日東電工様

テーマ創出のアイデエーションとブラッシュアップの伴走
日東電工様取材記事
ワークショップ後に参加者の皆様と。前列真ん中が(unlock) 津島、小野
ご支援概要:
今回unlockは、日東電工さまの新規事業本部内で取り組まれていた、テーマ創出活動を支援させていただきました。ご相談を受けたのは活動を始められて2年程経っていた頃で、アイデエーションのやり方やアイデアのブラッシュアップ等に課題感をお持ちでした。そこで、unlockが伴走して、アイデエーションを3か月間、アイデアのブラッシュアップの伴走を6か月間、延べ9か月間で支援させていただきました。
アイデエーション支援は、セミナー、ワークショップ、個別レビューの3部で構成しました。セミナーは、課題、ウォンツ、技術の3つの起点から着想できるよう3回に分けて開催し、活動対象以外の方も含めて100名以上の社員さまにご参加いただきました。
ワークショップは活動者に対して実施させていただき、「知っている」と「できる」の大きな溝を埋めることができたという評価をいただきました。次いで、起案されたアイデアに対しては、個別レビュー会を数回にわたり開催させていただきました。ブラッシュアップでのご支援は個別レビューを中心に行い、最終段階においては一部の案件に対して調査や議論、外部インタビューをご一緒に進めさせていただきました。
一方で、個々のテーマ検討と並行して、懸案とされていたエントリーや活動終了時の客観的な「評価基準」を、活動者と評価者の双方に役立つように作成いたしました。一連のアイデエーション活動の結果、エントリー評価を受け審査を通過した約10名が、次のブラッシュアップ活動に進まれました。また、最終段階のテーマ活動を開始するための『推し』を判定する評価基準も、作成のお手伝いをさせていただいております。

unlock(小野):


まずはこれまでの経緯をお伺いさせてください。
この活動は、新規事業本部でどのように進めて来られましたか?

上田さま(事務局):

新規事業本部のメンバーが発案し、兼務でチャレンジできる形で、2020年の12月にスタートしました。
事業テーマの弾込めを目的として活動をしてもらっていましたが、現業優先にならざるを得ず、遅延や中止が発生しました。
サポート機能も不十分で活動が進まず、先行きが怪しくなったテーマに対する見直しやピボットの頻度が少なかったので、放置されがちになる等が課題でした。

中谷さま(事務局):

自主自発的な応募型で運営していたのですが、応募数の減少や活動が継続しにくい状況が出てきており、打破するには社内の支援と伴走だけでは限界があると感じていました。出口検討まで進むテーマが出てこないことが指摘され始めていたので、危機感がありました。

unlockを選んだ理由

unlock(小野):


今回、unlockを選んでいただいた理由、決め手を教えてくださいますか?

伊藤さま(事務局):

今回はアイデアの生み出し方をとブラッシュアップの仕方を学ぶことに目的を絞りました。各社と打ち合わせをする中で、unlockさんが一番具体的で、丁寧に回答していただいたことです。

豊田さま(事務局):

ゼロイチが得意で、テーマ創出の丸投げ相談も可能という点は魅力でした。テーマの採用実績が公表されていて、透明性が高い会社だと感じたのも決め手になったと思います。

山本さま(事務局):

Nittoの上層部と津島さんが事前に面談して擦り合わせていただき、ベクトルが合う活動内容となると期待しました。また、個別レビューで津島社長に直接ご指導いただけることは魅力だなと。

unlock(津島):


それらに加えて、当社の「技術からの着想」という方法が他には無く、製造業である皆さんには魅力的であったという話もあり、張り切って準備したことを覚えています。

「アイデエーション」の支援への反応

unlock(小野):


アイディエーション支援に関する、セミナーやワークショップ、アイデアの壁打ちに対して、参加された方々の反応はいかがでしたか?

伊藤さま(事務局):

セミナーやワークショップの評判はとてもよかったです。アイデアの質が上がったり、支援の機会をきっかけに社内のアイデアコンテストに挑戦する人も出てきました。

実際のワークショップでの様子。
セミナーはオンラインで行い、他部署の社員様も参加されました。

豊田さま(事務局):

参加者からは、的を射たアドバイスが短時間で得られた、とポジティブな反応が多かったです。

山本さま(事務局):

我々にも経験から得た断片的な知識はありますが、体系的なレクチャーを受けられて理解がしやすいとか、ワークショップで「知っている」と「できる」は違うことを体感できたという声が聞かれました。

萩原さま(起案者):

セミナーでは他の企業の具体例があり、理解しやすかったです。ワークショップは時間を区切り、チームで意見を出し合う機会が非常に良い経験になりました。意見を抽出するにはどのように情報を提示すればよいのかを考えるきっかけになりました。


大村さま(起案者):

新規事業の創出方法を体系的に学ぶのは初めてだったので、全てが新鮮でした。技術からの創出は技術者目線で進めやすく、他のテーマ探索にも利用できそうだと思いました。ワークショップのフレームワークは、考えやすく、取り組みやすかったです。

岡田さま(事務局):

アイデアを出すことが難しいという課題には、今回のワークショップで独自のフレームワークを活用した具体的な方法を学び、多数のアイデアを出すことができました。前半の活動を終えて約10個のテーマアイデアが後半へ進むことができ、ブラッシュアップの支援を受けました。


unlock(津島):


かなりの長丁場かつ計3回もセミナーがあったのですが、回を追うごとに参加者が増えたというご報告をいただいて、とても嬉しかったです。



「ブラッシュアップ」の伴走を終えた感想

unlock(小野):


ブラッシュアップから提案作成まで、6か月間の活動を終えられた感想はいかがですか?

南方さま(起案者):

提案の最終段階で、unlockさんと一緒に顧客候補へのインタビューシート作成やインタビューを実施しました。顧客の課題抽出からビジネス像や製品像を形作るプロセスは、今後自分が新規事業を立ち上げていく中で大きな土台となりました。特に、マネタイズの検討でビジネスを分解する方法はとても分かり易く興味深かったので、自身のテーマへも活かしたいと思いました。

萩原さま(起案者):

津島さんから、「1製品についての戦い方ではなく、会社が入り込めていない領域への足掛かりとなる提案を考えよう」と後押ししてもらえたのが印象的でした。私の提案は既存事業に近い領域でしたので、事業部外の私が提案する意義を見出すことができず、悩んでいたからです。新規事業立案を行うのは初めてなので、全貌が見えずハードルが高いと感じていましたが、今回の活動を通して必要な検討項目を学び一通り実践することで小さな課題へとかみ砕くことができるようになったと思います。戦略立案の実践では生の声の大切さを痛感し、仮説を軌道修正しながらサイクルを回せば確度が上がることを実際体験できました。

福島さま(起案者):

仮説が顧客に刺さらず何度かピボットしながら苦戦しましたが、最終的にテーマを継続する判断には至らなかったものの、自分なりに可能性を見出したテーマ案を考えることができました。マクロな社会課題と紐づけた考え方、VoCからの顧客課題の深堀などをアドバイスをいただいたことで、お客様の困りごとの本質を深く考えることができました。

unlock(津島):


起案者の方が企画の壁にぶつかって、どこか意気消沈した面持ちでミーティングに臨まれていたことも少なくなかったのですが、活路が見えた時に見せる晴れやかな表情や、その次のミーティングまでの進捗度合いが明らかに変わっていくのを見るのは、とてもやりがいがありました。

unlock(小野):


では、事務局の方に伺います。クライテリアを設けたことはいかがでしたか?

岡田さま(事務局):

上位者の合議の評価は定性的になるので、起案者にはわかりづらさが残ります。また、評価者にとっても、良質テーマを見落としかねません。アイデアエントリーとブラッシュアップ後のタイミングに適したクライテリアを作成することで、一歩進んだと思います。ただし、評価者が理解しやすいテーマが高得点になる傾向は避けられません。評価者の多様性やファストパスのような制度等が、新規事業を拾い上げるには大事だと感じています。

unlock(小野):


もし反省点や改善点があるようでしたら、是非この機会に伺っておきたいのですが。

岡田さま(事務局):

我々自身の問題なのですが、15分レビューのこなし方に戸惑いました。本人に任せるのか、能動的にファシリテートするのか。15分という時間になれていないこともあり、活動者に任せる進め方にしましたが、進捗が思うように進まない状況がありました。活動者との関係づくりも大事になると思います。
ただ、仕上げの段階で、津島様・小野様との密な支援プロブラムを追加実施した結果、最終的には5件のテーマが提案書の作成まで到達できました。弊社に合わせた柔軟な対応を頂いてありがたかったです。

unlock(小野):


個別レビューの進め方については、モチベーション維持や、アイデアごとの進捗具合も様々で、途中でアイデアをピボットされた方もいらっしゃいますし、事務局/起案者の双方で葛藤もおありであったかと存じます。ですが、現業との両立でお忙しい中、仕上げの追い込みの時期は、より一層真剣に取り組まれ、日東電工のみなさまの粘り強さと底力に感動いたしました。

今後の展望や意気込み

unlock(小野):


それでは起案者の皆さまの、今後の展望、意気込みなどをぜひお聞かせください。

福島さま(起案者):

今後も新規事業創出に取り組む中で、今回のレクチャーや個別面談でのアドバイスを意識しながら、真にお客様が必要とする新規テーマ創出をしていきます。

萩原さま(起案者):

今回提案したテーマについては、四六時中向き合い、考えていたこともあり、非常に思い入れがあります。戦略としてはまだまだ足りない部分も多く、実現に向けては大きなハードルが多々ありますが、何かしらの形で社会へ貢献できるように粘り強く前に進めていきたいと思います。

unlock(小野):


応援しております。事務局の皆様は、今後どのように取り組んでいきたいと考えていらっしゃいますか?

上田さま(事務局):

個人のやりたいことを実現する提案文化は大事にしたいです。そういった意志をもつ人が1人でも多く出て取り組めるように整備したい。今回の経験で1歩は踏み出しましたが、まだ入り口なので、引き続き、チャレンジする活動を健全に回すために必要な要素を準備していきたいです。

unlock(津島):


日東電工さまは素晴らしいアセットをお持ち、また独自のマーケティング活動「三新活動」に取り組んでいることから、さらに多くの新規事業の機会が見えてくる気がしています。是非素晴らしい事業がうまれてくることを期待しております。

unlock(小野):


最後に、今後のunlockに期待することを教えてください。

岡田さま(事務局):

アイデアをテーマにした後の、活動スピードや判断サイクルを加速するような支援がいただけたらと思います。

古園井さま(事務局):

熱意を持って新規事業創出に取り組んだ結果を事業化する出口の設計、出口の多様性を備えていきたいと思います。unlock様のご支援についてもご相談させて頂ければありがたいです。

unlock(津島、小野):


本日は貴重なお話をありがとうございました!
撮影日:2023年5月18日
撮影:奥野 由記