新規事業のテストマーケティングは、どのような顧客を対象に実施するのが良い?

Q. 新規事業のテストマーケティングは、どのような顧客を対象に実施するのが良い?

A. まず強い課題を持ち早期に購買行動を起こす顕在層を対象に実施し、初期段階で本当に売れるかを見極めることが重要です。

顕在層の方が潜在層よりも早く、今回のプロダクトに対して反応してくれる傾向があります。

また、実際にプロダクトローンチした初期において、顕在層の人たちが購入してくれないと、ローンチ早々にプロジェクトが頓挫することになりかねません。

テストマーケティングについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

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解説

新規事業のテストマーケティングにおいて、誰に話を聞くかは、事業の生死を分ける重要な意思決定です。

そのようなテストマーケティングで陥りがちなミスのひとつが、「より市場規模が大きいから」という理由で、まだ課題を自覚していない「潜在層」からアプローチを始めてしまうことです。

潜在層は、ヒアリングすると「あれば便利ですね(Nice to Have)」と好意的な反応を示してくれますが、いざ売ろうとすると財布の紐を決して緩めません。

さらに、現状の代替手段でなんとかごまかせており、お金や手間を払ってまで新しいものを導入する切迫感がないことも「潜在層」へのアプローチから始めるのを避けるべき要因のひとつです。

新規事業のテストマーケティングにおいて最初に狙うべきなのは、「顕在層(Must Haveの課題を抱える人)」です。

顕在層とは、今まさにその課題で血を流しており、「解決策があるなら今すぐいくらでも払う」という切実なペインを抱えている層です。

新規事業の初期フェーズにおいて、プロダクトの機能はまだ不完全で、デザインも粗削りな状態です。

それでもなお「売ってほしい」と言ってくれる顕在層が存在しなければ、その事業は成り立ちません。

最も課題が深い顕在層が飛びつかないプロダクトが、課題の浅い潜在層に売れることは絶対にありません。

だからこそ、「顕在層が本当に買ってくれるか」を最初の試金石としてテストすることが求められます。

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事例:Photosynth(Akerun)

後付け型スマートロック「Akerun」を提供する株式会社Photosynthの事象は、ターゲットを潜在層から顕在層へ転換したことで事業を劇的に成長させた好例です。

Photosynthは、一般家庭向けのプロダクトとして2015年にAkerunの販売を開始しました。

Akerunはメディアにも大きく取り上げられ、新しいもの好きの層を中心に初期の売れ行きは好調でした。

しかし、「あれば便利(Nice to Have)」という潜在層をターゲットにした結果、継続的な利用に繋がらず、わずか3ヶ月後にはアプリの利用率が急低下しました。

そこで、Photosynthは方向転換を図り、すでに導入していた100社へのヒアリングを実施しました。

そして、その結果をもとに顧客セグメントを細かくわけ、各セグメントの「Akerunを知らない10人」に対して徹底的なテストマーケティングを実施しました。

Photosynthがテストマーケティングで重視したのは、「10人中10人が欲しいと答え、そのうち4人が『今すぐ買う』と答える」という強烈な顕在層(Must Have)を見つけ出すことです。

テストマーケティングの結果、「従業員数10〜300名程度の中小規模のIT企業」において、入退室管理を自動化したいという切実なニーズがあることが判明しました。

この「今すぐ買う顕在層」だけにターゲットを絞り込んでプロダクトを再構築したことで、累計利用企業数は7,000社を超え、上場を果たすまでの急成長を遂げました。

参照元: https://sairu.co.jp/method/5720/

まとめ

新規事業のテストマーケティングでは、まず強い課題を持つ顕在層を対象にすることが求められます。

その一方で、潜在層の「あると便利」は購買に繋がりにくく、判断を誤らせかねません。

新規事業の初期で重要なことは、不完全なプロダクトでも「今すぐ欲しい」と言う顧客の反応を確認することです。

適切なテストマーケティングを通じて、最も課題が深い層に刺さるかを見極めましょう。

この記事を書いた人
株式会社unlock 代表取締役社長 津島越朗

得意領域
テクノロジー(AI・ブロックチェーン・IoT等)をベースとした既存産業の革新・効率改善サービス(SaaS等含む)の新規事業
企画・開発・拡大(Growth Hack)、0→1(ゼロイチ)

経歴
2005年 株式会社リクルート入社(人材事業営業部)
2008年 同上(インターネットマーケティング局、マーケティング・新規事業企画)
2011年 株式会社ディー・エヌ・エー入社(サンフランシスコにて現地法人のマーケティング組織の立ち上げ)
2013年 株式会社DeNAライフサイエンス(東京大学医科学研究所と遺伝子検査MYCODEの立ち上げサービス&マーケティング責任者)
2014年 株式会社DeNAロケーションズ 代表取締役社長(海外のテクノロジーベンチャーとの合弁企業)
2016年 株式会社unlock設立