ダブルエース様

セールスプロモーション事業で培ったアセットを活用した新規事業
ダブルエース様取材記事
<写真左から>
(ダブルエース株式会社) 執行役員 新木さま、代表取締役 安田さま、(unlock)津島、壬生
プロジェクト概要と経緯:
ダブルエース株式会社さまは愛知県名古屋市にて2015年に設立、携帯ショップ向けセールスプロモーション事業を推進され、2021年2月より新規事業「キャリゾーマーケティングスクール」を立ち上げるにあたり、unlock代表津島による顧問サービスをご利用いただいています。
「キャリゾーマーケティングスクール」は学生が無料でマーケティングスクールに参加し、企業にインターンとして参画し、企業の雇用支援と学生への学びと実践の場を提供する事業です。

新規事業を検討された背景

unlock(壬生):


本日は、お時間をいただきありがとうございます。
早速ですが、ダブルエースさまの既存事業と、新規事業を検討されるようになられた背景を教えていただけますか?

安田さま

2015年に会社を創業したのですが、始めは携帯ショップのイベント企画やイベントスタッフの手配、契約促進の支援を通じて店舗の実績を上げるというセールスプロモーション事業からスタートしました。
新規事業を検討した背景については、事業の持続可能な成長を維持したいという想いと、既存事業の中で学生さんとの接点が多く、私自身も学生向けのサービスを立ち上げたいと考えるようになり、CareeZo Marketing School(キャリゾーマーケティングスクール)という事業を立ち上げるに至りました。



新規事業「キャリゾーマーケティングスクール」

新木さま

キャリゾーマーケティングスクールは、マーケティングに関して特に学んだことのない学生さん、東海エリアの学生さんを対象に、スクールでマーケティングスキルを身に着けてもらい、実務研修も受けてもらった後に、企業側へインターン派遣するというビジネスモデルです。つまり、インターンがセットになったマーケティングスクールです。

unlock(壬生):


そのアイデア自体はどのようにして生まれたのでしょうか?

安田さま

最初に『スクール』での構想はあって、私がセールススクールのようなストーリーを考えていた記憶があります。そのタイミングで津島さんにお会いして、色々とアイデアを出していきました。
SNSを使った事業やプログラミングスクールなども検討したのですが、調べる中で、プログラミングはAIができるようになる。でも、『マーケティング』という仕事は将来もAIに取って代わられない仕事だよね、という話になりました。 『マーケティングスクール』という構想は、「これだ」と思ったのか、ご相談する中で出てきたのか、津島さんの提案だったか…?

新木さま

それは津島さんの提案だったように思います。
実際に今はChatGPTなども出てきて、プログラミングスクールは結構厳しい状況になってきている中で、『マーケティング』はキャッチーな上に、学生に対してもインパクトがあるので良かったなと。
津島さんも、「自社のアセットも生かすことができて、これからの世の中にも役立つ」と仰っていた記憶があります。

unlock(津島):


いろいろお話しながら行きついた、という感じでしたね。

unlockとの出会い

unlock(壬生):


新規事業を推進される上でのメンターを、数あるコンサルティング会社の中からunlockをお選びいただいた経緯は、どのようなものでしたか?

安田さま

インターネット検索で2社くらいしか検討しませんでしたけど、津島さんとお話してすぐに決めました。(笑)

unlock(壬生):


実際に津島との『壁打ち』をされてみて、どのような印象をお持ちになりましたか?

安田さま

津島さんの印象は、もちろん過去の実績があるからだと思いますが、「できる人だな」と。(笑)
僕らも創業はしたものの経験が浅いので、ゼロから複数の事業をしっかり立ち上げてきた経験を積まれた上でご相談に乗っていただいている、という印象はずっと持っています。

unlock(壬生):


ありがとうございます。 実際に壁打ちをされる中で、津島とはどのようなやりとりがありましたか?

安田さま

新規事業がまだ企画段階のとき、津島さんからは「ちょっと背伸びをすればできることを書き出してみましょう」と言われました。
当初は正直、『自分たちの中でできること』『今までやってきたこと』の範疇でしか考えられなかったので、(より幅広くチャレンジできるという)自信につながりましたね。
それから事業をテストマーケティングしていくタイミングで、僕らの中でもつまずきかけたり、「これで本当に大丈夫だろうか?」「エリアを変えた方がいいんじゃないか?」とか、方針がブレそうになることが多々ありました。
でも、津島さんからは「プロダクトとしてPMF(※1)した状態で世の中に出していくべき」、「拡大はいつでもできるから」という話を何度もしていただきました。このことは最近でも、特に強く意識している点です。

unlock(津島):


新規事業を検討されている企業さんにとって、この『ちょっと背伸びしたところ』をどうやって見つけたかという点は、気になる企業さんが結構多いと思うんですよ。 『ちょっと背伸び』の度合いが抽象的ですし、企業ごとにスイートスポットが違っているので、既存事業からどこまで行ったら『背伸び』なのか、当然ながら距離の捉え方が皆さんそれぞれ違うのです。
御社での『ちょっと背伸び』は、どのような感覚で、どう決めましたか?

安田さま

そうですね。個人的にはスクール事業だったので、講義は外部の人材でまかなえたらいいな、とは思っていました。

unlock(津島):


なるほど、講義は外の人にやってもらえばよいと。

安田さま

そうです。東進ハイスクールさんのようなイメージを描いていました。
ある程度、自分たちでもイメージが湧くマーケティングという範囲のビジネスで、その中に自分たちにはないアセットやリソースを外部調達する(今回はプロ人材)というやり方は、我々としては背伸びをした感覚ですね。
仮に、今から僕たちが「さぁ医療事業を始めよう」と言われても、全くイメージが湧かないので無理です。

unlock(津島):


ダブルエースさんの既存事業は、マーケティングの専門サービスではないけれど、業務の性質上はマーケティングに絡むことが多いビジネスですよね。
なので、マーケティングという領域自体にまったく土地勘が無いわけではなく、新規事業として不足するリソースは外から連れてくるというイメージができたから、『背伸びの範囲』なのですね。サービスを作るイメージができた、と。
あとは、既存事業で学生さんを集めていらっしゃってノウハウもおありなので、それを生かして学生を集客してスクール事業をするというのは地続きだったと言えそうですね。

安田さま

そうですね、確かに地続きでした。

新木さま

僕は、マーケティングスクールの運営について、津島さんと壁打ちをさせていただいています。
学生に対してインパクトのあるメッセージとして、「知っていると、できるは違う」という言葉を津島さんがずっと仰っているんですが、1期から現在の5期生に至るまで、学生の教育の中でそのまま使わせていただいています。(笑)
あと以前、津島さんご自身が、学生たちに話をしてくださったことがありまして、その時はもう大盛況でしたね。





事業の変遷、今後に向けて

unlock(壬生):


実際にマーケティングスクールを始められて、どのような障壁やご苦労がありましたか?

安田さま

最初はなかなか収益に繋がりづらい特性がありまして、そんな中での苦労といいますか、なんとか黒字にしなくちゃいけないと焦ってしまう気持ちはあったのかな、と思います。
それから、教育という知見の無い分野でもあったので、最初はコストも結構かかりました。苦労とはちょっと違いますが、方向性がブレそうになったことは何度もありました。

新木さま

コロナ禍ということもあり、リモートインターンというのがちょっと流行りつつあって、そこで東海エリアの学生さんを集めて、関東のマーケティング界隈の企業さんにインターン派遣したところがスタートでした。
ですが、コロナがだんだん落ち着いてきて、リモートインターンを実施する企業が減ってしまっています。企業さんとしては実際にオフィスへ来てくれる学生の方が良いので、そこでリモートインターンを提案するには、以前以上に学生のスキルや経験の部分が重要になっていますね。そこが苦労しているところです。
エリアを東海市場にしようとすると、インターンという制度自体がまだ根付いていないので、市場自体を開拓する必要があります。インターンを採用いただいて、企業さんの事業を加速させることができるというメリットを、もっと伝えていかないといけません。大変ですが、やりがいもあります。

unlock(壬生):


インターンを採用されて、利用された企業側の反応はいかがですか。

新木さま

常に満足されている企業さまが多いです。
普通では出会えなかった学生に出会えたり、マーケティングスキルに加えて人間としてすごく魅力がある学生さんを紹介してくれる、という声をいただいています。
1回採用していただいた企業さんは、基本的にリピートいただけていますね。

unlock(津島):


ゼロからサービスを作って、そのサービスにお客様が満足してくださっているのは、本当に素晴らしいことですよね。

安田さま

我々のスクールを受講した学生さんだから(企業側の)満足度が高いのか?というと、まだ厳密には測りきれないところではあります。「とにかくコンセプトが面白い!」という声もいただいていますね。




unlock(津島):


学生さんに対しても、何もインパクトが無い、ということはないと思いますよ。
ダブルエースの皆さんとしてはまだまだ満足されてないとは思うんですが、 十分に学生さんの可能性を開いていっていると思います。

unlock(壬生):


学生さんは、完全に無料でマーケティングスクールに通うことができるのですか?

安田さま

はい、スクールの受講は無料です。
フィーをいただいた方が良いのではないか?とか、ぐるぐる議論が回っていましたけれど。

unlock(津島):


その点に関しては、いっぱい議論がありましたよね。

unlock(壬生):


紆余曲折を経て、今の形になっているのですね。
今後はどのように事業を展開したいとお考えでしょうか?

安田さま

やはり最終的には、中部地区に限らず、全国展開をしていきたいと考えています。
ただ行き急いてしまわないように、プログラムとしての完成度をきっちり上げていきたいと考えています。

unlock(壬生):


我々としましても、引き続きご協力させていただきたいと考えております。
今後はunlockにどのようなご支援を期待されますか?

安田さま

そうですね。これまで通り、我々がブレそうになったときに、整えていただけたらありがたいです。

unlock(津島):


それはお聞きできて良かったです。
ありがとうございます。

unlock(壬生):


後、新規事業を検討される方々への指針になればと思いますので、追加でご質問させてください。
事業方針がブレそうになった時があったとのことですが、津島からアドバイスさせていただいたことで、印象に残っていることなどはありますか?

新木さま

まず、学生にはマーケティングという点はキャッチーなので、「マーケティングスクールでいきましょう」と言っていただいたことがありますね。
それから、事業の方向をスクール事業だけにするか、企業インターンを含めたマーケティングスクールにするか、という分岐点があったのですが、その時にも「マーケティングを学ぶだけでは他に行かれてしまう」「知っていると、できるは違う」と津島さんに仰っていただき、ブレずに後者に決定することができました。ここはかなり大きな決断だったと思います。

安田さま

僕が一番印象に残っているのは、色々と迷いが生じていて、エリア拡大に勇み足になりそうだった時に、「まずはプロダクトがちゃんと市場に合うかどうかという点を確認してから進めましょう」と、津島さんにスパっと言っていただいたことですね。
ちゃんとNPS(※2)をとって、企業や学生の満足度を把握した状態で、検証してから改めて拡大していきましょう、と。「拡大はいつでもできるから」と仰っていましたね。

unlock(津島):


確かにそれはお伝えしましたね。
お金をかければ、アクセルはいつでも踏めるからって。(一同笑)
私から見たダブルエースさんのすごいところは、『言ったら絶対やる』というところなんです。
私がアドバイスしたら、絶対にやるんですよ。 しかも言われたことより、もっとやる。それは本当に強みだと思います。

unlock(壬生):


今日は貴重なお話を多々お聞かせいただき、ありがとうございました。

unlock(津島):


私もいろいろと振り返ることができて良かったです。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします。
※1 PMF(プロダクト・マーケティング・フィット):提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態のこと。
※2 NPS(ネット・プロモーター・スコア):企業や商品・サービスへの愛着度がどの程度あるかを数値化し、顧客ロイヤルティを測る指標。
撮影日:2023年11月1日
撮影:岡島 史恵