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2025.10.30
大企業の新規事業開発における「メンター」の役割と適切な選び方
新規事業

大企業の新規事業開発において、メンターは人材育成のために欠かせません。

しかし、どのようにメンターを決めればいいかわからないという方も少なくないでしょう。

そこで、本コラムではメンターの役割や適切な選び方について解説します。

なぜ新規事業にメンターが必要なのか?

大企業であっても新規事業の成功率は決して高くありません。

新規事業の主な失敗原因は、慢性的なリソース不足や知見不足です。

実際、大企業の新規事業担当者への調査では「担い手となる人材の確保」(約38.9%)や「新規事業に必要な知識・ノウハウ不足」(約38.6%)が課題のトップに挙げられています。

また、現場を指揮する上司にも新規事業のスキルや経験がない、担当チームも人手不足で業務過多になっているといった声がよく聞かれます。

こうした状況では、社内にノウハウが蓄積されにくく、新規事業の推進力が低下してしまいます。

さらに、社内に適任者がいない場合には、社外の専門人材を招いて知見を補うことも必要です。

経験豊富な「メンター」を新規事業プロジェクトに迎え入れることは、不足するスキルやマンパワーを補い、社内メンバーの学習曲線を速める有効な手段となります。

メンタリングの基礎知識を身につけたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

新規事業におけるメンタリングとは?重要性や支援方法を解説

よくある「失敗するメンター」の特徴

新規事業を支援するメンターには、様々なタイプがあります。

しかし、なかにはメンティー(新規事業担当者)に十分な価値を提供できず失敗してしまうケースも存在します。

失敗するメンターの主な特徴は、以下の2つです。

コンサル型メンター

コンサル型メンターとは、能力は高く、論理的な説明で話はわかりやすいメンターです。

コンサル型メンターは、資料上ではもっともらしい戦略プランを提示できますが、現場を知らないため、実装段階では自社のパターンにはめ込むことしかできず、机上の空論に終わります。

また、現場の温度感や泥臭い試行錯誤を経ていないため、「正論だけを言われる」など現場からの評判はよくないケースが多く、メンティーに響く具体策が出せず役に立たないことがあります。

その一方で、外部コンサルを利用することで、新規事業の課題を解決できる事例も少なくありません。

外部のコンサルを利用するメリットなどについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

外部の新規事業コンサルティング会社を起用する意義は?依頼時の注意点は?

コーチ型メンター

コーチ型メンターとは、新規事業の経験にもとづき個人の名前で仕事をしているメンターです。

コーチング志向が強く、答えを教えず問いかけを繰り返します。

「相手の中に答えがある」と考えるコーチング手法ではあえてアドバイスしないこともありますが、これを過度に追求しすぎると、メンティーから「どうすれば良いか教えてほしい」と求められても「あなたはどう思いますか?」と質問で返すばかりになってしまいます。

過度に追求しすぎると議論が堂々巡りになり、メンティーはフラストレーションを感じて前に進めません。

また、新規事業の現場では、適切な指針や具体的な解決策を示さないと、スピード感についていけない恐れがあります。

新規事業を成功に導くメンターの望ましい特徴

ここからは、新規事業を成功に導くメンターの望ましい特徴を3つ紹介します。

豊富な実績と経験

新規事業のメンターでは、自ら手を動かして新規事業を立ち上げ、黒字化まで導いた実績のある人が理想的です。

実際に成功・失敗の両方を経験したメンターなら、現場感のある実践的な助言ができます。

また、新規事業開発のノウハウを持ったメンターがプロジェクトに入るだけで、見通しを持った事業推進が期待できるでしょう。

このように、豊富な経験に裏打ちされたアドバイスは、机上の理論では得られない貴重な指針となります。

抽象論と具体論のバランス

メンターには、経営戦略のような抽象度の高い議論から、マーケティング施策やプロダクト改善といった具体論まで、状況に応じて行き来できるバランス感覚が求められます。

また、複雑化する課題に対して一般論に閉じず、経営者に寄り添う共創型の姿勢で伴走し、アウトプット(成果)とプロセスにコミットして支援できるスタイルも理想です。

このように、適当な言葉ではぐらかさず、たとえ即答できなくとも一緒に答えを考えてくれるようなメンターの方が、メンティーにとって何倍も心強い存在になります。

視野を広げる対話力と伴走姿勢

優れたメンターは、メンティーとの対話を通じて相手の思考を引き出し、課題解決に向けた新たな視点、課題に対する解決策を提供してくれます。

また、メンターとの良好なコミュニケーションにより、異なる視点からの意見を積極的に吸収することでメンティーはより柔軟で豊かな発想が期待できます。

単にアドバイスするだけでなく、重要な意思決定の局面ではメンティーに寄り添い伴走者として支えてくれるメンターであれば、担当者は安心してチャレンジを続けることができるでしょう。

こうした信頼関係にもとづく伴走によって、メンティーは自信を持って意思決定し行動に移しやすくなります。

メンターの探し方:社内で探すか社外を活用するか

いざ自社でメンター制度を導入しようと決めても、「適任のメンターをどこから見つけるか?」という問題があります。

ここでは、社内メンターの探し方社外メンターの活用方法について、導入までのフローと併せて解説します。

メンターの探し方をはじめとした新規事業を成功させるポイントを新規事業のプロから学びたい方は、unlockをご利用ください。

社内メンターの探し方

メンターを決めるためには、社内に新規事業の適任者や経験者がいないか探しましょう。

身近な社員をメンターに充てられると、新たに人材を採用する時間やコストを削減でき、社内ノウハウの共有にもつながります。

また、社内メンターの選出では、メンター候補が本業と兼任になるケースも多いため、時間の確保や役割を明確化しましょう。

メンターに任命する際には、上長や関係部署と調整しメンタリングに割く時間を確保したり、メンターとしての役割・評価を社内で正式に位置づけることが重要です。

また、年次の近い先輩社員をメンターにした場合は人間関係がフラットで相談しやすい半面、経験値が不足する恐れもあります。

社内メンターを選ぶ際は、その人物の経験・知識がメンティーの課題にマッチしているかを見極めましょう。

社外メンターの活用

自社内に適任者が見当たらない場合は、社外からメンターを招くことを検討しましょう。

昨今では企業の新規事業開発を支援するメンターを紹介してくれるサービスも登場しており、必要な分野のプロ人材にスポット的に相談できるようになっています。

新たに専門人材をフルタイム採用して抱えるよりコストを抑えられる場合もあるため、こうしたサービスを活用するのも一手です。

例えば、パソナJOB HUBといったサービスでは、「社内で新規事業を立ち上げたい」といったニーズに対し、事業開発経験者をメンターとしてマッチングしてくれます。

もう一つの有力な選択肢は、経験豊富で実績が明確な新規事業に特化した支援会社を探して依頼することです。

新規事業に特化しているため、1つの事業会社で事業を立ち上げた経験がある人よりも、より幅広く新規事業を経験しており、最新の成功事例や失敗事例にも精通しているケースが多く効果的な支援を得やすいと言えます。

また伴走支援を日常的に行っているため、上記で例に挙げたよくある「失敗するメンター」の特徴にあてはまるような支援となるリスクも下がります。

株式会社モリタ「B-SWITCH」第3期 ― 事務局×起案者の両面から見えた“成果を出す伴走”のかたち

メンターで新規事業を成功させた企業のひとつが株式会社モリタです。

歯科医療分野をリードしてきた株式会社モリタは、社内起業プログラム「B-SWITCH」を2022年から運用しています。

株式会社モリタの苦悩

当時の株式会社モリタは、1・2期を経て社内からの期待値が上がり、第3期(2024年始動)では「育成」中心から“事業化(成果)重視”へと舵を切らなければなりませんでした。

第2期では、他社のコンサルティング会社が支援し始めましたが、その支援スタイルはいわゆる“コーチング型”でした。

コーチ型メンターでは、起案者が「どう進めたらよいか教えてほしい」と求めているのに対し、「あなたはどう思いますか?」という問いかけを繰り返したり、一般論・正論に終始する場面が目立ちました。

結果として、事業アイデアの具体性や検証精度が上がらず、起案者たちは方向性を見失い、途方に暮れる場面が増えてしまいました

コーチ型メンターから得た気付き

株式会社モリタは、コーチ型メンターの失敗から、第3期では「答えを提示でき、実務レベルで手を動かして伴走してくれる支援者が必要だ」という共通認識が事務局内に生まれました。

そして、“成果を出すことにコミットし、手を動かしてくれる外部伴走者”としてunlockを起用しました。

事務局自身が新規事業の実務知見を十分に持たず、「自分ひとりでは起案者を支えきれない」という限界も明確になっていたため、unlockのような実務支援型のメンターをパートナーとすることが、組織全体としての打ち手でした。

unlockを選んだ決め手(事務局視点)

株式会社モリタにとって、 unlockの「丸投げしてもいいんですよ」というスタンスと、メンタリングに加えて調査・資料化まで担う“unlock ILP(Innovative Launch Partners)”の存在は、事務局の「ここまで手を動かしてほしい」という悩みに刺さりました。

また、初回説明の段階で「この人たちなら大丈夫!」と即断できるほど、課題の構造化と具体的な論点提示が的確だったことも信頼形成の大きな要因です。

さらに、必要なところに必要なだけ支援をはめ込む“カスタムメイド型”の伴走が可能だった点が、限られた社内リソースとの親和性を高めました。

unlockの施策内容(3か月/起案者3名への実務伴走)

unlockは、第3期に社内選考で選ばれた3名の起案者に対し、アイディエーションのセミナー&ワークショップ、企画の壁打ち、リサーチ、ビジネスモデルの図解や資料作成までを約3か月間のスプリントで一気通貫支援しました。

また、毎週の「宿題」を明確にし、進むべき検討課題を“実行可能な粒度”まで落とし込むことで、起案者・事務局双方の迷いを排除し、プロジェクトはスムーズに進行しました。unlk.jp全員未経験者で挑む アセットを活かした新規事業【起案者編】

unlockの施策による変化は、以下の3つです。

起案者側視点:視点の拡張

株式会社モリタは、歯科業界という枠内での発想に閉じていたと気づき、「モリタという会社の可能性をもっと広げる必要がある」と認識がシフトしました。

それにより、業界・機能を越えた“引き出しの多さ”に気付き、抽象度の高い問い(「これからの百年をどう創るか?」)を自分ごとで考え始めた。

起案者側視点:実務の壁突破

株式会社モリタは、エビデンス収集やビジネスモデル構築など、“手を動かす”フェーズでunlockが伴走したことで、「1人では行き詰まっていた歯車が回り始めた」と実感しました。

また、資料化の表現・構成もプロの手で可視化され、理解と意思決定が加速しました。

起案者側視点:自己効力感の向上

「本人の意思を尊重してくれた」問いかけと後押しを通じ、“自分の意思で考え抜き、形にする”経験値が蓄積された。
これらの変化は、単なる“教える・問いかける”に留まらず、必要な場面では答えや型を提示し、同時に思考の幅を広げるというメンター像(=抽象論と具体論を往復できる伴走者)の有効性を示しています。

事務局視点:「成果を出す」ための運営設計が具体化

抽象的な宿題や限られたメンタリング回数で“で、結局どうすれば?”と迷っていた第2期から、“宿題の明確化×ILPによる実務補完”により、運営負荷を抑えつつ結果に向けて走り切れる設計へ変化しました。

事務局視点:知見の外部拡張

unlockを“新規事業開発室の外部拡張機能”と位置づけ、社内にない知見・手数を補完しました。

それにより、「専門性という意味では頭ひとつ抜けていた」という評価が象徴するように、一般論ではなく“具体的に詰まるところを一緒に解く”支援が、制度の信頼回復と再加速に直結しました。

示唆:失敗しないメンター選びの要件

株式会社モリタののケースは、「一般論を語るだけのコンサル型」や「問いかけばかりのコーチ型」ではなく、“抽象と具体を行き来しながら、必要な場面では手と頭を同時に動かしてくれる”メンターが、リソース不足の大企業新規事業に最もフィットすることを示しています。

特に、以下の3つは、メンター選定の重要な基準として再確認すべきポイントです。

・成果責任に耐える“手を動かす力”(unlock ILP)
・起案者の意思を尊重しつつも、意思決定に必要な答えを提示できる実戦知
・事務局を含めた組織側の“限界”を理解し、運営設計を一緒につくる姿勢

まとめ

今回は、メンターの役割や適切な選び方について解説しました。

大企業の新規事業開発では、リソースや知見の不足により、担当者が手探り状態で進めざるを得ないことが少なくありません。

そうした現場において、実践知を持つメンターの存在は、プロジェクトを推進し、意思決定を支える上で極めて重要です。

しかし、理論先行で現場を知らない「コンサル型」や、問いかけ偏重で導かない「コーチ型」のメンターに頼ると、むしろ混乱を招くことがあります。

適切なメンター選びにより、新規事業を成功させましょう。

問い合わせ先


【代表取締役】
津島 越朗
【設立】
2016年 10月21日
【本社所在地】
東京都渋谷区恵比寿3丁目9番25号 日仏会館5階
【事業内容】
新規事業立上げの支援・コンサルティング
【公式サイト】
https://unlk.jp/