生成AIは新規事業開発のどの場面で役立つ?

Q.生成AIは新規事業開発のどの場面で役立つ?

A. 新規事業開発における全てのフェーズで役に立つので、積極的に導入するべき。

生成AIは、アイデア考案からリサーチ、戦略立案、プロダクトの仕様検討、販売時のプレスリリース文面や広告のクリエイティブ、営業のトークスクリプトや資料作成まで幅広く使えます。

そのため、使える時間も労力も限られている新規事業開発にとって最適なツールといえるでしょう。

ただし、新規事業開発で生成AIを活用するためには、以下の2つに注意しなければなりません。

1.1次情報は代替できない:AI がどのように言っていても、顧客の声を代替できません。そのため、結局は顧客に直接意見を聞かなければならなくなります。

2.独創性がなくなりやすい:優等生的な思考である生成AIは、世の中のあらゆる正解を瞬時に導き出すという点では革新的ですが、独創性に欠けるつまらない回答を出力することも少なくありません。

上記の理由から、自身が新規事業のアイデア考案者である場合は、まずはAIを使わずに自分の頭で考えてみることがおすすめです。

そして、生成AIは、自分で考えたことをブラッシュアップしてもらう存在として活用しましょう。

※詳しくはnote「初手からAIに頼らない」を参照

解説

新規事業開発において、生成AIは「超優秀だが、現場に出たことがないアシスタント」として全フェーズで活躍します。

具体的には、市場の概況リサーチからはじまり、企画書の構成案づくり、ペルソナの設定、さらにはLPのキャッチコピー案の作成まで、圧倒的なスピードで事業開発を前進させてくれます。

しかし、新規事業開発において生成AIを活用するためには、「2つの落とし穴」にハマらないようにしなければなりません。

1つ目の落とし穴は「1次情報(ファクト)の欠如」です。

AIが学習しているのは、あくまで過去のインターネット上に漂うデータ(2次情報)の集合体に過ぎません。

「今、目の前の顧客が何に悩み、どんな表情でお金を払うか」という生々しい現実は、現場に足を運ぶ人間にしか掴めません。

2つ目の落とし穴は「平均化の罠(独創性の欠如)」です。

生成AIは、最も確率の高い「もっともらしい無難な回答」を出力するようになっています。

そのため、最初からAIに「新しい事業アイデアを出して」と丸投げすると、誰がやっても似たような、既存事業の焼き直しのようなアイデアしか出てきません。

新規事業に求められるのは、常識を覆す「非常識な切り口」です。

まずは自分の頭で泥臭くゼロベースの仮説を立て、AIはそれを「壁打ち相手」や「資料への翻訳者」として後から活用しましょう。

この順番を守ることが、AI時代における事業開発の鉄則とされています。

新規事業で生成AIを活用するときのポイントについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

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事例:DeNA

「AIにオールイン」という方針を掲げるDeNAでは、新規事業開発の全フェーズ(リサーチ、戦略立案、デザイン、開発、資料作成)で生成AIを積極的に活用しています。

これにより、DeNAは圧倒的なスピードと生産性の向上を果たしました。

しかし、DeNAも生成AIの限界を明確に理解し、独自のルールを徹底しています。

DeNAが掲げるルールの1つ目は、「最終的なアウトプットはプロに任せる」ということです。

DeNAでは、社内検討用のラフ画や構成案は生成AIで高速出力しますが、顧客の心を動かす細かなニュアンスや最終クオリティの担保は、必ず人間のプロフェッショナルが担当しています。

2つ目のルールは、「生成AIの優等生的な回答を疑う」ことです。

生成AIが最初に出してくるアイデアは「60点の無難な回答」であることを前提とし、それを人間が批判的な視点から改善するサイクルを最低でも5回繰り返すことで、アイデアの質を独自の価値へと昇華させています。

このようなDeNAのルールは、「人間が価値を定義し、AIがそれを効率的に実現する」という、まさに理想的な役割分担の事例です。

参照元:https://fullswing.dena.com/archives/100166/

まとめ

生成AIは、新規事業開発のアイデア考案からリサーチ、戦略立案、資料作成まで、あらゆるフェーズで活用できる強力なアシスタントです。

一方で、顧客の声といった一次情報の取得や独創的な発想は人間にしか担えません。

新規事業の開発に生成AIを役立てるときは、まずは自分の頭で仮説を立て、その後にAIを壁打ち相手として活用することで、事業アイデアの質とスピードを高めましょう。

この記事を書いた人
株式会社unlock 代表取締役社長 津島越朗

得意領域
テクノロジー(AI・ブロックチェーン・IoT等)をベースとした既存産業の革新・効率改善サービス(SaaS等含む)の新規事業
企画・開発・拡大(Growth Hack)、0→1(ゼロイチ)

経歴
2005年 株式会社リクルート入社(人材事業営業部)
2008年 同上(インターネットマーケティング局、マーケティング・新規事業企画)
2011年 株式会社ディー・エヌ・エー入社(サンフランシスコにて現地法人のマーケティング組織の立ち上げ)
2013年 株式会社DeNAライフサイエンス(東京大学医科学研究所と遺伝子検査MYCODEの立ち上げサービス&マーケティング責任者)
2014年 株式会社DeNAロケーションズ 代表取締役社長(海外のテクノロジーベンチャーとの合弁企業)
2016年 株式会社unlock設立