

執筆者:シニアディレクター 熊田竜次
目次
新規事業の社内稟議を通すうえで、会社の方針に合致している企画は評価者も否定しにくい傾向があります。
中期経営計画などの文言をそのまま引用し、自社の方向性と一貫している新規事業アイデアであることを示すことで、通過率の高い新規事業計画を作成しましょう。
新規事業計画を経営層に伝えるための企画書の書き方について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
通る新規事業企画書の書き方とは?通過率が劇的に改善するチェックリストも紹介!
決裁権を持つ経営層や評価者は、常に「リスク」と「リソース配分」の責任を負っており、論理的な裏付けのない提案には慎重にならざるを得ません。
そのため、新規事業の稟議において、アイデアの「新規性」や「収益性」だけで承認を得ようとするのは危険です。
新規事業の社内稟議で最強の武器となるのが、「中期経営計画」や「経営ビジョン」への接続です。
「中期経営計画」や「経営ビジョン」へつなげることは、経営陣が株主や市場に対して「これから会社はこっちへ向かう」と約束した公約そのものです。
したがって、その公約の実現に直結する提案であれば、経営陣は自らの言葉を否定することになるため、簡単には「No」といえなくなります。
具体的には、単に「方針に合っています」と述べるのではなく、計画書内の特定の文言やキーワードをそのまま引用しましょう。
一例として、計画に「デジタルによる顧客接点の強化」とあれば、企画書にも同じ文言を使い、「この事業は、中期経営計画における『デジタルによる顧客接点の強化』を具体化する施策である」と定義してください。
特定の文言やキーワードをそのまま引用することにより、その企画は「一社員の思いつき」から「経営戦略遂行のための必要不可欠なピース」へと昇華されます。
稟議を通すことは、相手を説得することではなく、相手が承認するための「正当な理由(大義名分)」を用意することに他なりません。
現場の熱量を、経営の言語(方針)で翻訳して伝えることで、社内稟議を通せるようにしましょう。
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JR東日本が展開する駅ナカシェアオフィス「STATION WORK」は、現場の課題感と全社方針が見事に合致して生まれた事例です。
発端は、担当者が駅員時代に目撃した「駅のベンチやカフェでPCを広げ、働きづらそうにしているお客様」という原体験(現場の課題感)でした。
しかし、駅構内に個室ブースを設置するという前例のないアイデアは、通常であれば「安全管理上の懸念」や「前例踏襲」の壁に阻まれ、実現ハードルが極めて高いものです。
そこで突破口となったのが、同時期に策定されたグループ経営ビジョン「変革2027」です。
「変革2027」には、『ヒトを起点とした新たな価値・サービスの創造』という方針が明確に掲げられていました。
担当者は、自身の企画が単なる設備投資ではなく、全社方針を具現化するものであるというロジックを構築しました。
これにより、保守的な組織においても組織的な後押しを獲得し、事業化に至りました。
結果として、現在では多くの駅に設置され、新しい働き方を支えるインフラとして定着しています。
このようにJR東日本の事例は、現場で見つけた「小さな綻び」を、経営の「大きな方針」と結びつけることで、巨大組織を動かした好例と言えます。
引用元:https://www.travelvoice.jp/20230707-153711
稟議を通すためには、アイデアの斬新さよりも会社の進む方向と合致しているという正当性を示すことが重要です。
中期経営計画の文言をそのまま引用することで、評価者が否定しにくい構造を考えられます。
JR東日本の事例を参考に、現場の原体験を経営ビジョンという共通言語に落とし込み、組織の壁を越えた合意形成を目指しましょう。

