構想段階の新規事業アイデアを進める際、経営層に予算を承認してもらう方法は?

Q. 構想段階の新規事業アイデアを進める際、経営層に予算を承認してもらう方法は?

A. できるだけたくさんの課題が実在すること、それからその課題の当事者の一次情報を集めること。

ここでの課題というのは「ニアリーイコール需要」のことです。

課題がまだ解決されていないということだけではなく、その理由もセットで提示すると予算を承認してもらいやすくなるでしょう。

また、既存事業の課題を抽出し、それらをもとに集める一次情報は、AIにはできない非常にリアルで価値のある情報です。

その課題に対して、なぜこの解決策が有効と言えるのか。現在その課題で困っている人が「その解決策なら有効である」と言っていることまで情報が取れると、さらに説得力が増します。

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解説

新規事業の構想段階、つまりまだプロダクトも売上もない状態で経営層から予算を引き出すのは至難の業です。

とくに、経営層や決裁者は、「誰も欲しがらないものに多額の投資をしてしまうこと」について恐怖を抱いています。

もちろん、経営会議において「市場規模が〇〇億円ある」や「海外で似たモデルが流行っている」といったマクロな二次情報は、事業のポテンシャルを示す前提条件として不可欠です。

しかし、AIやコンサル資料ですぐに出せる数字だけでは「机上の空論」の域を出ず、決裁の最後の決め手にはなりません。

アンサーにあるとおり、経営層の不安を払拭し、首を縦に振らせる最強の武器は「当事者の一次情報」です。

市場の「広さ」を示す二次情報に対し、「現場の〇〇さんが、毎日この不条理な業務に時間を奪われて本気で困っている」という「深さ」を伴った生々しい一次情報を掛け合わせることこそが、「ただのトレンド」を「確実な需要」へと昇華させる証明になります。

さらに、経営層を納得させるには、以下の3つのピースを「現場の声」で埋める必要があります。

1. 課題の実在:誰が、どんな深い痛みを抱えているか。

2. 未解決の理由:なぜ既存のサービスや代替手段で解決できていないのか。

3. 解決策への当事者の賛同:ターゲット自身が「そのアイデアが実現したら絶対に使いたい」と証言しているか。

このように、「綺麗なパワポ」を作る暇があれば一人でも多くの当事者に会いに行くというような泥臭い行動こそが、最終的に経営会議を突破する熱量になります。

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事例:カケハシ(薬局向けシステム「Musubi」)

薬局向け電子薬歴システムを提供する株式会社カケハシの創業エピソードは、まさに「一次情報の熱量」が投資家を動かした完璧な事例です。

同社は構想段階において、薬剤師のリアルな課題を探るため、地方の薬局を含めて400件もの徹底したヒアリングを実施しました。

現場に足を運び、当事者の生の声を集め続けた結果、「現場が本当に抱えている課題」と「それが未だに解決されていない理由」が鮮明になり、当初30以上あったアイデアから確信を持って薬局領域へと絞り込みました。

その後、創業初期の資金調達に臨みましたが、驚くべきことにこの時点で動くプロダクトは一切なく、手元にあったのはパワーポイントの企画書だけでした。

にもかかわらず、圧倒的な一次情報に裏打ちされた深い顧客理解が高く評価され、6,500万円もの出資(予算)を獲得することに成功しました。

このようなできごとに対して、投資家たちは「とりあえず作ったハリボテのモックアップ」よりも「400人の当事者の声」に圧倒的な投資価値を見出しました。

このように、株式会社カケハシの創業エピソードは、構想段階において何をすべきかを如実に物語っています。

参照元: https://type.jp/et/feature/8221/

まとめ

構想段階で予算承認を得るには、机上のデータではなく当事者の一次情報で需要の実態を示すことが重要です。

課題の深さや未解決の理由、解決策への賛同まで具体的に提示することで、説得力が高まります。

現場に足を運んで一次情報を徹底的に集めつつ、市場規模などの二次情報と掛け合わせてリアリティがある根拠を築きましょう。

この記事を書いた人
株式会社unlock 代表取締役社長 津島越朗

得意領域
テクノロジー(AI・ブロックチェーン・IoT等)をベースとした既存産業の革新・効率改善サービス(SaaS等含む)の新規事業
企画・開発・拡大(Growth Hack)、0→1(ゼロイチ)

経歴
2005年 株式会社リクルート入社(人材事業営業部)
2008年 同上(インターネットマーケティング局、マーケティング・新規事業企画)
2011年 株式会社ディー・エヌ・エー入社(サンフランシスコにて現地法人のマーケティング組織の立ち上げ)
2013年 株式会社DeNAライフサイエンス(東京大学医科学研究所と遺伝子検査MYCODEの立ち上げサービス&マーケティング責任者)
2014年 株式会社DeNAロケーションズ 代表取締役社長(海外のテクノロジーベンチャーとの合弁企業)
2016年 株式会社unlock設立