新規事業担当者のためのオズボーンのチェックリスト活用ガイド

新規事業の立ち上げには、他社との差別化を図るためにアイデア出しが欠かせません。

しかし、思うようにいいアイデアがでないと悩んでいる方も少なくないでしょう。

そんなときに役立つのが「オズボーンのチェックリスト」です。

本コラムでは、オズボーンのチェックリストについて解説します。

オズボーンのチェックリストとは

オズボーンのチェックリストは、新規事業開発や既存事業の改善に活用できる強力なアイデア創出ツールです。

ブレインストーミングの考案者であるアレックス・F・オズボーンが開発した9つの視点から成り立っています。

9つの視点とその活用法

  1. 転用: 既存の製品やサービスを別の用途に使えないか考える
  2. 応用: 他の分野や業界のアイデアを自社のビジネスに適用できないか検討する
  3. 変更: 既存の製品やサービスの一部を変更してみる
  4. 拡大: スケールアップや機能追加の可能性を探る
  5. 縮小: 製品やサービスをコンパクト化したり、機能を絞り込む
  6. 代用: 別の材料や方法で代替できないか考える
  7. 再配置: 要素や部品の配置を変更してみる
  8. 逆転: 既存の概念や方法を逆転させてみる
  9. 結合: 異なる製品やサービスを組み合わせる

オズボーンのチェックリストとともに「掛け合わせ」を活用すると、新規事業のアイデア出しがよりスムーズになります。

「掛け合わせ」について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

新規事業を立ち上げる5つのプロセスとは?「掛け合わせ」アイデア思考法についても解説

新規事業の立ち上げは、企業の将来性を決める重要な過程です。目新しい製品やサービスを提供するだけでは持続可能な経営は成り立ちません。顧客のニーズや市場の動向を正確に理解し、緻密な市場分析に基づき事業戦略を練ることが、新規事 […]

オズボーンのチェックリストの適用例

オズボーンのチェックリストは、既存ビジネスにも適用されています。

ここからは、オズボーンのチェックリストの適用例を2つ紹介します。

当社のアカデミアでは、オズボーンのチェックリストをはじめとしたアイデア着想のための具体的な手法を課題・ウォンツ・技術の3つの切り口からレクチャーしています。

新規事業におけるアイデア出しでお困りの方は、利用してみてください。

アカデミア

unlockアカデミアでは、新規事業の知識や経験がゼロの社員が、3ヶ月間で新規事業立ち上げに必要な知識を習得し、実際に新規事業の企画を完成させることができます。
新規事業に必要な企画書作成だけでなく、新規事業アイデアの着想方法を学べるコースを提供しているのが、unlockアカデミアの特長です。

既存ビジネスへの適用例①:コーヒーショップチェーン

オズボーンのチェックリストは、以下のようにコーヒーショッチェーンでも採用されています。

  1. 転用: コーヒーショップのスペースを昼間はカフェ、夜はバーとして活用する
    – 実例:スターバックス イブニングストア(一部店舗で夜はアルコール提供)
  2. 応用: 自動車業界のドライブスルーシステムを導入し、車内でのコーヒー注文・受け取りを可能にする
    – 実例:多くのコーヒーチェーン(スターバックス、ドトールなど)がドライブスルーを導入
  3. 変更: 従来の店内での注文方式をタブレットやスマートフォンでの事前注文に変更する
    – 実例:スターバックスのモバイルオーダー&ペイ
  4. 拡大: コーヒー以外の飲料や軽食メニューを拡充し、カフェレストランとしての機能を強化する
    – 実例:タリーズコーヒーの一部店舗でのフードメニュー拡充
  5. 縮小: エスプレッソとアメリカーノのみを提供する小型の特化型店舗を展開する
    – 実例:ブルーボトルコーヒーの一部店舗
  6. 代用: 従来の紙コップの代わりに、環境に優しい生分解性カップを導入する
    – 実例:スターバックスの一部店舗での紙ストロー導入
  7. 再配置: カウンター席を窓際に移動し、街の景色を楽しめるようにレイアウトを変更する
    – 実例:エクセルシオールカフェの一部店舗での窓際カウンター席
  8. 逆転: 客が自分でコーヒーを淹れる「セルフサービス型」カフェを開設する
    – 実例:サンフランシスコの「Cafe X」(ロボットアームがコーヒーを淹れる)
  9. 結合: コーヒーショップと書店を組み合わせた「ブックカフェ」を展開する
    – 実例:スターバックス・ツタヤ提携店舗

既存ビジネスへの適用例②:オンライン教育プラットフォーム

オンライン教育プラットフォームを例に、オズボーンのチェックリストは適用されています。

  1. 転用: 学生向けの教育コンテンツを企業の社員研修用にカスタマイズして提供する
    – 実例:Courseraの企業向けプログラム「Coursera for Business」
  2. 応用: ゲーム業界のレベルアップシステムを導入し、学習進捗に応じて称号やバッジを獲得できるようにする
    – 実例:Duolingoの経験値システムとレベルアップ機能
  3. 変更: 従来のビデオ講義形式から、インタラクティブな3Dバーチャル教室環境に変更する
    – 実例:VRChat Educationの仮想教室
  4. 拡大: 言語学習に特化していたサービスを、STEM(科学・技術・工学・数学)分野にも拡大する
    – 実例:Udacityのテクノロジー特化コース
  5. 縮小: 特定の資格試験対策に特化した、集中型の短期コースを提供する
    – 実例:Magooshの各種資格試験対策コース
  6. 代用: 人間の講師の代わりにAI講師を導入し、24時間質問対応を可能にする
    – 実例:CenturyのAIを活用したパーソナライズド学習
  7. 再配置: コース構成を変更し、理論学習の前に実践演習を配置する「反転学習」方式を採用する
    – 実例:edXの一部コースでの反転学習アプローチ
  8. 逆転: 学生が講師となって教える「ピア・ラーニング」セクションを設け、教えることで学ぶ機会を提供する
    – 実例:Brainlyのピアツーピア学習プラットフォーム
  9. 結合: オンライン学習と実際の職場でのインターンシップを組み合わせた「ハイブリッド型キャリア支援プログラム」を開発する
    – 実例:Googleのキャリア認定資格とインターンシッププログラム

9つの視点の中で特におすすめな視点は「逆転」

オズボーンのチェックリストの9つの視点はすべて有用です。

その中でも、新規事業開発においてとくに効果的な視点は「逆転」です。

「逆転の発想」により躍進したメルスプラン

メルスプランは、従来のコンタクトレンズビジネスモデルを根本から覆す「逆転の発想」によって生まれました。

メルスプランは、会員制の定額制サービスとして提供されるコンタクトレンズの新しいビジネスモデルです。

顧客が毎月一定の料金を支払い、必要に応じてレンズを受け取れます。

また、メーカーは販売店に対し手数料を支払う形を取っています。

従来のモデルでは、顧客が販売店でコンタクトレンズを購入し、販売店がメーカーに仕入れ代金を支払う方式でした。

しかし、メルスプランはコンタクトレンズビジネスモデルを革新し、成功を収めました。

引用:Forbes Japan 『人の喜ぶ顔が好き 常識も業績も“逆転”させたメルスプラン、新発想をもたらす「夢中になる力」』

メルスプランの「逆転の発想」の起源は?

メニコンの田中社長は、販売店からの代金回収の問題を解決するために「お金の流れを逆にしてみたら」と考えました。

この発想が、メーカーが販売店に手数料を支払うという仕組みの基礎となりました。

メルスプランの利点

  1. 顧客にとって:

    ・定額で必要なレンズが入手可能

    ・コスト管理が容易

  1. 販売店にとって:

    ・代金回収の問題が解消

    ・安定した収入源の確保

  1. メーカーにとって:

    ・安定した需要の確保

    ・顧客との長期的な関係構築

メルスプランのビジネスモデルは、従来の「製品を売る」という発想から「サービスを提供する」という発想への転換を示しています。

このような逆転の発想によって業界の常識を覆し、新たな価値を創造した取り組みは、新規ビジネスの好例といえるでしょう。

まとめ

今回は、オズボーンのチェックリストについて解説しました。

オズボーンのチェックリストを活用することで、新規事業担当者は既存の枠組みにとらわれない革新的なアイデアを生み出せます。

オズボーンのチェックリストを新規事業開発で活用するためには、以下のポイントを押さえることが求められます。

  1. 固定観念を捨てる:どんなに奇抜なアイデアでも否定せず、可能性を探る。
  2. 量を重視:まずは多くのアイデアを出し、後から精査する。
  3. 他業界からのインスピレーション:自社とは全く異なる業界の成功事例からヒントを得る。
  4. 顧客視点の重視:新しいアイデアが実際に顧客のニーズを満たすかを常に考える。
  5. イテレーションの実施:出たアイデアを基にブレインストーミングし、アイデアを発展させる。

オズボーンのチェックリストを使いこなし、貴社の新規事業開発を成功に導きましょう。

この記事を書いた人
株式会社unlock
事業プロデューサー 熊田竜次

得意領域
営業 & コンサルティング、Webマーケティング

経験業種
BtoC:人材、製造業、不動産、エンタメ、インフラ
BtoB:人材、AI開発、ソフトウェア(SaaS)、金融、インフラ

経歴
早稲田大学社会科学部 卒業。株式会社マイナビ、株式会社Speeeを経て現職。
支援プロジェクト数 50社以上 (2026年7月現在)。