新規事業の立ち上げは、企業にとってチャンスであると同時に、大きなリスクをともなう挑戦です。
魅力的なビジョンや革新的なアイデアがあったとしても、適切な資金調達や投資判断ができなければ、事業の成功は難しくなるでしょう。
新規事業を成功させるためには、投資基準を明確に設定し、それを満たすための準備を整えることが欠かせません。
本記事では、「新規事業」における「投資基準」の重要性を軸に、具体的な判断基準や準備方法、事業計画を効果的に伝えるプレゼン術などを詳しく解説します。
また、事業を進める中での撤退基準についても触れつつ、リスクを最小限に抑える方法をご紹介します。
新規事業が一歩前進するためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。
目次
投資基準は、新規事業の成否を大きく左右します。
事業には必ず資金が必要です。
その資金調達を実現するためには投資家や企業が「この事業に価値がある」と確信できる材料が欠かせません。
投資家や企業の確信を形成するために必要なのが、明確で説得力のある投資基準です。
投資基準には、市場規模や収益性、リスクの軽減方法などがあります。
投資基準が曖昧だと、投資家が不安を抱くため、結果として事業の成長を阻むことになるでしょう。
投資基準は、単に資金調達の判断材料となるだけでなく、事業そのものを健全に運営するために必要な指針です。
新規事業の立ち上げでは、投資基準を満たす過程で、市場調査の精度や収益モデルの検証を進め、潜在的なリスクを洗い出せます。
具体的には、顧客獲得コスト(CAC)や顧客生涯価値(LTV)といった指標を早期に把握しておくことで、事業の利益構造を見直し、失敗のリスクを最小化できます。
このように、投資基準をさだめることで、事業の信頼性が高まり、持続可能な成長が期待できるようになるでしょう。
新規事業によくある失敗について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業によくある失敗 #1「新商品・サービスを"作ること"が最重要」
資金調達は、新規事業にとって血流とも言える重要なプロセスです。
しかし、すべての事業が簡単に必要な予算を確保できるわけではありません。
企業内部での予算配分を得るためには、明確な基準とデータに基づく説得が求められます。
具体的には、予測される市場シェア、短期的な収益性、そして長期的な成長可能性といったデータが、企業の予算基準をクリアしなければなりません。
管理層や予算編成チームは、リスクを最小限に抑えつつ、最大限の利益を追求します。
そのため、基準以上の根拠や確実性を提示しない限り、予算を確保することは難しくなります。
そのため、事業計画を作成する段階で、投資基準を明確化し、定めた基準にもとづいて準備しなければなりません。
資金調達の準備を怠ると、事業運営に必要な資金が不足し、成長が停滞するリスクを抱えることになります。予算獲得のプロセスは単なる手続きではなく、事業成功への基盤を築く重要なステップです。
適切な投資判断を実現させるためには、新規事業の状況に合った投資基準を設ける必要があります。
ここからは、投資基準を定めるときに注目すべきポイントを3つ紹介します。
投資基準を定めるためには、新規事業が属している業界の市場規模や新規事業の成長性に注目しましょう。
具体的には、ターゲット市場の潜在的な規模がどれほど大きいか、またその市場が今後成長する見込みがあるかなどをチェックしてください。
一例として、急速に拡大するヘルスケアテクノロジー市場など、将来的な需要が明確な分野は、顧客の興味を引きやすい傾向があります。
また、競合他社の状況を分析することで、独自性や競争優位性をアピールできるようになります。
当社のマーケットリサーチでは、「先行プレイヤー調査」や「需要調査」など、お客様の要望にあったリサーチメニューで市場調査しつつ、リサーチ後も戦略や事業化計画の策定などをサポートしています。
投資基準を定めるときは、事業の規模拡大がどれだけ容易かも考慮しましょう。
一例として、サブスクリプション型ビジネスモデルは、顧客を増やすほど収益が増加するスケーラブルな特性を持っています。
このようなモデルは、初期投資が高額でも将来的な収益性が高いと評価されるため、新規事業として魅力的です。
また、技術やインフラの活用によって規模を拡大しやすいビジネスであるかを示すことで、さらなる評価を得られます。
ビジネスモデルの考え方について知りたい方は、こちらのコラムをご確認ください。
事業内容や資金力も重要ですが、新規事業を成功させるのは人材です。
事業を率いるチームの能力や過去の実績、そしてリーダーシップの質なども投資基準を定めるうえで重要な要素とされています。
一例として、スタートアップ経験者や特定分野の専門家がいるチームは、リスクに柔軟に対応できるため高く評価される傾向にあります。
また、リーダーが明確なビジョンを持ち、それを効果的に伝えられる能力も重要です。
チームの実行力を証明するエピソードや具体的な成果を資料に盛り込むことで、信頼を得られるでしょう。
新規事業に向いている人材について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
新規事業に向いている人材とは?求められる資質や特徴を交えて解説
適切な投資基準を定めるためには、入念な準備が欠かせません。
ここからは、投資基準を定めるために必要な準備を2つ紹介します。
新規事業の基盤を築くうえで、市場調査とターゲット顧客の分析は欠かせません。
市場調査とターゲット顧客の分析により市場全体の動向を把握し、特定のセグメントに絞り込むことで、明確な需要を見極められます。
市場調査では、定量的データと定性的データをバランスよく収集しましょう。
一例として、消費者行動のパターンや既存競合のサービスギャップなどを分析することで、事業の差別化ポイントが明確になります。
また、ターゲット顧客の分析では、ターゲット顧客のペルソナを設定し、顧客のニーズや課題を具体的に理解しましょう。
ターゲット顧客の分析により、精度の高いマーケティング戦略を立案できます。
当社のターゲットファインダーでは、新規事業の支援で培ったノウハウをもとに、ターゲット顧客分析をはじめとした新規事業担当者の抱える課題を解決しています。
投資判断において注目されるのは、新規事業の成長可能性を具体的に示すビジネスプランです。
収益モデルや短期・中長期の成長戦略を明確に提示することで、投資家は事業の未来を描きやすくなります。
一例として、KPI(重要業績評価指標)を明示することで、事業の進捗を定量的に評価できる仕組みを構築できるでしょう。
また、新規事業の成長戦略では、市場拡大のアプローチや顧客獲得計画、さらには国際展開の可能性などを具体的に示すことで、魅力的な事業構想を考案できます。
当社のアイデアプランニングでは、ビジネスプランや成長戦略の考案に必要なアイデア出しをサポートしています。
新規事業の立ち上げでは、投資基準をふくめた事業計画を作成するだけでなく、ステークホルダーへとプレゼンし、協力してもらう必要があります。
ここからは、事業計画を魅力的に見せるプレゼン術を2つ紹介します。
プレゼンでステークホルダーの関心を引きつけるためには、視覚的かつ論理的に整理されたプレゼン資料を準備しましょう。
具体的には、新規事業のビジョンをストーリーテリング形式で伝えることで、感情的な共鳴を与えられます。
また、具体的なデータや実績を活用して、事業の強みや将来性を明確に示しましょう。
さらに、グラフやインフォグラフィックスを効果的に活用し、データの説得力を高めましょう。
企業は、リスクを完全に排除することはできないと理解しています。
しかし、新規事業の立ち上げには、想定されるリスクに対処する計画が明確であることを求めています。
事業計画についてプレゼンするときは、リスク管理計画を含め、事業の信頼性を高めましょう。
具体的には、リスクの種類(市場リスク、競争リスク、運営リスクなど)を分類し、それぞれに対する緩和策を提示してください。
また、リスク発生時の具体的なシナリオを想定し、その場合の対応策を説明することで、会社の予算枠内での対応力を示し、安心感を与えられます。
このように、リスク管理計画を明示することで、リスクに強い事業であることをアピールできます。
新規事業には、成功する企業もあれば失敗する企業もあります。
撤退基準を設けることで、資源の無駄遣いやリスクを抑えられるでしょう。
撤退基準を定めたら、経営陣やステークホルダーから合意をもらい、定期的にレビューしましょう。
新規事業の状況に合った撤退基準を設けることで、迅速かつ適切な意思決定が実現します。
また、撤退基準により、コスト削減や成長性の高いプロジェクトへのリソース再配分が期待できるため、企業の信用維持にもつながります。
新規事業の撤退基準は、以下のような指標にもとづき設定します。
撤退基準の定め方について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
財務的指標には、売上高の未達成、利益率の低下、キャッシュフローの悪化などがあります。
財務的指標は、事業が収益性を持たないことを示し、撤退を判断する重要な基準となります。
市場や顧客の反応には、需要の低迷や顧客の関心不足、競合との差別化が困難な場合が含まれます。
市場や顧客の反応は、事業の成長可能性を示唆し、撤退を決定する重要な指標となります。
市場の需要が予想よりも低い、または顧客からのフィードバックにより事業モデルの大幅な変更が必要な場合は、事業の中止、または事業戦略の変更を検討しましょう。
競合との比較は、競合が優れた技術や市場シェアを持ち、差別化が難しいときに効果的です。
競合他社のパフォーマンスが自社を大きく上回り、シェアを奪われ続けている場合は、事業の撤退を余儀なくされます。
今回は、投資基準や事業計画を効果的に伝えるプレゼン術などについて解説しました。
新規事業の立ち上げには、さまざまな挑戦とリスクがともないます。
適切な投資基準と準備により、新規事業の成功に向けた確実な一歩を踏み出せるでしょう。
どんなに小さな一歩でも、その積み重ねが大きな成果へと繋がることを信じて、着実に進んでいきましょう。

