※本コラムは2025年6月25日に開催した株式会社unlockのビジネスセミナーを、3回に分けて書き下ろしたオリジナルコンテンツ(最終回)です。
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最後に、生成AIでプラットフォームビジネスはどう変わるのか、ということをご説明したいと思います。
皆さんは生成AIの“現在地”をご存知でしょうか? 話題になっていますが、ご存知ない方は全くご存じないです。Open AI社が”OPERATOR”という新サービスを出しました。
これがもう、とんでもないものです。我々はAIの権威である大学の先生とご一緒する時もあるのですが、「今後は全てOPERATORに置き換わる」と先生が仰っています。AIエージェントに全部、今のChatGPTが置き換わるということです。
このOPERATORをもう少し詳しくお話しますと、ユーザーの指示に基づいてWebブラウザーを操作して、タスクを自動的に実行するAIエージェントです。例えば「ピザを注文して」とか「レストランを予約して」というと、OPERATORが「わかりました」と言ってバーッとWebで探して、「私だったら好みのこういうレストランが好きですね」「この辺に住んでいるからここのエリアがいいですね」「価格帯はこうで、こういうレストランで、この日が空いているので予約しますよ、いいですか?」「はいオッケー」と言うと、予約して私の情報を送ってくれたりするのです。つまり、自律的にタスクを完了するところまでやれるのです。これが今年の1月から普通にリリースされているので、使っていただくことができる状態です。
AIエージェントは、我々が食べログやGoogleのクチコミを見るようなことをやった上で、気に入ったレストランのフォームに私の名前を入力して、予約人数や電話番号を入れることもやってくれます。カウンター席が良いなら、「カウンターが良い」と書いてくれて、予約ボタンを押してくれます。こういうことをやってくれるのです。
現在の主なChatGPTは受け身です。こちらから「これはどう、あれはどうだ」というふうに尋ねたり、指示をしたり、それに対してただ答えてくれる。もちろんこれだけでもすごいですが、自ら「これをやりましょうか」「これをやっておきましょうか」「これをやっておきました」というふうに自律的なアクション代行型のAIが増えてくる、おそらくこればかりになる見通しというのが、直近の見通しです。
もうとんでもないですよね。こういった大きな動向を踏まえて、プラットフォームビジネスはどう変わるのか。ちょっと想像もつかないと思いますが、どうでしょうか?
まず1つ目に挙げるのは、基本機能の増強化です。先程申し上げた機能が全部増強されるというのが、まず一番大きいです。
例えば、旅行の予約。「春休みに子供連れで行けて、リラックスできるビーチの家族旅行を予算50万円以内で探して」と言ったら、AIエージェントが最適な旅行の予定をまるっと提案してくれるという世界が今、現実味を帯びています。

要素分解すると、まずパーソナライゼーション。その人に合った情報の検索や提供ということが、高度化していきます。驚くほど的確な商品やサービスを先回りして提示してくれます。気持ち悪さはありますけれど、できるようになるわけです。
それから、検索体験の革新。「こういう条件でお勧めは?」と聞くだけで、最適な結果が返ってきます。今でもちょっと近くなってきていますが、よりその結果が増強されます。
マッチング精度もさらに向上します。裏側でAIが先回りするような構造です。話しながら何だか怖いですが、こういうことが能力的にはもうできる。
地味に便利に感じるのは、自動応答と顧客サポートです。人の声で話す自動応答電話サービスが24時間繋がるというものです。電話するといつでも人の声で、人と見分けがつかないような対応する。ずっと呼び出し音が鳴って待たされるようなこともなくなってくると思います。
あと、AIエージェントが買い手・売り手として参加する。これがいよいよやってきます。
今までは人間が操作して、人間が売り手と買い手でした。よくビジネスの先輩方が、「結局は人間同士だから」と仰るのはその通りなのですが、それが大きく変化します。人間だけでなくて、人間の意志を受け取った状態の買い手と売り手が、自分たちの意思を持つかのような振る舞いでプラットフォームに参加してきます。

恋人探しや友達作りなどのマッチングアプリ大手、米国のBumbleというアプリのCEO曰く、「自社プラットフォームをAIで進化させて、ユーザーのデート相手探しを手伝うAIデートコーチとか、場合によってはユーザーに代わってデートをしてくれる存在にまでなり得る、こういう時代がやってくる」と。これはちょっと極端かもしれませんが、訪れる未来の1つとしてありえそうです。
こういう買い手エージェント・売り手エージェントが出てくる、つまり、人間がその買い手・売り手として参加する代わりに、商品の選定、価格交渉、購入までやってくれるわけです。売りの場合も逆です。お金持ちの人がどこかでお酒を飲んでいて、その秘書のような人に美術品のオークションに行かせて「社長、この絵を1億5000万円でビットしていいですか?」といったシーンが映画でたまに出てきますが、そんなに富裕層じゃなくても、AIエージェントが勝手にやってくれるような世界が来るわけです。それが始まるということは、AIエージェント同士が自動で取引するのです。ということは、競争環境の変化、AIエージェントの性能差が結局、会社の競争力になり得るということですね。ちょっと呆気にとられる感じかもしれませんが、こういうふうになると言われています。
それからAIファーストですね。API必須化と画面にはあるのですが、これからはやはりAIがプラットフォームに普通に参加していきます。なんなら、人間よりもAIの方が多くなるとも言われています。

だからどうなるかというと、今までは人間が使いやすいWebサービスやプラットフォームについて皆が真剣に考えていたわけですが、今後はAIさんが使いやすいサイトってどういうサイトなのだろう?と、こういうことを本当に考えるようになるわけです。その時に重要なのが、APIです。
APIの説明をちゃんとする時間がないので、Webサイトの1つの形だと捉えてください。このWebサイトの1つの形であるAPIを、どのサービスも公開することがほぼ必須になってきます。なぜかというと、AIにとってはWebよりもAPIの方が読みやすいからだそうです。なので、APIが公開されていない=AIには使いづらいサイト、ということで優先順位が下がってくるのです。なので、これからはAI様が使いやすいプラットフォームが標準化してくるし、そうならなきゃいけないという時代が本当に訪れます。
そして4つ目、AIに任せる消費行動。これも先程お話したようなことなので、割愛します。

とにかくこれからは、AIファーストの時代がやってきます。AIエージェント時代に、プラットフォームはAIが使うAIファーストの時代になる。これからAIではなくてプラットフォームビジネスを考えようとした人からすると、「いやいやちょっと待ってよ。いきなりこんな話されても、せっかく考えようとしたことがあるのに」という方もあると思いますが、今年1月に出てしまったので、AIエージェントが話さざるを得ないのです。こういう時代を見据えてプラットフォームを作っていかねばならない、ということですね。ただ、原理原則は大きくは変化しないと思います。
今日のまとめです。

いくつかお話ししましたが、プラットフォームビジネスというのは、複数のユーザー群を1つの場に集めて、参加者同士のやり取りを通じて、参加者の連鎖的価値創出による成長を実現するビジネス構造であるということ。
それから、プラットフォームビジネスでは需要者・供給者のどちらを先に集めるかについては、原則は供給者であるということ。
3番目は繰り返しですが、AIエージェント時代において、プラットフォームはAIが使うAIファーストの場にしていかなければいけないことを念頭に置きつつ、サービスを作るということ。
この最後はおまけみたいな内容にしては非常にインパクトが大きいのですが、こういうことがプラットフォームビジネスにおいて重要だというお話でした。
次回予告です。「飛び地・禁断の新規事業」ということで、前回好評だったセミナーのアップデート版になります。12個あった事例を、今回は16個に増やして、新旧コト・モノの成功事例を分析します。ぜひご参加ください。

本日もご参加いただきましてありがとうございました。

