「成果を出す」伴走者を求めて【事務局編】

 

歯科医療分野で長年業界を牽引してきた株式会社モリタ。同社では、従業員から新規事業の種を募る社内起業プログラム「B-SWITCH」を展開してきました。

 

2024年に始動した第3期では、社内からの声を受け、「育成」から「事業化」へと主軸を移し、unlockが実務支援パートナーとして起案者3名に伴走。セミナーやメンタリングだけでなく、調査・資料作成までを担う「unlock ILP」を通じて、事業化に向けた壁の突破を支援しました。

 

今回は、B-SWITCH制度の進化とunlock支援の背景について、社内事務局として制度運営を担ってこられたお二人にお話を伺いました。実際にどのような課題があったのか、何が変わったのか、そしてなぜunlockに支援を依頼したのか——その本音に迫ります。

 

※【起案者編】はこちら

 

〈写真左から〉
後列 熊田、津島(unlock)、株式会社モリタ 石塚さま、畠山さま
前列 小野(unlock)、株式会社モリタ 山田さま、江川さま、藤本さま

 

B-SWITCHの位置づけ

 

unlock(熊田):
今回は「B-SWITCH」第3期ということで、新規事業の伴走支援を弊社がご一緒させていただきました。まず事務局のお二人に、これまでの各期の狙いや背景について伺えればと思います。

 

 

畠山さま:
B-SWITCHは1期・2期と回を重ねる中で、社内からさまざまな反応がありました。特に第1期については新たな取り組みとしての評価が高く、「こうした制度を導入したこと自体に意義がある」とポジティブなフィードバックを多く得ることができました。実際に、新入社員から部長職まで幅広い層から応募があり、社内に「志ある人材がいる」ことを実感する機会にもなりました。
その一方で、2期・3期と進むにつれて社内からの期待も次第に高まり、より“成果”が求められるようになってきました。「育成」だけでなく、「実際に結果を出す」ことが問われるフェーズに入ってきたというのが、今回の第3期を立ち上げる際に共有されていた認識でした。そのため第3期では、「いよいよ事業化に向けた具体的な成果を出すべきタイミングだ」という共通認識のもと、よりシビアな視点と本気度をもって支援に取り組む方針が固まっていきました。

 

藤本さま:
制度が継続していく中で、社内からの視線も少しずつ変化していると感じました。第3期の参加にあたっても、「実際に何か成果は出ているのか?」といった声や雰囲気が、やはり少なからずあったと思います。だからこそ、制度そのものを単発のイベントに終わらせず、企業文化や風土として根づかせていくためにも、「目に見える成果を出すことの重要性」を改めて強く意識しました。私たち自身も、その責任感をもって今回の挑戦に臨んでいたと思います。

 

unlock(熊田):
実際の成果については、これまでどのように発信されてきたのでしょうか?

 

畠山さま:
過去の期で実際に事業化された取り組みもありましたが、その情報が社内全体にはあまり届いていなかったという実感がありました。本業の傍らで活動しているメンバーが多いことや、内容の機密性もある中で、情報発信が難しい場面があったのは事実です。

 

unlock(津島):
機密性は、新規事業特有の難しいところですね。

 

畠山さま:
はい。一方で、事務局としては参加メンバーだけでなく、周囲の社員にも関心を持ってもらいたいという思いが強く、可能な限り情報を届けようと工夫してきました。ただ事業の特性上、すべてをオープンにするのが難しく、伝え方のバランスに苦慮したというのが正直なところです。

 

藤本さま:
私はB-SWITCH第2期でメインの担当を務めていましたが、そのときに痛感したのが“自分ひとりでは起案者を十分に支えきれない”ということでした。事業化に向けた知識や調査、構想から資料作成・発表まで、やるべきことが本当に多く、伴走者はいたものの、十分なフィードバックや壁打ちの機会が足りなかったと反省しています。
せっかく社内から手を挙げてくれた方々に、“やりきった”と胸を張ってもらえるような体験にしたい。その思いが強くなった分、サポート体制の重要性をあらためて感じました。だからこそ今回unlockさんにしっかり支援してもらえたことは、私たち事務局にとっても大きな安心材料でした。

 

畠山さま:
社内に新規事業を支えるノウハウがないので、本当にそうですね。

藤本さま:
事務局としてなんとか起案者を支えなければと、私自身も壁打ちの相手になったり、勉強したことをアウトプットしたりと必死でした。ただ、私自身が新規事業を立ち上げた経験があるわけではなく、自分のアドバイスが本当に正しいのか不安を感じる場面も多くありました。もちろん、自分なりに座学で学び、必死に伝えようとはしたものの、限界も感じていました。
そうした背景があったからこそ、今回unlockさんに支援をお願いしたのは、単なる業務負担の軽減ではなく、“確かな知見で、起案者の挑戦を本質的に後押ししてほしい”という期待からでした。支援の専門家として、私たちでは届けきれなかった視点や型をしっかり届けていただけたと思います。

 

 

unlockを選んだ理由とunlock ILPの存在

 

unlock(熊田):
今回弊社にご依頼いただいたのは、どんなきっかけからでしたか?

 

畠山さま:
数年前に一度unlockさんにご相談したことがあったのですが、そのとき印象的だったのは「丸投げしてもいいんですよ」というスタンスでした。そう言われたのは初めてで、伴走支援のイメージが一気に広がった記憶があります。その後、改めてご説明をいただく機会があり、ILP(※)の仕組みを知って“これはまさに、かゆいところに手が届く支援だ”と感じました。
私たち事務局は起案者に丁寧に向き合いたいと思う一方、全員が兼務で動いているためにどうしても手が回らず、メンバーのやりたいことを十分に実現できない悔しさもありました。そんな中で、unlockさんのILPは情報収集から資料作成まで一気通貫でサポートしてくれて、私たちの想像以上に“手を動かしてくれる”存在でした。
※unlock ILP(Innovative Launch Partners):メンタリングだけでなく起案者に代わり調査や資料作成などをunlockがご提供するサービス

 

unlock(津島):
ILPは“新規事業開発室の外部拡張機能”という位置づけですが、会社さんによっては「それって自分たちでやるべきじゃないの?」「教育にならないのでは?」といった声が出ることもあります。教育や育成の観点から見て、迷いや不安はなかったですか?

 

畠山さま:
unlock ILPのように動ける専門家が横についてくれる体制は、非常に合理的でした。限られたリソースでしっかりと結果を出しにいくという意味では、この仕組みが最適だったと感じています。迷いなく活用させていただきました。
また、unlockさんは新規事業を専門にされているという点が、やはり大きな決め手でした。私たち自身も日々、いろんな企業の方とお話する中で、多くのご提案を受けていますが、専門性という意味では頭ひとつ抜けていたと感じています。

 

unlock(津島):
ありがとうございます。

 

畠山さま:
当時は熊田さん中心に1時間ほどご説明いただいたのですが、同席していた藤本と、説明を聞き終わった瞬間に「この人たちなら大丈夫!」という信頼感が自然と生まれていました。

 

藤本さま:
最初に課題をきちんと整理して、それを言語化して説明してくださったのがすごく印象的でした。新規事業に取り組んでいると、とにかく課題が多すぎて、どこから手をつけるべきか見失いがちなんです。そこをunlockさんが冷静に整理し、「ここが詰まりそうですが、どうですか?」と問いかけてくれる。そのスタンスにすごく助けられました。
確か初回のミーティングで聞いてくださった内容をドキュメントにまとめていただいたんです。「こう進んでいくはずですが、ここが論点になりそうです」と、まさにこちらが感じていたことを言葉にしてもらえた。2~3回のミーティングを通じてすり合わせを重ねていく中で、お任せしたいと思うようになりました。

 

畠山さま:
unlockさんにはかなりこちらのニーズに合わせて柔軟にサポート内容を調整していただきました。「ここは自社でやるので大丈夫です。でも、ここはどうしても助けてほしい」といった部分を丁寧にすり合わせながら進められたのが印象的でした。まさにカスタムメイドのように、本当に必要なところに必要なだけサポートを入れていただけた感覚があります。結果として、無駄がなく、納得感のある形でプロジェクトが進められたと思います。

 

藤本さま:
本当に難しいテーマだったので、従来のような一般論的なアドバイスだと、どうしても限界がありました。その点、unlockさんの支援はすごく寄り添っていて、素人でも実行できる視点からアドバイスしてもらえる安心感がありました。『今このステップでつまずいている』というリアルな悩みに対して、ちゃんと現実的な手の打ち方を一緒に探して、一緒に手を動かしてくれたのがありがたかったです。

 

毎週の「宿題」と伴走。事務局も一緒に走り抜けた3ヶ月

 

unlock(小野):
起案者の皆さまには宿題を毎週お渡ししていましたが、事務局の皆さまも進行や管理などでご苦労はありませんでしたか?

 

畠山さま:
毎週の宿題は量が多すぎるという印象も特になく、適切な範囲でご調整いただいていたと思います。もちろん、業務との両立で大変そうだなと思う面はありましたが、しっかりと間に合わせて取り組んでいましたし、少し大変なくらいのほうがやりがいがあったのではないかなと。事務局側としても、無理なく運営できるボリュームだったと思います。

 

unlock(小野):
モリタの皆様は常に前向きで、こちらが支援する立場でありながら、逆に元気や刺激をもらうことも多くありました。皆さんが本当に能動的に動いてくださるので、毎回のメンタリングや調査支援も非常にやりがいがありましたし、「一緒にいいものをつくろう」という熱量がひしひしと伝わってきました。

 

藤本さま:
宿題で何をすればよいかが具体的に言語化されていたことで、参加メンバーにも迷いなく取り組めたのではないかと思います。それはありがたいことでした。
実は私が第2期を担当していた際、宿題の内容がやや抽象的だったり、メンタリングの回数も限られていたりして、「で、結局どうすればいいんだろう?」と戸惑う場面も多かったんです。事務局側もできる限りサポートはしていましたが、どうしてもリソース的に限界があって。
その点、今回は「調べる課題はこれ」「一部はこちらでも調査します」というふうに、実行可能な形にまで具体化して支援していただけたことで、スムーズにプロジェクトが進んだと感じました。

 

役割分担が明確なメンタリング

 

unlock(熊田):
セミナーやワークショップ、メンタリングで印象に残っていることはありますか?

 

畠山さま:
セミナーやワークショップでは既にある程度のアイデアを持ってきている人間がほとんどだったので、どちらかというと、それを深掘りできる内容だともっとよかったかな、と。とはいえ、純粋に「面白かった」という感想が大きいです。unlockさんと一緒になって考えたり、動いたりしていく中で、「ああ、アイデアってこうやって出していくんだな」と、自分自身も改めて学びがありました。
メンタリングでは特に印象的だったのが、支援チームの皆さんの役割分担がとても明確だったことです。たとえば津島さんは、直感的でクリエイティブなひらめきをくださる“感覚の人”。もちろん、そのひらめきには豊富なご経験がしっかり裏打ちされていて、「どうしたらこんな発想ができるんだろう?」と毎回驚きがありました。
熊田さんは全体を冷静に見ながら、時間配分や構成にも気を配り、最後にはしっかりと全体をまとめ上げてくれる存在。また、小野さんの資料のまとめ方が非常に洗練されていて、メンタリングの進め方も素晴らしかったです。「どうやったらこんなに美しく整理できるんだろう?」と、起案者の山田と2人でよく話していました。
今後、私たち自身が支援的な立場に立つこともあるかもしれないと思うと、ただの支援にとどまらず、内製化も考え、皆さんのスキルや視点を少しでも“おすそわけ”していただきたいなと思っています。

 

unlock(津島):
そうですね。それはもうぜひぜひ、という気持ちです。変な話、惜しまずこれからも積極的におすそわけさせていただきたいと思っています。
特にAIの活用については既に構想と開発が進行中です。たとえば、「私がどうやって発想しているのか?」を体験できるようなAIツールのプロトタイプもあり、今後、メンタリングをお申し込みいただいた企業様向けに、こうしたサポートを提供していく予定です。
もちろん、メンタリングには依然として人の関与が重要ですが、たとえば勤務時間外やふとアイデアが浮かんだ際など、人と話せないタイミングでAIが相談相手になれる可能性は大いにあります。この「壁打ちAI」は、モリタさんの大事にしている価値観や事務局の皆様が大切にしている方針などを反映した“モリタさん専用”のアシスタントとして設計して、将来的には「アイデア発想支援」「メンタリング支援」「資料作成支援」など、目的別のタイプも開発・提供していく構想です。
これにより、従来の人的支援と併せて、再現性が高く、いつでも活用できるサポートツールとしてのAIを導入することで、より実用的かつ持続可能な支援体制が整っていくと考えています。

 

畠山さま:
ぜひ、もう使いたいです(笑)。

 

unlock(熊田):
ご支援の際には、1名の起案者に対して複数名の支援メンバーが伴走する体制を取っていましたが、この体制についてはいかがでしたでしょうか?

 

藤本さま:
代表である津島さんにも調査や手を動かしていただいて、皆さんで対応いただき、手厚いサポートだなと感じていました。

畠山さま:
一方向だけでなく、横から急に違う視点が飛んでくるような瞬間もあって、いろんな角度からのアドバイスがすごく刺激的でした。皆さんで「こういう視点はどう?」って意見を交わしながら進めてくださるその空気感も、本当にありがたかったです。
それに進捗状況を常に皆さんが把握してくださっていたので、どのタイミングでも的確なフィードバックがもらえましたし、起案者同士の進み具合を見ながらリソースを調整していただいたのも、とても助かりました。支援を受けながら、安心して前に進める環境だったなと思います。

 

unlock(津島):
新規事業ならではの難しさですよね。アイデアの内容や進め方によって、どうしても進捗にばらつきが出やすく、先の展開が読みづらいということもありますし、そこには起案者個々の特性や、取り組むテーマとの相性も関係してくると思います。ですので、事前にある程度のバッファを見込んでおかないと、すべてのプロジェクトに対して均等な分量やリソースを割り当てるのは現実的になかなか難しいかもしれません。今回はリソースを調整させていただいて、皆さんが最後にきちんとまとめあげることができて、とても良かったです。

 

今後の展望

 

unlock(熊田):
最後になりますが、今後は新規事業をどう進めていかれたいでしょうか? unlockに期待されることも含めて、コメントをいただければと思います。

 

畠山さま:
まだまだアイデアの数が足りていないという実感がありまして、どこかのタイミングでunlockさんへ「丸投げ」も試してみたいです。今回出たアイデアのどれかを進めていくかもしれませんし、「出して検証して、ダメならまた次へ」といったように、たくましく続けていきたいと思っています。

 

藤本さま:
今後は検証フェーズに入ったアイデアについてのご支援もご相談できたらと思っておりまして、予算面もありますが、またぜひお願いしたいという気持ちです。
B-SWITCHは中期経営計画に紐づく制度として、最低でも5年間は継続したいと思っています。ですが、回を重ねるごとにアイデアや起案者の数をどう確保していくかは課題です。unlockさんには、今後は起案者だけでなく、周囲で応援する側の体制整備にも力を貸していただけると非常にありがたいです。

 

unlock熊田:
はい、体制整備のご支援も多数ご担当させていただいておりますので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします! 本日はありがとうございました。

 

※【起案者編】はこちら


撮影日:2025年7月2日
撮影:市来 朋久