います。特にプレゼンが苦手な方向けの対策をお伝えしたいと思います。

うまく話せないことは問題ではない

うまく話せないことが問題ではないことをぜひ知っていただきたいと思います。
さっき熱意と言いましたけども、静かな情熱は伝わると思います。緊張するとか自信がないとか噛んでしまう、これは問題ないと思います。イチロー選手は『緊張しない人はダメだと思う』と言っていらっしゃるぐらいですので。
ですけれども、特に緊張してしまったり、お話が苦手な方によくあるのが、書いてることを上から全部話すということです。本当によくあるんですけども、まずこれをやめることは重要かなと思います。
具体的にどうするかというと、話すことを、事前に効果的に選んでおく。例えば太字にしておく。太字にしたところを読む。こういったことは有効かなと思います。
そうすると緊張が少し和らぎますし、要点をしっかりと話してるということが、相手に伝わりやすいと思います。それから熱意という意味では、強調したいところで抑揚・濃淡はやっぱりつけるべきです。強調したいところで少し大きな声で説明したり、審査員の目を可能であれば3回以上見ていただきたいなと思います。
ここで言ってるのは、緊張が高すぎてもダメだし、リラックスしすぎても、パフォーマンスってあんま出ない。なので緊張してること自体が悪いことじゃなくて、適度な緊張を持つということがパフォーマンス出す上では重要なので、ガチガチの緊張をしないようにしていただきたいなという意味です。

新規事業はこれからの人材としての能力が磨ける

これが最後になります。新規事業はこれからの人材としての能力を磨ける仕事だと思います。以下画像は経産省が未来人材ビジョンというものを有識者や経営者を集めて作ったものです。
2015年は注意深さ・ミスがないこと・責任感・真面目さ、こういったものが上位でしたけれども、2050年は問題発見・情報収集・客観視とか、こういった能力が重要になるということが言われてます。これは新規事業で磨ける能力ばかりです。
我々も採用ページで「これらが磨ける仕事です!」と言ってるぐらい当てはまると思っています。ですので、この機会を使って、新規事業に大胆不敵な挑戦をしていただきたいなと思います。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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【代表取締役】
津島 越朗
【設立】
2016年 10月21日
【本社所在地】
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【事業内容】
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